2009/02/04

093【歴史・文化】東京の歌舞伎座の改築の姿はどうなるんだろうか

 東京東銀座にある歌舞伎座を建替えるそうである。
東京駅が昔の形に復原、中央郵便局は後ろに超高層を建ててファサード保全、さて今度はどうするのかと発表された絵を見たら、何にも特徴のない超高層ビルが後ろに建っていて、それはそれで中央郵便局のような紙ヒコーキデザインよりもよいのだが、ご本尊の歌舞伎座の方は今の形のイメージ継承とでも言うのか壁面からは過剰な装飾をそぎ落としているが、入母屋風の屋根があって、玄関には唐破風が付くらしい。

 その絵を見てのわたしの第1印象は、おお、これは妻木頼黄設計の昔の勧業銀行本店そっくりだなあ、ってことであった。もっとも、妻木のほうがプロポーションが若干よい。丸の内にあったこの建物は、数奇の変転を経て今は千葉トヨペットって名の企業の本社建物になっているそうだ。

計画は伊藤滋委員長(相撲協会理事でお忙しいことでしょう)、設計は三菱地所、デザインは隈研吾という組み合わせらしい。
 今の形で再現か、戦災前の形に復元か、いやその前の形か、いやいやその前の初代の姿に復元か、いや現代のモダンデザインがよろしいとかなんとか、かまびすしいことになっているのか、なっていないのか、よくわからない。

 さて、銀行協会、工業倶楽部、東京駅、三菱1号館、中央郵便局とあれこれあってここまで来ると、建築史学者・保存派建築家はとにかく復元さえすれば何でもよろしい一本やり石頭から、少しは利口になって世の歴史の流れというものを考える時代になっているかしら、。
 歌舞伎座は彼らにとって、一種の踏み絵となりそうである。
 これら6つ並べて、さてどれが一番で、どれがビリケツでしょうか、なんて。

 それにしても隈研吾って、何でもありの便利な人だなあ。
 隈の名を見ると、ドリックオーダーがどーんと建っているバブルデザイン店舗(今は葬儀会館になっているとか)をいつも思い出す。

 そういえば、石原都知事が、風呂屋みたいでいやだって、デザインにイチャモンつけたとか。
 浮世風呂も歌舞伎小屋も、出自の猥雑さに大して違いはなかろうに、見下されて差別されちゃった。

 参考→東京駅復元反対論  

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