2011/12/02

543知らない流行語2011

今年の流行語賞なるものが新聞に載っている。
・「帰宅難民」
・「絆」
・「こだまでしょうか」
・「3.11」
・「スマホ」
・「どじょう内閣」
・「どや顔」
・「なでしこジャパン」
・「風評被害」
・「ラブ注入」
 わたしが知らない言葉は、まず「こだまでしょうか」である。
 これってTVCMらしいが、「のぞみ」や「ひかり」じゃなくて「こだま」にも乗ろうってJR東海の広告なのであろう。なんでこれが流行なの?
 次に知らないのが「どや顔」、ドヤに泊まっている人の顔のことなんだろうなあ。
 次が「ラブ注入」だけど「楽しんご」もあわせてサッパリわからない。

 要するにTV番組を見ないと流行遅れになるらしい、という程度のことである。
 で、結構震災関係言葉が多いのに、どうして「脱原発」と「想定外」が入らないのだろうか。
 「TPP]とか「ユーロ危機」がなぜ入らないのか。
 どうやらイデオロギー的なにおいのする言葉を避けているらしい。そこにこの賞のがどの程度のものかを物語るものがある。

 プロ野球に興味はないけど今日のニュースがらみでついでに書くが、「ディー・エヌ・エー」(DeNA)とか言う企業が参入するそうだ。
 で、なんでもオーナー会議で「楽天」が参入反対だったそうだ。つまりその企業の持つDNAに対して最も楽天的でなかったのが楽天である、ということだな。

関連→知らない流行語2009
http://datey.blogspot.com/2009/12/209.html

2011/12/01

542飯倉界隈魁偉ビル

 ふらふらと飯倉あたりを歩いていて、容貌魁偉なるビルに出くわす。
 なんだか壁に草でも生えいるよだが、それにしても整形過ぎるし、赤い鉄骨はナンだ?
 ふむ、あの赤いのはビル本体じゃなくて窓ガラスに映りこむ東京タワーであった。
 奇妙な形の壁の緑はと近寄ってみると、蔦類を植えたスポンジ板を窓枠内に貼り付けてあるのだった。
 ほ~、それにしても植物の自然形態を無理矢理に幾何学模様にはめ込んだところが、無理なような、面白いような。東京タワー映りこみも計算のうえだろうな。

 飯倉交差点に向けて坂を下る途中にある教会。
 アングリ大口開けた一つ目小僧に飲み込まれそうだ。

 飯倉交差点の角の建築業界的には有名なNOAビルは健在であった。
 白井晟一のデザインの魁偉さをそのままに、赤レンガ土台の上にドラム缶タワーが逆光を浴びて黒々と立ち尽くしていた。

2011/11/30

541トラブル復旧・疲労回復

NIFTYメール送受信サイトで、迷惑メールフィルターが利かなくなるトラブルがあったが、直った。
 で、NFTYが書いている詫び文の一部がこれ。
「現在、トラブルは復旧しております」
 あのなあ、これじゃあトラブルがまた起きてるってことになるじゃん。
「現在、トラブルは解消しております」でしょ。

 今もあるかどうか知らないが、昔、健康飲み物のTVCMでこう叫んでいた。
「疲労回復、りぽびたんでぃ~っ]
 あのなあ、これじゃあ疲労が戻って来るんだよ、そんなものだれが飲むかよ~。

540またかよ~口は災い

またかよ、ってなニューズである。
 防衛省の田中聡沖縄防衛局長が記者団との非公式な懇談で不適切な発言を行ったとして更迭された。
 こういうことだそうだ。
 田中氏は28日夜、那覇市内での記者懇談で、防衛相が辺野古移設への環境影響評価書の提出時期を明言していないことについて女性を乱暴することに例え、「犯す前に(これから)『やらせろ』とは言わない」などと発言した。(読売新聞)
 田中局長は「『やる』前に『やる』とか、いつごろ『やる』とかということは言えない」「いきなり『やる』というのは乱暴だし、丁寧にやっていく必要がある。乱暴にすれば、男女関係で言えば、犯罪になる」という趣旨の発言をしたと説明。一川防衛相は更迭することを決めた。(朝日新聞)
 本紙記者が「政府はなぜ『年内提出する』と明言しないのか」と問いただした。すると、田中局長は女性を乱暴することに例えて「これから犯す前に『犯しますよ』と言いますか」と応じた。(琉球新報)

 なんともお品のない会話である。
 官僚もマスメディ屋も常識のある大人たちだろうに、こんなことを言うのかしら、フツー。
 もしも言ったとしても、その場で注意しあうのが大人だろう。
 官僚がひっかったとすれば、引っ掛けたマスメディ屋の作戦勝ち、しょせん藪の中であるが、こういうときはマスメディ屋のような声の大きい方が勝つにきまっている。
 ちょっと前にも、鉢呂さんとかいうお方が引っかかったよなあ。

 参照→福島原発周辺は死の町

2011/11/27

539宇宙遺産時代がきた

以前にこんなことをわたしのサイトに書いたことがある。
「う~む、今の世界遺産登録のうちの文化遺産の数は700件ぐらいかな、そういや、なんだか少ないなあ。だって文化ってのはその地域ごとにそれぞれ固有のものがあるんだな、それをあっちは登録に値するけどこっちは値しないなんて、地域文化に上下の差別つけちゃあいけないよ」
「そうそう、そもそも文化財は、市指定より県指定が上で、それより上が国指定で、もっと上等なのが世界文化遺産だなんて、だれが考えたんでしょうね。こうなりゃもうひとつ上の宇宙文化遺産ってのをつくって、その第1号登録はガガーリンのスプートニク、第2号は月にある人間の足跡ってのはどうです」
裏長屋の世界遺産談義http://homepage2.nifty.com/datey/kama-sekaiisan.htm

 今朝(2011年11月27日)の朝日新聞にこんなことが載っている。
「人類が初めて月に降り立った米アポロ計画での着陸地点を「歴史的遺産」として立ち入り禁止にする指針を米航空宇宙局(NASA)が検討していることがわかった。(中略)
 アポロ計画では、1969~72年に計6回、宇宙飛行士を乗せた宇宙船が月に着陸した。それ以降、人類は月に行っていない。朝日新聞が入手した指針案では、着陸地点や月面の機器類を「歴史的・科学的にかけがえのない遺産」と位置づけている」

 これってまさに宇宙遺産のような話だなあ。
 日本に関する宇宙遺産はなにがあるのだろうかねえ、小惑星「イトカワ」にある「はやぶさ」の痕跡かしら。
 無理を通して富士山とか鎌倉とか世界遺産にしようなんて言わないで、宇宙遺産を目指してはいかがでしょうか、文化庁さん。
 あ、今日は鎌倉で世界遺産に関する市民ワークショップがあるんだ、余計なこといってさげすまれてははいけないな、気をつける。

2011/11/26

538江戸タワーと東京タワー

芝の増上寺の三門が、ただいま特別に一般公開中で、2階に登ることができると知人が教えてくれた。
 あの門の上からの風景はどんなものだろうか、広重の浮世絵にあるような芝浦の海が見えるわけはないが、それでも比較してみたい。
 入場料500円を自動販売機で買って、三門に登る梯子の下の受付の女性に渡す。ふと見ると梯子の手すりに「写真撮影禁止」と書いてある。
 え、でもこれは多分、中にある仏像のことでしょ、こちらは仏像には興味なくて、外部の風景だから撮影はOKだよな、でも念のために、受付女性に聞いた。

「あのー、撮影禁止って内部のことで、外の眺めはOKね」
「いいえ、それもお断りしています」(あ~っ、聞かなきゃ良かった、もう遅いか)
「え~っ、だって外の景色ですよ、それがなぜいけないの」
「だって、外を撮るカメラを回して中を撮る人がいるでしょ」
「宗教法人なのにケチですねえ」(お寺さんが人を疑うようになっては世も末だなあ)
「景色といってもビルばかりですよ」
「それを撮りにきたんですよ、ダメなら500円返してよ」
「ここには現金がないのです」(券売機に内外写真禁止と書いとけよ)
 後ろに行列ができているし、しょうがないから登ることにした。

