2026/05/14

1949【老酔録㉞米寿記念】歌人・花人・画人・書人ともに米寿となり記念歌集つくり老いを酔う

 わたしの本づくり趣味の最後の成果かとも思う「藤本孝子第五歌集」の制作発行を、一応一段落させた。

歌集 青空へぽかりぽかり飛んで行け 米寿記念

 

最後の202604大団円版15冊

 制作部数165冊、制作期間2025年3月~2026年4月(毎月10数冊制作)、A5判、120ページ(挟み込み栞8ページ)、ハードカバー、DTP/ODPであり、すべて私の手作りである。

 わたしの故郷の高梁盆地に住む幼馴染の歌人・藤本孝子さんの五番目の歌集である。
 彼女の歌集を、第一歌集から第五歌集まで並べると下のようになる。
 右から順に第一歌集『春楡の歌』、その左へ「第二歌集『ぽかりぽかり』、第三歌集『また ぽかりぽかり』、第四歌集『いまも ぽかりぽかり』、第五歌集『碧空へぽかりぽかりとんでゆけ 米寿記念』である。第二歌集以降をぽかりシリーズと言っている。

藤本孝子歌集 

 第一歌集(2007年 砂子屋書房)は、236ページにわたる商業出版で、わたしはこれを市立中央図書館で初見した。彼女の歌の師である歌人の小見山輝の序がある堂々たる歌集だ。
 藤本さんからこれを贈呈されて、わたしは思いついたのは、第二歌集をわたしの本づくり趣味で上梓したいということだった。彼女に提案したらOKであった。

 その第二歌集は『ぽかりぽかり』のタイトルで出来上がった。これにはもう一人の幼馴染の定森治子さんが、自家製のバラの花の写真を添えることにした。なお、この3人は岡山県・広島県・香川県と離れて住むのだが、この制作にはメールのみを使って原稿を送りあって、一度も顔を合わせることはなかったのが、3人ともに古希老人なのに今風である。

 その後は、折を見てそろそろ次を出そうかと言って、第三から第五歌集まで、いずれもわたしの手作りで作ってきた。最近の第五歌集は、米寿記念と名付けて、もしかしたらこれが最後かもしれないと特別な気持ちになり、それまではソフトカバーのくるみ製本であったのを、この第五歌集は初めてハードカバー製本にした。挿画にもう一人の幼馴染・阿部節子さんが加わった。

 ハードカバーは見栄えがあるのだが、手作りでは結構面倒な作業となるので、制作に時間を要する。ソフトカバーの10倍くらい時間を要する。これまでのように100冊以上を手仕事で作るとなると、わたしの趣味の本づくりの範囲を超える。何冊も短期間に根を詰めて手仕事をしたくない。それでは趣味ではなくて仕事になってしまう。

 2025年初めの企画段階で著者と共にいろいろと考えて、製本だけは専門業者に外注するかとも考えたが、それでは私の趣味の中核部分がなくなってしまう。手仕事の本づくりは、どのような本にしようかとの企画、原稿の編集、本のデザイン、入力、印刷、製本までを一人で行うのだ。自分の手で作ることに趣味の面白さがあるのだ。

 そうして最後に出来上がった本を手に取って、その出来栄えを観て「なかなかうまくできたワイ」と自己満足するのである。時にはでき具合を悲観することもある。それは例えれば、陶芸趣味と似ている。自分の手を使って粘土を捏ね焼いて器に作り上げるように、自分の手で工作して紙を切り纏めて貼り合わせて本の形にするのだ。一部でも専門業者に外注しては趣味にならない。

 そこで考えたのは、1年間をかけて製作することである。しかし同じことを1年間もかけるのでは飽きてしまうだろうから、趣味とはならない。毎月に10冊程度を作るとして、そこには歌人が毎月詠んだ中の選歌をその月ごとに加えることにした。なんだか月刊誌を発行するようで、やってみると楽しかった。

 2025年3月制作版は、2021年から2025年2月までの作歌から190首を選び出して92ページの本で10冊を制作した。この作業は最初の制作だから、選歌から始めるので2か月ほど時間がかかった。こうしてまず「202503版」歌集ができた。

 次の月の「202504版」には、4月詠の選歌を加え、同様にして毎月の選歌を加えて月刊誌のように10部を同じデザインだが中身は少しづつ歌が増えていった。そして最後とした202604版は276首掲載して120ページの本となったのだった。

 この間13か月で、合計して165冊の歌集を制作した結果となった。この間に本のデザインは変えていないが、カバーだけはその季節の風景写真を毎月撮って変えてきた。これらの本を一冊だけとっても分らないが、実は13通りの中身とカバーがあるのだ。

 毎月の読む歌が付け加わって、歌人の変化が見えるのも面白かった。月刊誌と単行本を同時に作っているような気分でもあった。歌人も一緒にこの長期継続プロジェクトを楽しんでくれた。

 今回の歌集には「栞」と称して8ページの小冊子を挟み込んだ。そこにはこの本に花写真を添えた定森治子さん(花人)と、挿画を描いた阿部節子さん(画人)と、本づくりしたわたし(書人)が、それぞれ一文を書いている。ここに最後版栞に載せた拙文を引用掲載する。(ここまで2026/05/14記) 

本づくり趣味と歌集づくり  伊達美徳

 この藤本孝子第五歌集は手作りの製本である。藤本さんの歌づくりに、わたしの本づくり趣味を併せた。米寿記念と銘打つからには、第二から第三歌集までのソフトカバーから変えて、ちょっと張り切ってハードカバー本にした。

 これは製本に手間がかかり、百六十余冊をつくるのに米寿の歳一年分をかけてしまった。その間にも歌人の作歌は増えてくるから、毎月十冊程度の発行として、その新作を順次に取り入れて発行した。これはまるで月刊誌を発行している気分になり、面白かった。

 藤本さんの第一歌集『春楡の歌』(砂子屋書房2007年)は、1999年から2006年までの選歌を収録した本格的な格調高い装丁の商業出版だった。これを贈っていただき読んだ。故郷高梁盆地がいくつも詠みこまれていて、懐かしかった。

 わたしは仕事でも趣味でも本を集めることが好きで、自著の専門書の商業出版もあり、積ン読本ばかり増えていた。今はすべて処分したが、一時は一万冊以上も所蔵していた。そのうちに集めるのに飽きてきて、自分で本をつくる趣味を始めた。

 パソコンで原稿を書き、編集、装幀して、机上で印刷し製本するのである。この本づくり趣味はけっこう奥深いものがあり、今も探求中だが、これに藤本さんの歌集を加えていただいた現況最新制作本が、この第五歌集である。

 わたしの本づくり趣味による手作り本は、「まちもり叢書」と名付けるシリーズが22タイトルがあり、作るごとに出会った知人に読め読めと押し付けてきた。そのほかに学校同期会の会誌とか街の案内書とか、思いつくごとに本にして他人に押し付けてきた。

 だから藤本さんの歌集づくり企画もそのひとつだった。第二歌集上梓プロジェクトを歌人に唆して、『ぽかりぽかり』シリーズを始めた。幸いにも喜んで乗っていただいて、第三、第四を経て第五歌集に至った。

 今や、幼馴染仲間で歌集づくり開始時から数えると、なんとまあ十二年余もの時が経っているのだった。歌集に関わってきた四人組は、そろって米寿を迎えた第五歌集には「米寿記念」と銘打った。わたしにはこれが生きがいの人生メインプロジェクトになっている。

「藤本孝子歌集」シリーズ全部と「伊達美徳まちもり叢書」シリーズの一部

 さて、これからどうなるのだろうか。「卆寿記念」とか「白寿記念」とか夢想は自由だが、さすがに卆寿近くなると老衰の波が寄せてくるのが見える。老いを怖がることはないが、いつかは歌集制作停止の日が来るだろう。まさに卒業である。その日を楽しみにして第六歌集へ生きよう。        (2026年2月記)


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少年の日の戦争】藤本孝子第五歌集202508版栞エッセイ
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ーーー老 酔 録ーーー
米呪を越えて老いに酔い痴れる日々の記録
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伊達美徳=まちもり散人
伊達の眼鏡/老酔録 https://datey.blogspot.com/
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