2010/07/29

297【横浜ご近所探検】共同住宅ペンシルビル

 近くにある小さな空き地で工事が始まった。お知らせパンフレットを見ると、8階建ての共同住宅である。
 典型的なペンシルビルで、間口を1スパン、奥行き2スパンで、これを縦割りにして各階に2戸のワンルーム型の住宅とする。最上階2階分が建て主の住居らしい。
 既に3方を共同住宅ペンシルビルで囲まれていて、残りの道路側も向いは10階建てビルである。
 道路側から午後の短時間だけ陽が当たる。そのような住宅でも需要があるのだろうか。
    ◆
 気の毒なのはCの共同住宅ペンシルビルである。これがこの一角でいちばん最初に建ったらしく、各階が何戸あるか分からないが、いずれもバルコニーを隣地のAとBの側に設けている。Bにビルがない頃は十分に陽があたっていただろう。
 その後に建ったBビルで、7割がたのバルコニー面はふさがれている。写真②でみるように、バルコニーの先に建築基準法で言う「窓先空地」がまったくないのである。規模から見て違法ではないだろうが、実態としては真っ暗住宅である。
今度はAのビルで、このCビルは残りの3割がたの採光面もふさがれることになる。どういうわけか南の道路側にほとんど開口部がない。
 隣の土地にビルが建つ可能性は当然にあるのに、これはCの設計が悪い。
いまさらではあるが、ABCDの土地を共同開発すれば、住み良い共同住宅ビルになったであろうに、と思う。
      ◆
 こんなことが都市の真ん中ではあちこちでおきつつある。こういう共同住宅は今後どうなるのであろうか。
寿町の簡易宿泊所(通称ドヤ)のビル群が、まさにこの状況である。
あれは住宅ではなくて、一時滞在を前提とするホテル旅館だから、法的には許されている。しかし実態は日常的に暮らしている低所得者住宅である。立体スラム住宅街の感がある。
 共同住宅ビルがこのように日照通風が悪くなると、住み手がなくなって空き家ビルになっていく。そうなると空き家を埋めるために、寿町ドヤのようなものに変化していくのだろうか。
 できの悪い都市の不良資産は、立体スラム化するおそれが十分にある。

0 件のコメント: