2010/03/27

254【言葉の酔時記】感謝状は授与するもんじゃなくて贈呈するもんでしょうに

 横浜の関外の黄金町といえば、かつては青線街、特殊飲食店街として悪名高い街だった。
 警察の手入れと復活のいたちごっこだったが、2005年からその一掃に県警が乗り出し、地元団体や大学等も協力して「初黄・日ノ出町環境浄化推進協議会」を作って地域再生に取り組んでいる。
 このたび、その取り組みに努力している安部 泰輔氏と横浜市立東小学校及び児童を、地域再生まちづくり貢献者として、横浜市長が表彰した。
 それはよいことであり、努力に敬意を表するものである。
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 わたしがこの件でひっかったのは、横浜市のWEBサイトにこう書いてあることだ。
「第11回協議会定例会の中で感謝状を受賞者に授与します。」
 この「授与」という言葉である。この意味は上から下へと授け与えるものである。
 感謝状というものは、授けるものだろうか。そうじゃなくて贈るものであろうと思う。
 市長が市民を代表して、感謝の意を込めてお礼を申上げるのだから、「感謝状を贈呈いたします」と書くのが普通だろう。
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 ところで授与式をネット検索すると、今ちょうどその最中だからか、卒業証書授与式、学位記授与式がいっぱい出てくる。ほかには本田賞授与式、ハイチ国際救援隊隊旗授与式なんてのが出てくる。
 大学という権威、本田宗一郎なる斯界の権威の財団、国家という権威が授け与えるある種の資格のようなものの場合らしい。
 授与と並んで授章式もある。これも権威筋から賞を授け与えるもので、文化勲章、芸術院賞、日本アカデミー賞なんてのが出てくる。
 では文学賞はどうか。これはどれも贈呈式である。芥川賞のような、いまや権威の世界になっても贈呈式である。上から授け与えるのではなく、下からか横からか知らないが贈るのである。
 授与か贈呈かで、それを出すほうが権威主義に乗っているとみるか、それともデモクラティックなスタンスに立っているか、なんとなく違いが見えてくる。
 貰うほうも、その権威にひれ伏すか、あるいは市民的連帯を喜ぶか、考えるところがあるかもしれない。
 なんにしても賞にも感謝状にも縁の無いこちとらがいうと、単なるヒガミに聞こえるかなあ、。

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