 内部といっても、木組みにはすこし興味あるが、仏像群には何の興味もない。
 もっぱら景色を眺めていて、ふと足元の注意書きに気がついた。
「三門内撮影禁止 ご協力ください」
 ということは、三門「内」撮影禁止だから、三門「外」はいいんだよな、うん。
 で、これが三門二階から大門方向(東方向)を望む風景。

 広重の描いた「江戸名所 芝増上寺 従山門上市中眺望之図」はここに載っている。
http://www.lib.city.minato.tokyo.jp/yukari/j/ukiyoe-zoom.cgi?id=6&num=photo3
 同じ角度では撮影できないし、そもそもデフォルメがあるし、あまりにも変わりすぎていて今昔の比較を超えている風景となっている。
 江戸時時代のひとたちも、こうやって高いところに登って景色を見たいってのは、その後の東京タワー、そしていまやスカイツリーと、現代人と同じであった。
 増上寺三門は「江戸タワー」であったのだ。

 増上寺境内だった芝公園の中には東京タワーが建っているから、まさに江戸タワーの後継者であったのだと、その立地の由緒正しさを今ごろになって知った。
 江戸タワーに登ったついでに東京タワーにも登ろうかと行ってみた。
 え、1420円もするのかあ、それで250mじゃあ、無料で202mの東京都庁展望階のほうがいいなあ、なんて、懐勘定が先にたって引き返したのであった。
 独りで登るのはもったいない、出直して誰かとわいわい騒ぎながら登ろう。

 東京タワーはわたしが大学生時代に、日々高くなっていくのを眺めたという青春のシンボルタワーなのだ。
 でも、実は東京タワーに登ったという記憶はあるのだが、それがいつのことか思い出せない。40年以上も前だったような。
 このところスカイツリーばかり評判なのが、ちょっとシャクである。
 こうなったら、「東京タワーには登るけどスカイツリーには登らない会」を作ってやるか。会員兼会長はわたし一人か。
 そういえば、だいぶ前に思いついていたことに、「東京ディズニーランドに入らない会」ってのがあった。今となったら、入ったことのない人が自慢になる。
 わたしは実は裏門から一度だけ、ご招待いただいて入ったことがあるから、会員の資格がない。でも、正面から金を払って入ったことがないので、会員資格ありとするか。

2011/11/25

537【くたばれ乗用車】人を撥ね飛ばす車BMW広告

この広告を出した企業BMWは、こんな賞賛を受けることを期待しているに違いないから、ご期待に沿うことにする。(朝日新聞2011年11月25日 13版 10ページ)
「山あり谷ありを愉しくする…」って文句で、スキー場にはいり込んだBMWが、スキーヤーを撥ね飛ばした写真が載っている。
 すごいねえ、山や川、スキー場だって平気だ、どんどん車で入り込んで、人を撥ねて愉しむんだってさ。
 
 普通は、こうはなかなか言えるものではない。自動車屋の本音を吐露した貴重な広告として、保存に値する。

 今日の朝日朝刊には、自動車広告が多い。ついでにあげつらう。
 Mercedes-Bebzの広告の文句は、ナントカカントカ波で「…あなたを守ります」って、新興宗教みたいだが、これって当然、歩いている人を守るってことですよね。

 VOLVOの広告の文句には「…常に人を第1に考える製品哲学…」とあるから、これも当然に歩く人を第1に考えるってことでしょう。

 SUBARUの広告の文句は「こいつとなら、とべる」とある。なるほど、歩行者を轢き殺しそうになったら、パッと飛び上がるんですね、エライっ。

 Golfの広告文句は、「1.4本分 1495本分」とあって、クイズである。読んでもなんのことかわからないまま。

2011/11/21

536ラーメンと歩道橋

東京のあるラーメン屋が、日本来訪中のブータン国王のご要望で、ラーメンを献上にいくので午後は休業というBLOG記事を発したところ、本気にして問い合わせした人、そんな不敬なる冗談はけしからんと怒る人で、サイト炎上したとか、そんなネット情報が流れている。
http://www.j-cast.com/2011/11/20113703.html?p=all
 このネット情報そのものが、もしかしたらタイアップ宣伝かもしれないが、冗談を真に受ける人が多いのは、ネット言語社会が未成熟なる証拠である。

 この店は、ちょくちょくこういう冗談口を流しているのだそうだ。おもしろい。
http://jirora.blogspot.com/2011/11/blog-post_1911.html
「さてさて毎度急で申し訳ありませんが、臨時休業のお知らせです。本日19日土曜日昼の部、目黒店はお休みさせて頂きます。国民総幸福(GNH)が高い指標を誇るブータンの国王夫妻が来日中で、ラーメン二郎を食してみたいとのご要望があり、赤坂迎賓館まで出向いて参ります。美男美女の国王夫妻に幸せのとどめを刺して参ります。夜は真面目に営業いたします。何卒よろしくお願い致します。」

 未成熟なるネット社会で、わたしも「横断歩道橋は素晴らしい」という冗談記事を、わたしのサイトに乗せたら、まじめにお問い合わせがいくつかきて、弱ったことがある。
http://homepage2.nifty.com/datey/m3hodokyo.htm
 しょうがないから、文章の後に「これは冗談です」と追加記入したものである。
 まったくもってネット社会は、用語も言葉遣いも間違いだらけの日本語だし、パロディや皮肉、冗談が通じない、つまらないところかもなあ。

ーーーーーーーーーーーーー990610ーーーーーーー
横断歩道橋は素晴らしい   伊達美徳

●横断歩道橋は安全安心社会を実現する
 昇り降りが大変な歩道橋ですが、見方を変えるとこれは足腰を鍛えるために、自動車社会から人間へのありがたい贈りものですね。
 健康のために一日一万歩は歩きましょうなんて時代に、毎日これを昇り降りして買い物やら通勤通学していると、老後への健康が保証されるのです。アスレティッククラブで走らない自転車こいだり、ベルトコンベアーの上を走ってるより、はるかに経済的です。
 われらが税金の投資効果はここにも現れます。健康な老人が増えると、高齢者介護や保健の問題も解決します。
 もちろん、横断歩道無視の車に轢かれなくてよくなるので、交通事故がなくなります。
 大災害があって、道は燃える自動車にふさがれたとしても、横断歩道橋をわたって避難することもできます。
 安全安心社会は横断歩道橋から、ということになりそうです。 

●横断歩道橋は都市景観に個性をもたらす
 何でもないストリートの風景を、横断歩道橋はひきしめています。単調な人どおりのない田んぼの中の道にかかっていると、特にいいですね。
 街の入り口に建っていると、ゲート役割をします。橋桁に街の名前や案内が書いてあり、ここがどこかよくわかります。
 でかい横断幕がかかっていて、上手な字で「呑んだら乗るな、、」なんて、ありがたい交通安全標語が書いてあったりして、その歩道橋も横断幕も風雨にさらされて、さびやらほころびやらでエイジングがゆきとどいたりしていると、そのまちの風格がよく見えてきます。
 歩道橋の上に登ると、ちょっと違った風景が見えて、あらたな都市を眺める視点場を提供します。鎌倉の若宮大路の八幡宮の「一の鳥居」と「二の鳥居」との間にある横断歩道橋の上から眺めまわすと、この都市の歴史的な風土の構成ををひとめで理解することができます。
 これも鎌倉のもっとも重要な歴史軸である若宮大路の上にかかっているからこそ、それがよくわかるのです。他の場所じゃだめで、うまいところを選んだものだと、道路事業者の眼のつけどころに敬服します。
  ところでその位置からして、この橋にこそ「二の鳥居」の名前をあげて、今の「二の鳥居」と「三の鳥居」は、順送りに三、四と変えるべきでしょう。、
 道路でお祭りやら暴走族のイベントがあると、横断歩道橋は格好の高見の見物席になります。街の活性化の重要な仕掛けです。
 横断歩道橋は、その街の都会度・田舎度をはかるバロメーターになります。もちろん橋の数がおおいほど都会であり、横断歩道橋がうちの街の田んぼ道にもついて、都会度が1ポイントあがった、なんて喜ぶようになるのです。
 こうして横断歩道橋は、都市と田舎論をめぐる都市民俗学の研究にも今や影響をもたらしつつあります。

