2024/02/07

1790【マンション名称】建物をマンションと詐称するだけあって地名も詐称する共同住宅

  ずいぶん久しぶりに雪が降り、しかもうっすらと積もった。南関東あたりでは大騒ぎである。北国の人々にいつものように嗤われているだろう。
 わたしも中越の山村に行かなくなってもう10年くらいだろうか、あの山村の雪は4mも積もる豪雪そのものだった。雪国育ちでないわたしは、人間はこのような酷な気候でもよくもまあ暮らせるものなんだなあ、と感心した。

 ようやく天候回復で街並み探訪徘徊も再開だが、日々に足の力が衰えるのを感じる。コロナ後にようやく建設が動き出した感のある横浜都心部街歩きは、街並みの変化を楽しむのだ。今日は昔々の遊郭だった街の中心にある通りを歩く。

 中央分離帯には桜などが大樹となって、ミニ公園通りである。かつては両側は紅い灯でにぎわっていたのだろうが、今は静かな住宅街である。


 おや、こんなところに共同住宅ビルの建設が始まった。でもこの土地のまわりは、前面道路の側だけは空いているが、他の3方はどれも高層共同住宅ビルに囲まれている。この敷地に共同住宅を建てても、ほとんど日照を期待できないはずだ。

道路のほか三方(東西南側)を高層共同住宅で囲まれた敷地

 そのような住宅でも売れるのだろうか。「マンション」と誇大言葉で日陰住宅を売るのかしら。しかも、ここのあたりは70年前まで迄は横浜遊郭とて、いわゆる赤線街だったところである。今は静かで便利な都心部の住宅街だが、かつての地域イメージを拭うのはなかなかにむつかしい。

 このあたりはかつての仕舞屋風の赤線名残の家々は次々と消え去り、いわゆるマンションなる高層共同住宅に建て替わってる。歩きつつそれらマンションなるビルの名称を読んでいて、おもしろいことに気が付く。どうも地域名をつけるのを避けているらしいのだ。

 このマンションの類のビル名称のつけ方は、ある程度の約束事があるようだ。まずはカタカナでなにか高級そうな言葉をあてて、そのあとに地名を続けるのが、ポピュラーな方式であるらしい。ここが永楽町とか真金町とかいうおめでたい町名だから、ビルの名に積極的に使っているかと言えば、そうではないらしいのだ。

 とりあえず歩いている昔の遊郭外の中心の道路(なんという名称か知らない)に面する、共同住宅の名称を拾ってみた。上の写真のように看板を撮ったが他にもまだまだある。どうやら「大通公園」が人気地名であるようで、中には「・・大通公園南」とあるそばに「・・大通り公園西」と名付けるものもあって混乱する。

 これを見てわかるように、正しいここの地名をビル名に充てているのは「アブニール永楽マンション」と「スカイコート横浜真金町」2棟のみであった。そのほかにもたくさん採集したが「・・大通公園」とか「・・伊勢佐木町」とか、この町の外にある地名をつけている。

 大通公園は隣だが、この公園は元が川だから長すぎて位置決めにならない。伊勢佐木町は鎌倉街道を挟んで差に無効だから、かなり離れている。「関内」とつけているものもあったが、駅名にせよ地名(正式にはこの地名はない)にせよ、あまりに遠すぎる。それで初めての来客が迷うことはないのだろうか。

の位置に遊郭時代に大門があった 黄の位置に遊郭時代からの大鳥神社
この二つを結ぶ道が遊郭の中心部 共同住宅名はこの道沿いから採集

 マンション(庭園のある豪邸のこと)でもないのにマンションと詐称して売るのだから、地名だって大通公園とか伊勢佐木町とか、横浜でイメージが高いところを勝手に持ってきて、地域イメージも詐称するのだろうか。どこでもよいのなら「山手」とか「みなと横浜」とかつけてはどうか。普通の神経なら自宅をマンションというのも、わけのわからんカタカナも恥ずかしい。ファーストクラスとはすごいネーミングである。

 それにしても共同住宅ビル名は、わけのわからん外来語とカタカナ造語で不思議だ。わたしの住む高層共同住宅も、花の名前?らしいカタカナであるが、実は日常生活でその名を使うことはめったにない。地名と地番と建物番号で間に合っている。

(2024/02/07記)

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伊達美徳=まちもり散人
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