2010/02/06

237【くたばれ乗用車】奴与太・鰤臼

 鰤臼とかいう名の自動車のブレーキがきかないとか、アメリカではブレーキが利かなくて突っ走って死んだとかで、「顧客の視点でつくっていない」なんて、マスメディアはメーカーの奴与太をさんざんに非難している。
 おい、ちょっと待ってくれ、どこかおかしいんだよなあ、その言い方が。
 顧客ってのは、その車を買う人なんだろうし、その買った人が欠陥車で死ぬかもしれないからけしからんとの論調ばかりなのは、どうも片面的な視点でありすぎて、おかしいと思うぞ。
 わたしが道を歩いているとする、そこにブレーキのきかない鰤臼がやってきて、わたしを跳ね飛ばし轢き殺すのは、いったいどうしてくれるんだよ。
 その第三者被害の可能性の視点でこの問題を論じているヤツはどこにいるのか。
     ◆◆◆
  そもそも自動車メーカーは、乗ってるヤツの安全ばかり考えて、歩いていてはねられ殺されるかもしれない第三者のことを念頭にいれていない車つくりをやっていて、実にけしからん。
 例えば、ぶつかったらバンと開くエアバッグである。あれは運転席につけるのじゃなくて、バンパーあたりの外につけるもんだろ、そうすりゃ少なくともひき殺されなくてもすむだろうに。
 バンパーだってあんな頑丈だから、ぶつかった歩行者を殺すか怪我させるに決まっているだろ。
 わたしが乗用車の設計をするなら、運転席をいちばん前に持っていくね、ぶつかったら即運転者が怪我するようにすれば、嫌でも安全運転するはずである。今の設計は少々ぶつかっても運転者はなんでもないが、ぶつけられたほうは大怪我か死ぬ。それが根本的におかしいのだ。
 とにかく、自動車の設計思想には、これが第三者への凶器にしないとする観点が抜けている。いや、逆か、第三者への凶器として設計しているのだな。
 特に鰤臼は、エコなる福の神の仮面をかぶっているが、実は中味は鬼であった、と、ちょうど節分にふさわしいニュースとなった。

2010/02/02

236【老い行く自分】昔々丹波で出会って影響を受けた伊藤ていじ先生が亡くなられた

 今朝の新聞に、建築史家の伊藤鄭爾さんがなくなられたことが報じられている。
 享年88歳とあるから、思い出せばあれは先生が38歳のときであったのか、もっと若かったように思っていたが、、。
この「日本の民家」の本は、学生時代にフィアンセからもらった。
 1960年の夏、わたしは大学の建築史研究室所属の同期仲間3人で、丹波の農村に滞在して民家の調査をしていた。東京大学の建築史研究室との共同研究で大勢の学生や院生たちがいて、その指導教官の一人が伊藤鄭爾さんであった。当時は東大の助手か、助教授だったのだろう。

若い身でありながらその語る人生感と個性に、わたしは強烈な印象をもち、このときに何がしかの影響を受けたのであった。
 一面の稲の田んぼの田舎道をテクテクと出かけて、古い大きな茅葺の民家に上がりこんで、屋根裏まで入って煤で真っ黒になる毎日であった。

 伊藤さんは、ひょろひょろの細身で、力がないからカバンは持たないのだと、風呂敷包みひとつを持ってひょいひょいと歩きながら、そしてまた夜は酒飲みながら、いつもなにかを語って下さった。
 細い身で力が無いのは、結核で死にかけたからであった。東大の院生だったかのころ、病院で寝ているある日、目覚めると周りには泣いている人たちがいる、ははあ、俺はいま死のうとしているんだななと思ったけれど、気力がないから何の不思議もなく眺めていた、という。

 ところが、それほどの病状だった土壇場に、ストレプトマイシンが登場して、その投与で治癒したのであった。
 伊藤さんが言うには、そのストレプトマイシンは貴重な薬であり、なかなか手に入らないものであったので、ある種の差別的な患者選択で投与の優先順位が決まって、東大の研究者はその投与対象に入った。だから、今の自分は何千人何万人かを押しのけて生きているんだから、それだけに熱心に生きなければならないんだ。

 丹波の田舎で聞いた伊藤さんのとどまらない多くの語りは、今考えると彼一流のヨタ話もあったかとも思うが、若いわたしはおおいに感激をしたものであった。
 田園の美しさについて、伊藤さんにわたしが反論した覚えがある。
 ある日の出かける途中で伊藤さんが、この田園風景の美しいことはどうだい、と感激していう。
 わたしは、その美しさの陰には苦しい労働があるのを忘れはいけませんよ、すると伊藤さんは、いや、美しいこととそれとは別ものだよ。この話がどう決着したか忘れた。
 たくさんの話の中からはっきり覚えているのは、先生が死の床から劇的に生き返った話だけである。

 そして伊藤先生は、民家研究の大成者としてその世界を築き、教育者としても工学院大学の学長もなさって、かつて押しのけたかもしれない人たちに代わって立派に米寿まで生き遂げられたのであった。
 その後はわたしは伊藤先生とは縁がなくなったが、大判の「日本の民家」なる評論と二川幸夫の写真、あるいは「谷間の花が見えなかったとき」という松本與作評伝とか「日本デザイン論」などの印象深い著書が、たくさんのわが蔵書処分から逃れて今も手元にある。

 1980年ごろ、東京駅のステーションホテルでのなにかの会合で見かけて、その昔、丹波でお世話になったものでございますと、深くお礼を述べたことがあった。
 もちろん、先生はわたしを覚えてはいらっしゃらなかったが、わたしとしては20年ぶりに何がしかの荷をおろした感があった。

 この4年ほど通っている中越山村で民家調査の手伝いをやることになり、一昨年から半世紀ぶりに屋根裏で煤まみれになる再体験をして、伊藤さんを思い出していたところに、訃報であった。合掌

2010/01/30

235【くたばれマンション】去年はマンション不況でよろこばしい

 国土交通省が2010年1月29日に発表した住宅着工統計を見ると、2009年中の着工戸数は788,410戸であった。
 2008年中のそれは1,093,485戸だったとあるから、なんと3割減である。
 持家も貸家も分譲住宅も減ったなかで、給与住宅だけが増えているのは、どういうわけだろうか。

 減少の中で分譲型共同住宅(日本ではマンションというが、実は名ばかりマンションのこと)は、2009年中は76,678戸(内首都圏100,726戸)、2008年中は182,572戸(内首都圏40,041戸)だったから、なんと58パーセント減少(内首都圏6割減)である。
 大地震が来たら危険極まりないこの分譲共同住宅が減っているのは、なにはともあれ喜ばしいことだ。

 しかし、着工が減ったといっても実戸数は増えているので、新たに18万戸ということは30万人以上がこの危険なものに昨年から新たに住みだしたか、住みだしつつあることになるのだろう、コワイ、、。
 わたしが推奨する貸家が、2009年中は321,469戸で、これは2008年中よりも3割も減少しているのが、気に入らない。
 統計に公的な住宅が分類として登場してこないも、気に食わない。統計に載るほどの戸数供給をしていないってことか。全く気に食わない。

●参照→230震災記念日・マンション売逃げの勧め
  
   125名ばかりマンション
     187民主党の居住・住宅政策は?

2010/01/26

234【怪しいハイテク】ウイルス対策ソフトウェア

 インタネットにつなぐごとに、ウィルス駆除ソフトの期限が切れたから、延長手続きをせよとの画面が、毎度毎度立ち上がってうるさくてしょうがない。
 そういえば、今入っているヤツは2年有効だったなあ、きれたのか。

 ネット上で延長手続きをすることもできるので、いくらなのか見たら、1200円で1年期限とある。まてよ、これを買ったときは1980円で2年期限だったのに、こんどは高いのはどいうわけだ?
 えい、安売り電器屋に行ってみよう。もっと安くていいやつがあるかもしれない。

 そこでコジマだかノジマだかヤマダだか、同じような名前なので自分がなんという店に行ったのかいつも分からないのだが、その店に行ってきた。
 同じメーカーのもので、2930円で更新期限なしってヤツがあった。断然こっちのほうが安い。ネット上の更新のほうは箱もCDも流通経費もみんなタダなのに、なんで1年で1200円なんだよ。

 気になるのは、メーカーがもしつぶれたら、日常の更新手続きもとだえるのだろうか。そうなると安いか高いか分からないことになる。
 まあ、いいや、買ってきてインストールした。ソフトウェアのメディアは、CDではなくてUSBメモリーであるのが、ちょっと進化していた。
 ところで、PC3台までインストールできるとあるが、うちには1台しかない。残り二つ、だれかに高く売りつけてやろうか、。

2010/01/25

233【各地の風景】伊豆下田みやげ

 伊豆半島の突先にある下田の街に行ってきた。幕末に黒船がやってきた日本鎖国の敗れる歴史の町で、その関係の史跡の宣伝もあるが、私はそれにはあまり関心が無い。
 町に風景のなんといってもよいところは、伊豆石となまこ壁の町屋や土蔵が町に中に宝石の如くちりばめられていることである。
 