●横断歩道橋は日本経済に活力をもたらす
 交差点という交差点には、すべて横断歩道橋をかけましょう。いや交差点ばかりか、とにかく車道を横断するところはすべて横断歩道橋をかけるように、道路法を改正を提案します。
 こうすれば公共投資が全国に波及します。用地買収しなくてもよいし、するとしてもそれほど大規模な用地が要るわけじゃないので、やりやすい。しかも地方の中小建設業でもできますね。
 今、横断歩道のあるところだって、設置すればよいのです。現にそういうところがあちこちにあります。誰も渡らないけど厳然とかかる橋、これを純粋歩道橋(赤瀬川原平さん流に)といいます。でも、公共投資でうるおっている人々もいるのです。
 また、車椅子のために新しいエレベーターやらアプト式エスカレータとか、技術革新をもたらします。
 車椅子ばかりじゃなく、自転車、乳母車、老人手押し車、子供三輪車、リヤカー、大八車など、どんどん横断歩道橋システムを開発しましょう。
 外国にもそのうちに横断歩道橋を輸出する時代がくるでしょうから、世界に追随をゆるさない横断歩道橋先進国日本は、たとえばタイ向けには象の渡るシステムを今から開発しておくとよいでしょう。
 この不況下の日本で、建設業にもメーカーにも活気をもたらすのが横断歩道橋、まことにけっこうなしろものです。
 いっぽうで、横断歩道橋の大普及につれて横断歩道がなくなっていけば、道路の自動車渋滞がなくなって、経済への波及効果は大きいでしょう。
 歩行者だって、どこでも横断歩道橋を渡ることができるようになれば、信号待ち時間がなくなるので、約束に遅れて商談に失敗することだってなくなり、まことにありがたいことです。
 こうして横断歩道橋の及ぼす経済波及効果は、某M菱N村総研シンクタンクの計算によると800兆円とか。(完 990610 まち2ネット投稿)
*参考文献「横断歩道橋の文化経済学」(未来出版)ほか
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 小論は、横断歩道橋への皮肉のつもりであるが、時に、真正面からお読みいただく方があって、投資効果(うそ800兆円)や参考文献の照会をされることがある。当方の文才の至らなさを、お許しいただきたい。(020616追記)

2011/11/19

535◆千ページ英語小説一気読み

年寄りのヒマ人になると、こういうこともできるという見本のような行為。
 本文985ページの分厚いハードカバーの小説本「Fall of Giants」(Ken Follett 2010)を、20日間もかけて一気に読んだ。
 こんな分厚い本を一気に読むなんて、これまでにないことである。それでも毎日寝る前の4時間、20日もかかったってことは、英語だからである。暇だからこそ、面白いからこそできたことだ。
 ただし、ハードカバーでこれだけ分厚いと、重くて寝転んで読めないのが難であった。いすに座り続けて尻が痛くなった。

 日本語のようにななめ読み飛ばしでもわかるほどの英語読解力は、わたしにはない。一応全文に眼を通さざるを得ないから、まどろっこしい。
 さらにまどろっこしいのは、知らない単語や言い回しがしょっちゅう出てくることだ。
 いちいち辞書を引いていたのでは、この稀代のストーリーテラーの物語を読むという、本読みの醍醐味の興をそがれてしまう。辞書から本に眼を戻すと、はて、どこを読んでたんだっけ?

 だから判らなくても、まあこういうことだろうと前後から類推して、どんどん進む。
 ケン・フォレットは、くどくどと状況説明をしてくれる大衆小説だから、それでもなんとかなる。
 よくわからなくて類推に頭を働かせていると、大衆小説がブンガクになるような気がするところが、よろしい。
 そうやっても1000ページを毎日毎日読ませるだけのストーリーだってことがすごい。

 それにしても1000ページの本である。
 しかも、表紙に「BOOK ONE OF THE CENTURY TRILOGY」と書いてあるから、まだこれから2冊の続編が出るらしい。3000ページかあ、すごいなあ。
 フォレットの小説はペーパバックで全部読んだはずだ。歴史物は面白いが、現代ものは愚作もある。
 前作の「WORLD WHITHOUT END」は中世の都市物語で、面白かった。
 今回は20世紀の物語で、第1次大戦を英独仏露米と地球ひとまわりが舞台で、これも面白かった。次作は第2次世界大戦だろうか。

