2019/08/19

1415【戦争の八月(2)】敗戦記念日は東京九段の靖国神社に戦争の残影を見物に


夏定例の九段徘徊へ

 今年(2019年)の8月15日も、毎年今日の定点観測地「東京九段あたり」を野次馬見物してきた。参拝ではなくて見物である。
 ちょうど西日本を台風が襲っていて、航空機、新幹線等の西からの交通機関が不通だし、関東の天候も不穏なせいか、例年と比べると人出はすくなかった。
 それでも九段坂の上下に毎年に出現する戦争お化けは登場してきて、今年も見物したのであった。神社祭礼には見世物はつきものである。
本日の徘徊ルート
(九段下ー靖国神社ー千鳥ヶ淵墓苑ー九段下昭和館ー元軍人会館)
12時半頃に地下鉄九段下駅に到着、地上出口あたりは出動服の警官たちが固めている。高曇りで台風余波の風が吹いているが、気温は高い。
 われながら物好き年寄りと思いつつ、参拝を終えて下ってくる人波を避けつつ、歩道に並ぶいろいろな香具師のごとき活動団体のポスターと呼び声の中を、九段坂をよろよろと登って行く。

 お祭りの神社参道に出てくる屋台店みたいなものだが、金魚すくいも綿飴も射的もなくて、どこか不穏な空気の諸活動プロパガンダである。
 台湾は中国ではないとか、ウィグル族や法輪功の弾圧やめろとか、なんだか東アジア反体制の宣伝隊が並ぶと思えば、新し教科書を作る会とてこれは日本体制側の宣伝か、いつものゲリラ喧騒である。

 九段坂上の昔の住宅公団本社、後の東京理科大学、今の日本工営のビルを過ぎて、靖国神社境内入口にたどり着く。
 いつものように天皇参拝を希求するとかなんとか演説などやっているゲリラがいる。5年くらい前までは境内の中もいろいろと右寄りゲリラ宣伝がいたものだが、今は境内からは排除されたらしい。
 このあたりに結界があるらしく、境内に入ろうとすると境内全体に薄暗い蚊帳が吊ってあるような感じがする。

九段坂上靖国神社境内へ

 去年と比べて境内に人が少ないのは、台風のせいで遠くからの参拝者たちが来られなかったからかもしれない。
 いつも境内をうろうろしている戦闘服に身を固めたウヨク的姿の男たちを、ことしはほとんど見なかったのは、ウヨクさんたちも台風で来られなかったのだろうか。
 そういえば茶店がなくなって石の広場になっている。このあたりにあった茶店とそのまわりには怪しげな軍服姿のオジサンやら旭日旗や日ノ丸がひらひらする風景があったのだが、きれいさっぱりなくなって白いテントの店が行儀よく並んで、保守派の著書を売っている。



 みまわせば境内の整備が進んでいるらしい。新たな建築も工事中だから、茶屋に変るものができるのかもしれない。
 今年はなんだかあの靖国神社独特の怪しい雰囲気を欠いてる感もあるのは、あながち台風のせいだけでもなさそうだ。神社側も排除してるのか。そういえばいつも周りの道路からやかましく叫び立てる右翼街宣車が、今年は一台もいない。
 それでも例年登場の軍服コスプレオジサンたちがいた。いつものように大灯篭の陰に固まって、ラジカセで軍歌を流しながら、平和に立ち話をしていた。カメラを向けるとポーズとって、アイドル気分らしい。

 家の戻ってからネット検索したら、この日に靖国神社にやって来たウヨク団体らしい姿をいくつか見つけることができた。健在である。



 第2鳥居をくぐって神門から内苑に入る。拝殿前で礼拝待ち行列がある。それが去年は内苑におさまらずに神門を抜けて第2鳥居当りまでも長かったが、今年の行列は拝殿と神門の中間ぐらいまでしかない。この暑さだから年寄りはあまり見えないが、若者が多いのは初詣気分だろうか。
 それでも神門を抜けて参集殿前から遊就館あたりまでの内苑広場はいつもの混雑であるが、今年はなんだか静かな感じである。騒がしいいつもの団体が台風で来られなかったか。

 国会議員たちが昇殿参拝のために車で寄りつく到着殿の前には、いつものように報道カメラが沢山待ち受け受けているが、なんだか手持無沙汰の様子でもあるのは、もう政治家たちの参拝はおわったのか、これからか。
 一昨年だったか、ちょうど国会議員たちの参拝の時に出くわして野次馬見物していたが、まわりの群衆から拍手と「よく来た」とか「よ~し」とか、男女の大声があがるのに戸惑ったものだ。

 ここに来るといつも感じるのだが、戦争と天皇制の賛美の空気がモヤモヤとたちこめている。あの戦争を賛美する空気が濃い。
 そのひとつに、東京裁判の弁護士だったインド人パール博士の顕彰碑がある。パールが日本戦犯の無罪を主張したことをもって、博士を称える碑と頌がある。
 だが、パールが無罪と言ったのは、戦争時にはまだ存在しなかった人道の罪を罰すると言う国際法による裁判を無効とする法理論上の言説であり、犯罪行為そのものがあったことを認めており、決して無実と言ったのでは無い。このギャップが、いかにもこの場らしい顕彰碑である。

 暑いので冷房で休もうとて、遊就館に入った。もちろん入場料を払って展示の見物はしないで、無料の1階ホールでゼロ戦やら兵器の見物して、戦争土産グッズ店を冷やかして、適当にへたり込む。
 天皇賛美、戦争や兵器の本、「新しい歴史」の本など保守系執筆者の書籍、軍歌CDなど、そして日ノ丸鉢巻、旭日旗などなど、ここは戦争フリークショップである。



 去年はここにいるときにちょうど正午になり、近くの武道館で行われている式典の中継音が流れてきて、一同起立、3分間黙祷の指示に出くわした。
 そんな他から強いられる儀式を大嫌いなわたしは、ひとり座り込んでいて居心地が悪かったので、今年はその時間をわざと外して、今は13時過ぎである。
 人ごみなのになんだか違和感があるような感じがしていたが、ふと思いついた。東京の人が集まるところには必ず団体観光アジア系の人たちがおおくいるのだが、ここにはさっぱり見かけないのだ。どうしてだろうか、避けているのかしら。
 さて、そろそろ腰をあげようか、

●参照:2018靖国神社  2017靖国神社  015靖国神社 
    2014靖国神社  2005年、2013年靖国神社


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