観光的に土産物屋や飲食店にその町屋や土蔵を活用して、それらしくしているところもある。
 しかし、わたしが惹かれたのは、なまこ壁や伊豆石の家が、ごく普通の生活空間として街に生きていることである。いかにも伊豆の町にやってきたと言う雰囲気を、よそ者として楽しんだのであった。
さて、観光地ならおみやげである。みやげはめったに買わないのであるが、ひとつだけ自分のために買った。
 それは布草履である。数年前に倉敷で買って室内履きとしていた布草履が傷んだので、下田産のそれに買い換えたのだ。NPO経営の土産物屋で600円。
 もっとも、倉敷や下田が草履の名産地であるとは、聞いたことがない。

 参照→伊豆の下田に行ってきた

2010/01/24

232【横浜都計審】都計審委員全敗記録をまたもや積み重ねた

 横浜都市計画審議会の委員になって、この1月で6回目の審議会であった。
 その間に毎回、いくつかの議案に対して問題点を指摘して、いろいろと提案をしてきた。
 好んでイチャモンをつけているのではないが、議題となっている現地を見てくると、何がしかおかしいところが見つかるので、審議会で委員のみなさまに披露して、考え直したほうがいいと言っているのである。
 しかし、わが意見が入れられたことは一度もなくて、みごとに毎度の連戦連敗の全敗で、記録更新を続けてきているのだ。

 さて、この1月審議会では、ついにこの記録の積み重ねは終わるだろうか?、、張り切って画像まで使って意見を述べた。
 今回は、市街化調整区域から新しく市街化区域に編入する地区について、現地を見てきたら、その新しい用途地域指定がどうも実情にも合わないし、今の社会としてもそのような都市計画は不適切であると気がついて、原案に反対したのだ。

 出席委員21名、採決したらわたし1人だけ原案反対、あと19名(会長は意志不明なので除く)は原案賛成、見事にあえなく全敗記録またもや積み上げ!
 今回は嬉しかったのは、土俵の外であったが、二人の委員がそれなりの理解を示してくださったことだ。いつも泣いてた?ドンキホーテ・寅次郎は少しは気をよくしたのであった。

 医院の人気、アレ、委員の任期はこのあと2回でおしまいになので、これからも記録の積み上げを目指して、ガンバリます。

●詳しくは→郊外開発誘導型の都市計画は変らないのか
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin/7-kogai-toshikeikaku

2010/01/22

231【横浜ご近所探検】歴史的建築のコピー再現が流行するこの頃

横浜球場のそばに、ストロングビルと言う、ちょっとモダンな戦前の3階建てのビルがあった。2007年に壊されて、跡地にホテルが建った。この1月に開業らしい。
 表から見ると、1階から3階まではもとのストロングビルのファサードをコピーして再現している。

 もとのビルとの格好の違いはよく分からないのだが、どうも階高が高くなっているようである。
 大きな違いは、もとのビルは道路境界線まで一杯に建っていて、一階は5段くらいの階段を登って入るようになっていたが、新ビルの1階は道路面と水平、外壁が道路から5mくら引いていることだ。

 ビルのコピー再現は、本町通りの銀行だったビルを共同住宅の下に持ってきている例があるし、国の合同庁舎も蚕糸検査所を低層にコピー再現だし、横浜には多くある。
 伊勢佐木町の商店街にある松坂屋も閉店してもう1年以上になるだろうか、これもそのうちに壊して建て直すが、ファサードの一部をコピー再現するそうである。

 いまや建築ばかりではなく、牛や馬はクローンとかでコピー再現が可能になっているから、世の趨勢だろう。そのうちに人間もそうなるか。

2010/01/17

230【くたばれマンション】震災記念日につきマンションの売逃げをお勧めします

 今日は、あの阪神淡路大震災からちょうど15年目の日、何かと関連行事があるようだ。
 私がこれに関して思っていることの一番は、あの時、ものすごい数の住宅難民が出たことの教訓を、すっかり忘れていることである。
 この「伊達な世界」ブログにも本家「まちもり通信」にも何回も書いているのだが、今日はまた書く。

