2024/02/21

1795【みちのく潮風トレイル】太平洋岸の自然と文化を辿る旅路から福島第1原発を除外は何故か

 今日の東京新聞夕刊1面に「みちのく潮風トレイル」なる長距離遊歩道の紹介記事がある。環境省の仕事で、北は八戸から太平洋海岸伝いに松川浦までの1000km、その間の自然と文化をたどるそうだ。

 おお、あの福島原発事故現場も当然にトレイル上にあるはずだ。あの原発爆発写真は世界に知られているから、多くの外国人もトレイルを辿りに来ていることだろう。ましてや日本人はゆきたいだろう、なかなか良い仕事だ、さすが環境庁だ。

 と思って、ネットで公式サイトを見たのだが、どこにも福島第1原発あたりの地域をめぐる話はない。おかしいなあ、あれこそ超有名なみちのくの名所なのに、なぜ出てこないのかしら?

 環境庁サイトにはこう書いてある。
 「森、里、川、海のつながりから生まれた自然とそこで紡がれた物語は、このトレイルだけが持つ美しい魅力。そしてこの道から人々の暮らしが伝わり、やがて未来へと続いて行くことを願っています。どうぞ、東北を、この道を歩いてください。それが東北の復興の歩みとも重なっていきます。」

「みちのく潮風トレイル」のルート図に赤で福島第1原発を書き込んでみた

 東北の復興を言うのなら、あの3・11を辿るルートであるはず、それならその最も重要な場所のフクイチを外せるわけがない、しかも環境省の仕事ならなおさらのことだ。
 ところが、みちのく潮風トレイルには、どういうわけか、福島第1原発事故関連の場所も情報もないのだ。

 そのルートが八戸から南下して終点は松川浦であり、浪江町やいわき市へは届かないのだ。もしかして、みちのくとは松川浦から北であったかと調べると、いやいや、福島、宮城、岩手そして青森までを含む地域を言うのだ。

 みちのくの太平洋側海岸地域で、現在最も注目すべきところは、福島第1原発事故の地であることは、だれも異存ないはずだろう。これはどうしたことか。
 もちろん現地の中を通ることは無理としても、近くで眺める位置までは、みちのく潮風トレイルに含めてやってほしいと、切実に真剣に思う。

 わたしは3・11発災から3年目に、その第1原発を北から眺める被災地の浪江町請戸地区まで行ったことがある(ブログ記事参照)。漁港集落は津波に一切合切をさらわれてその時は草原になっており、向こうの丘陵上に原発が見え、手前の草原には漁港から流れて浮いた何隻もの漁船が転んでいた。廃墟となった小学校のみが建物らしい建物だった。

集落跡の草原に廃船や廃車、左向こうの丘陵の上に事故原発の煙突3本が見える

 この請戸地区は、結果は比較的放射線量は低かったのだが、発災時はそんなことは誰もわからず、放射線ゆえに救助隊が集落に入ることを阻まれて、地震と津波の2重被害で倒壊した家屋の下敷きになった多くの人々が、苛烈な死に方をしたのだった(ブログ記事参照)。

 今は人が住まない地になっているようだ。この請戸までみちのく潮風トレイルを、何故に伸ばさないのか。松川浦から30キロほどのところだ。今もあるかどうか知らないが、福島第1原発の煙突が3本立つのが見えており、被災地の苛烈な風景を忘れられない。

 トレイルが歴史文化を訪ねることも強調しているのだから、この原発事故という稀な人災という文化的巨大事件こそは、みちのく最大の歴史文化記念の地である。現在の今も歴史文化を築きつつある貴重な風景にあるのだ。これを除くルート設定をする理由がわからない。原発による危険な区域だけをバスによるトレイルとしてでも取り込むべきだ。そこだけをバスルートにすることに大きな意味がある文化イベントそのものになるのだ。

 ここで遊歩の道がいったん途切れるということさえも、それこそが3・11以後のみちのくの歴史文化として重要なのであることが、訪ね来る人々によくわかうことになる。みちのくの南端までトレイルを伸ばしてほしい。あ、もしかして只今整備工事中かもしれない、そう出すに違いない、そう思おう、さすがに環境庁だ、、、?

 ついでに書いておくが、わたしは3・11事故があってすぐに「福島第1原発を世界遺産に登録しよう」との提案を、このブログに書いている。今もそう思っている。

(20240221記)

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