 ケンフォレットのインタネットサイトを見たら、こう書いてあった。
More information on Fall of Giants
Winter of the World
Winter of the World, the second book in the 'Century' series, will feature the children of the characters in Fall of Giants as they live through the Depression and the Second World War. It is due to be published in the second half of 2012.
The third book, due out in 2014, will be about the next generation during the Cold War.
 そうか、これで来年と再々来年の暇つぶしは決まった。

●関連→japaniese-knotweed
http://datey.blogspot.com/2009/09/182japaniese-knotweed.html

2011/11/18

534間違っているぞ原発事故用語

福島第1原発の事故以来、なんだかよく分からない言葉がマスメディアに登場するのだが、どうも間違って使っているような気がするので、ここであげつらうことにする。

●「放射ナントカ」がわからん
 放射線、放射能、放射性物質など、どう違うの? 新聞に書いてある解説をたまには読むが、すぐに忘れる。
 専門的な用語はおいといて、要するに問題は「核毒」のことでしょ。「核毒」とはわたしの造語である。
 放射ナントカが人体に毒があることに要点があるのだから、そこのところをわかるような言葉遣いにしてもらいたいので、「核毒」といってしまってはどうだというのが、わたしの提案である。
「人体に直ちには影響がない放射ナントカ…」といわれてもピンとこない。「直ちには影響がない核毒…」といってもらいたい。そのうちに毒が回ってくるってわかるからね。
 ついでに、原子力発電は核分裂によって出る熱でお湯を沸かし、その水蒸気で発電機を回すんですってね。意外に原始的な原子力である。
 で、なんでも核融合ってのもあるらしいが、分裂で熱が出るならその反対の融合は冷却するんでしょうね。核融合で瞬間冷凍原子爆弾ができるのだろうか

●「除染」じゃなくて「汚除」でしょ?
 この事件ではじめて「除染」なる言葉を知った。長い人生ではじめてであったので、手元の広辞苑をひいたが、載っていない。もしかしてこれは造語なのだろうか。
 造語なら仕方ないにしても、読んだだけでは意味が分からないどころか、間違っている。
 汚染は「汚く染まる」のだから、その汚れをとり除くのなら「汚除」(漢文風に「汚を除す」ならば「除汚」か)であるはずだ。誰かが「汚染」から類推して「除染」と言い出したのだろうと、わたしは類推する。
 さらに問題なのは、核毒の汚れはとり除くことが不可能ということである。何かに着いた核毒を雑巾で拭いてそこからとり除いても、毒は雑巾に映っただけ、その雑巾を水洗いすると水に毒が映る、水を流すと下水道に映る、そして処理場にどんどんと蓄積されて、毒はどんどんと毒性を増してくる。
 汚除して汚除しても、汚移するだけで、ますます汚増、汚貯する始末である。
 除染なんていい加減な言葉は、誤解を招くだけのような気がする。明快に「除毒」といってほしい。

●「電源喪失」って「童貞喪失」みたいなものなの?
 福島第1原発が事故を起こしたのは「電源喪失」によるのだそうだ。要するに事故を防ぐ電力がこなくなったってことらしい。
 わたしがひっかるのは、まず「電源」である。電源とは「電源開発」というように、発電所のことだろう。福島原発は確かに電源だが、電源喪失の電源は他の発電所から来る電力のことを言っているようだ。
 それなら他の発電所が地震で消え去ったのかと読んでみたら、それは無事で、要するに電力が来る電線が切れたってことらしい。
 じゃあ、電源喪失じゃなくて電線喪失でしょ。
 さらに「喪失」がおかしい、ヘンである。
 普通は喪失ってのは、処女(童貞)喪失とか記憶喪失とか権威喪失とか気力喪失とかって、どんと心に響く属人的な状況に使うのである。
 電気なんて物理的なことには使わないもので、金銭喪失で貧乏とか、食料喪失で腹ペコとか、あなた、言いますか?
 ここは「電力遮断」なんでしょ。
 なお、本当の電源喪失とは、発電能力を失った福島第1原発がまさにそうである。いまや「強力核毒大型ゴミ」であるが。