 大都市では超高層マンションなど、1棟でものすごい戸数の大規模共同住宅ビルが次々と建っている。分譲広告が新聞紙面や折り込み広告を賑わわせている。
 もちろん、それを買い求める人がいるからだろうが、こんな危ないものはないのに、なぜ売る人がいて、買う人がいるのか、なんとも不思議でしょうがない。
 阪神淡路大震災のときに、いちばんの問題になったのは、マンションと言われる分譲共同住宅ビル(正確には区分所有型共同住宅)であった。ばっさりと倒れたり、柱や梁に亀裂が入ったり、設備が壊れたりして、建て替えやら大規模修繕になったりした。

 そこに住んでいた人たちは一時は住宅難民になったが、それは他の戸建住宅でも同じである。
 ところが、マンションと言われる分譲型共同住宅ビルの人たちは、そこから先に超難題が待ち受けていたのだ。
 それは、分譲で各戸を別々の人が持っているいるのだから、建て直すにしても修繕するにしても、そのための大金を負担するには、持ち主みんながOKしないと前に進まない。貧乏人もいれば金持もいて、意見がまとまらない。
 大規模なものほど権利関係者が大勢いて、いつまでもまとまらない。法制度の改正までしたが、人々の心までは法は踏み込めない。
 多くのマンション難民問題は後々まで引きずった。いや、今も引きずっているであろう。

 そのようなことがあったから、その後は分譲方式の共同住宅ビルは規制するかと思ったけど、そんなことはぜんぜんない。
 姉歯事件(耐震偽装)なんてことがあって、あれに関わった賃貸住宅は早期に建て直しなど解決したが、分譲共同住宅は今もほとんど解決しないでいるようだ。震災のときと同じことが起きたのに、何も規制をしなかったのだ。
 近頃は超高層マンションとかで、一棟で1000戸もあるようなものも建っているらしい。「このビルは免震構造で大地震にも安全です」と宣伝文句に入っているかもしれない。

 たしかに建物は工学技術的には倒れないかもしれない。
 でも、上下水電気等の設備配管やエレベーターなどは、それ自体を頑丈に作っても耐震にはできないから、かならず壊れる。
 また、建物が揺れたときに、とりあえずは人命に関わらない程度に、どこか壊れるようになっていて、そこが地震エネルギーを吸収するようになっている。
 もちろん超頑丈に作って、ぜったいに壊れないものを作ることは技術的には可能かもしれないが、それにはものすごいお金がかかるから、売れないだろう。
 震災後にもその建物は見たところは建っているけど、中味はずたずたぼろぼろ、大規模に修繕する必要が出るに違いないのだ。

 そのとき、超高層ビルでは規模がでかいだけに、また共有部分が多いだけに、とんでもない工事費がかかるに決まっている。修繕積立金はそのようなことも含めての金額なのだろうか。そこまで修繕積立金を載せたら、販売額が高くなりすぎて売れないだろう。
 その大規模修繕工事費の負担を、1000人もの持ち主が簡単に同意するだろうか。法的には4分の3賛成で建て替えが可能だが、現実はそうはいかない。一人でも反対すると難渋するのだ。
 超高層でなくても、何棟かがひとつの敷地にあって、低層、高層などが数棟ある場合、大地震で棟ごとに壊れ方が違うから、違う被害の建物を一緒にして建て直すとか大修繕とかになると、益々こんがらかってくる。

 そんな危惧のある大規模分譲共同住宅(あえてマンションなんて格好だけつけて言わないのだ)に住む人は、いまや何万、何百万人いるのだろうか。そんなもの禁止すればよさそうなものだが、あまりにたくさんできてしまって、今更禁止にすすると社会問題となるからしないのだろうか。
 でも実は、大震災で難民続出という起きるべき社会問題を、分かっていながら見ない振り考えない振りして、先送りしているだけなのである。日本の人々は、いったいどうなっているんだろうか。
 もうすぐ来るという静岡あたりや関東あたりの大地震、明日かもしれないし、20年先かもしれない。
 そのときになって困っても、わたしは知りませんよ。別にお前に知ってもらってもしょうがないよって、言われそうだが、そのとおり。
 だから、わたしは1棟まるごとの賃貸借共同住宅ビルの1室に借家住いなのだ。壊れたら大家さんがナントカするでしょうよ、ちゃんと高い家賃を払っているんだから。

 分譲大規模共同住宅を持っている読者のみなさま!、大地震が来る前に早いこと売り逃げしたほうがいいですよ。
 結局は大地震が来た時に持っている人が、トランプのババ抜きのババをつかむのだ。問題は、トランプと違ってババの数があまりにも多いことだ。そして、そのことが分かっていながら何らの対策もなくて、どんどん危ないババ住宅が増えていることである。
 なお、不動産業界には既にババ抜きと言う言葉があるらしいが、それは傷物とか古物の共同住宅のことを言うらしい。
 ここではそうではなくて、不動産業界ではれっきとした代物としているので、なおさら厄介である。

 ところで不思議に思っているのだが、こんな心配をするわたしはおかしいのだろうか。誰もこんなことを言っていないのが、奇妙なのである。
 これをお読みなった方で、わたしのいうことが間違っているなら、ぜひ教えてください。
 メールアドレスdateygアットgmail.com(アットは@になおして)伊達美徳宛てに教えてください。
 お願いします。

 アっ、いま揺れているぞ、、。
 おりからカリブ海での大震災報道があるが、あれは海の向うのことではないのだ。明日、こちら岸のあなたに起こるかも、コワッ、、。

(追記2010年1月28日)
 昨日の朝日新聞東京版の1面に、分譲マンションの怖い記事が出ている。
マンション管理費、住まない所有者へ増額認める 最高裁」の見出しで、分譲マンションの部屋を持ちながら自らは住んでいない「不在所有者」には「居住所有者」より額を上乗せして払わせてもよい、との判決が出たというのだ。
 所有してすんでいるものは一生懸命に管理する努力をしているのに、投資目的で他人に賃貸している所有者は何もしないという不公平を、管理費増額で差を埋めようとしたら、訴えられたらしい。
 つまり、分譲型の共同住宅はこんな紛争がおきるほどに、居住形態と所有形態に矛盾が出ているということである。

 もしも震災により大規模修繕や建て直しが必要になったときに、この間での対応は大きく違ってくるだろう。
 投資目的所有者は、壊れた時点で投資が終了したのだから、新たな投資をして立て直すよりも放棄して、ほかの物件に投資するほうがよいに決まっている。建て直し派と放棄派との間に面倒なことが起きるだろう。
 こうして共同住宅は、立体お化け屋敷になる可能性が充分にあるのだ。
 いやもう、実は既にそんな共同住宅が実在するらしい。こんなことでよいのか、。

参照→◆名ばかりマンション   085借家か持家か
姉歯大震災の喚起するもの(2005~2007)
賃貸借都市の時代へー体験的住宅論(2000~2008)

2010/01/15

229【世相戯評】カブが安いとて蕪でも買うか

 日本航空会社が会社更生法適用とかで、そのカブが超安値と新聞第1面の記事、そこでいつもは縁の無い株式欄ページを見る。
 え~と、目がちらちらするなあ、いったいどこに日航と書いてあるんだ? あ、JALとあるこれだな、おお、安値6円とある。

 これをどう評価するのか知らないが、デフレ時代で物価が安いからカブも安いのだろうなあ。
 他と比較してみると、え~と、同じような一ケタ値段があるか、、、あった、おお、堂々の5円!で日航の負け、いや、勝ちか、。この「シルバ精」って、なにしてる会社かしら。シルバー世代に精をつける品をつくってるのか、ならば、もっと景気がよさそうなものを、、。

 わたしも八百屋でカブを買うことがある。
 この葉っぱを刻み、根部を適当に切って、しょうが千切りを混ぜ、塩少し、昆布一切れとともにポリエチ袋に入れてちょっと揉み、半日くらい冷蔵庫に入れおく。簡単に作れて美味い酒の肴だ。
 八百屋のカブは、6株を束ねて200円くらい、1株33円、日航株の5倍以上もする。

2010/01/11

228【くたばれマンション】斜面地共同住宅

 
 街の中を車で走っていたら、建物の陰からチラッと、異様に明るく真っ白に輝く巨大な丘が見えた。
 とまってしげしげと眺めると、それは大きな丘の斜面におおいかぶさって斜めに建っているというか寝転んでいる共同住宅ビルが、西日を浴びているのであった。
 後に見えるふたつの鉄塔は、その丘の上に建っているらしい。
 丘陵の斜面の緑をそっくり剥ぎ取ってしまって、住宅群に置き換えられた丘には、まるでたくさんの切り餅のようにバルコニーが積み重なっている。中央に青い包丁が立てかけてあるのは、斜め昇降エレベーターらしい。

 また別のところでも斜面地共同住宅に出会った(下の写真)。こちらは隣に緑の斜面があるので、元はどんなところか分かる。
 斜面地は相対的に地価が安いから、土木や建築の工事費がかかっても採算にあうのだろうが、こんなのばかりになると風景は一体どうなるんだろうか。

●参照→崖地はめ込み共同住宅