2010/06/02

271【横浜ご近所探検】バスバー

 もう3年も前(2007年)の夏、寿町のホステルビレッジに友人たちと泊まった。ドヤ街のドヤをヤドにしているところ。
 その頃の経営はファニービーという会社で、ステキな女性リーダーと、奇妙なオジサンが居た。今はどちらもいないしファニービーも消えて、コトラボ会社の経営である。

 さて、泊まった晩のこと、そのお二人の案内でわたしたちは奇妙なバーに行った。
 本牧あたりの先で街の灯は消え去り、高速道路の高架をくぐって、草ぼうぼうの埋立地の先、物揚場らしい岸壁の上に出た。横浜の秘境か。
 先方に青色のボロバスがとまっていて、これがバーである。暗い岸壁の上に木のテーブルとベンチもある。バスの中も怪しい雰囲気である。

 岸壁の上で飲んでいると、背中から高速道路の高架から騒音と排ガスが降ってくる。目前には暗い入り江があって、向こう岸には高層団地住宅の灯がきらめいていて、こちら側の殺伐たる風景と対照的である。
 まあ、普通の常識では営業はありえない場所であった。もちろん非合法営業だろう。
 だがこちらとしてはその場所といい、非合法をいい、アジールそのもので、酒の味がいちだんと美味いのであった。大げさに言えば、禁酒法時代の酒飲みの秘密のタノシミと冒険の感もあった。
 参照→http://jsurp.net/machikan/yokohamareport.pdf


 さて今年3月末、そのときに一緒に行った仲間が近くを通りがかりに寄ってみたら、消えていたとのことだった。
 そしてまたそのすぐ後に、そのときの別の仲間から、BANKART・NYKに近いうちに営業再開するとの情報をもらった。

 気になっていたがようやく今日、BANKART・NYKに行ってみたら、青バスが岸壁にとまっていた。おお、これか~、BANKARTも粋なことやるもんだな。
 BANKART喫茶コーナーの女性に聞けば、4月からここで再開、夜8時から午前2時まで営業とのこと。
 バスを見れば、ボロではあるがえらくきれいなのは、塗り替えたのかしら。その女性は前のバスバーに行ったことないが、持ってきたと聞いているとのこと。

 今度は非合法であるはずがない。なにしろ日本郵船の土地だし、市が運営するBANKARTの敷地の中なのだから。その上、隣が神奈川県警本部であるのだ。
 だからバスは綺麗になったし、風景もMM21の超高層やら横浜港のベイブリッジが見えたりして、前がB級というかC級だったのに、今度はA級に格上げである。
 管理された非合法?になってアジール性はすっかり消えたようだが、まあ、アートだと思えばそれでよいか。
 いつか夜になって寄ってみたい。
●参照→横浜B級観光ガイド:関外地区


(追記100612)
 BANKART-NYKで2010年6月12日午後から夜にかけて、昨年暮に急逝した北沢猛さんを回顧してこれからの都市デザインを考える会があった。250人もの大勢が集まった。
 会が終わって岸壁側に出て、バスバーに寄った。
 
いろいろとあちこちから聞くと、前のところを立ち退きとなって、常連の人たちがあちこちに移転先を探しているうちに、BANKARTの関係者に話が届き、そこはアートの世界であるから、面白い、やろうと一気に進めてしまったのだそうだ。

 マスターはあんまり忙しいのは嫌だから、宣伝はしないでと頼んでいるから、世に知られていないが、常連やら面白がり屋やらがやってくる。今夜もいっぱいであった。
 海面に映るミナトミライの灯が見えて、A級穴場になってしまったが、中に座れば雰囲気は前のままである。

0 件のコメント: