2010/03/23

253【怪しいハイテク】情報の検閲と検索

 アメリカ企業のグーグルが、中国での検索事業から撤退すると発表した。
 中国で検索事業やるなら国家権力による情報検閲のもとで行なうべし、とする中国政府の指示のもとで商売するのはイヤだってのが理由だそうである。中国側は中国で商売するなら中国政府の方針に従え、いやならやめなさいってことらしい。
 一方は、検閲そのものがけしからんから引き上げだ、一方は、検閲する政策だから従え。国家権力の行使に仕方に関する基本的な違いは埋めようが無い。
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 商売人ならば、お上の言うことにしたがっておけば儲かるんだから、ここは目をつぶろうってのが普通だろう。
 現に、グーグルはこれまで中国での検索事業は、自主的に政府に都合が悪い情報は出てこないようにしていたそうだ。中国進出のときに政府と取り決めたのだそうだ。やっぱりね、。
 ところがここにきて突然に毅然とした態度になった、ように見えるのはどうしてか。本当にそんな格好よいものなのだろうか。国際的な中国非難の揺さぶりを期待できる環境になったってことかなあ、。
 思えば、グーグルが世界の先頭に立って築いたインターネット情報検索技術の発達は、国家権力による情報検閲技術も発達させてしまった。皮肉である。
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 グーグルが「日本語入力」という、PCで日本語を書くソフトウェアーを無料提供している。
 ダウンロードの最初のページに「豊富な語彙 Webで使われている膨大な用語をカバーしています」とある。検索能力を生かしてWEB上にある言葉を、キーボード打ち込みを日本語に変換するときに取り込むらしい。多分、使用頻度順の高い順に変換するだろう。
 問題は、猫杓子ブログ時代だから、間違いだらけの猫杓子語が横行する。
 でもそれが間違い言葉かどうかグーグル検索は判断をしないから、世に間違い言葉書き込みが多くなると、多数決でどんどん間違いが横行して、言葉は変わっていく。
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 このことについて先日の朝日新聞の日曜版に載っていたのは、「喧々囂々」(うるさいこと)と「侃々諤々」(各自固執すること)をごっちゃにした「喧々諤々」(あれ、IMEでこれが出てきたぞ、おかしいなあ)がグーグル辞書に登場する事例をとりあげて、グーグル日本語入力ソフト導入には注意せよとあった。
 たしかにケンケンガクガクっていいそうだなあ、でも辞書には載せないだろうって思い、ためしに広辞苑で「喧々諤々」をひくと次のようにある。
けんけん‐がくがく【喧喧諤諤】(「喧喧囂囂(ケンケンゴウゴウ)」と「侃侃諤諤(カンカンガクガク)」とが混交して出来た語) 多くの人がいろいろな意見を出し、収拾がつかない程に騒がしいさま。「―として議長の声も聞こえない」 おやおや、間違い語のままに辞書に載ってしまっている。IMEにもあるのだから、これじゃあグーグルにケチをつけられないなあ、朝日さん。こうやって言葉は変わっていくのだ。
 つまり検索技術が上達すればするほど、実は衆愚検索、いや、集愚検索となる可能性を持っている。こここそ検閲が必要だろうが、言葉を検閲をすると次は内容の検閲になるか、、う~む、。

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