2014/02/05

894今にアジア太平洋戦争遺跡が世界文化遺産登録候補に出てくるに違いない

2014年2月5日NHK NEWS WEBに、こんな記事が載っている。
「日本政府が、福岡県の「官営八幡製鐵所」など、九州や山口県を中心とした「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産への登録を目指していることについて、韓国のユン・ビョンセ外相はユネスコに対し、「韓国の国民が徴用された悲しい歴史の場だ」として、反対する考えを示しました。」

 あっちでもこっちでも世界文化遺産登録候補に手をあげているが、文化とは相対的な価値であるから、当然にこのような問題が起きる。あちらの文化はこちらの非文化ってことは、ざらである。そもそも文化ってなんだってことにさえなる。
 人間の行為による所産はすべて文化であるとする、文化人類学的定義をすれば、なんでもかんでも文化遺産である。
 だから、あちらの文化もこちらの文化も相対化して、登録遺産の意義として取り込んでしまえばよいと思うのだ。

 この産業遺産登録について、今の不仲な両国の間でどんなことが起きるのか、起きないのか、わたしには見当がつかないが、実に興味がある。
 まさか意趣返しとは思わないが、ごく普通に考えても、アジア太平洋戦争の日本軍による加害の遺跡が、世界文化遺産登録の候補に登場する日が、近いうちに来るに違いないと思う。
 その時のことも考えて、日本側は対応する必要がある。

 だってさ、日本には「原爆ドーム」という、正真正銘のアジア太平洋戦争遺跡を世界文化遺産に登録した前例の実績があるのだからね。こっちはよくてあっちはいけない、なんて言えないでしょ。
 もし今になって、原爆投下という人類の愚行を記念する世界文化遺産に原爆ドームを登録すると言ったら、原爆を落としたアメリカ側からは、あれは戦争をストップさせて更なる悲劇を防いだ賢明なる行為であったのだと反対論がでるだろう。

 わたしは思うのだが、この際、韓国側の反対論の根拠としている植民地からの徴用工問題も、事実は事実として世界文化遺産の意義に取り入れればよろしい。
 その愚行も世界文化遺産として後世に伝える度量があればばこそ、その近代化遺産から世紀を超えた今になって、ようやく成熟した日本文化の時代なったと言える。

 「明治日本の産業革命遺産九州・山口と関連地域」(仮称)構成資産を見ると、ずいぶんいろいろな地域のいろいろな事物があるのが面白い。東は伊豆の韮山、北は東北の釜石、南は鹿児島まで散らばっている。
 長崎の観光名所グラバー邸もある。グラバーって人は、明治維新のドサクサ内乱戦争に乗じて、あちこちに武器を売って大儲けした「死の商人」である。こんな人の家を世界文化遺産にしたいのは、その愚行も遺産の意義として織り込み済みなんだろう。
 高島や三池炭鉱は大規模な人身事故や労働争議の現場であったことも、文化遺産としての意義であるのだろう。

 世界遺産の話題のついでに、わたしは3・11直後から提唱しているのだが、福島第1原発を世界文化遺産とし、その事故前、事故中、復旧中、廃炉中の出来事の記録をすべて世界記憶遺産に登録するべきである。
この国際的に人々を震撼させた事件の文化的相対価値がある事物であればこそ、文化遺産として後世に伝えるべき事柄である。

<追記2014/02/11>
ほ~れ、やっぱり出てきたよ、意趣返しかなあ、さて、どうしたもんかねえって、行っても、なんだかアベ靖国参拝で、ドロヌマの感があるなあ、困ったもんだ。

韓国 従軍慰安婦の資料を「記憶遺産」に
NHK WEB news 2014年2月11日 22時23分
韓国政府は、いわゆる従軍慰安婦の問題について、関係する記録のユネスコの「記憶遺産」への登録を目指すなど、国内外の関心を呼び起こす取り組みを強化すると発表し、韓国の立場に対する国際社会の共感を得ることで、日本への圧力を強める構えです。
これは、韓国のチョ・ユンソン女性家族相が11日、パク・クネ大統領にことし取り組む事業の計画として報告した中で明らかにしたものです。
計画では、韓国国内で、いわゆる従軍慰安婦の問題に対する国民の意識を高めるため、記念日を設けて学生らが参加する文化祭を行うなどとしています。
さらにこの問題を国際世論に訴えるため、アメリカや中国などで関連する資料を調査、収集したうえで、ユネスコの「記憶遺産」への登録を目指すとしています。


●参照 福島原発を世界遺産に登録しよう
https://sites.google.com/site/dandysworldg/hukusimagenpatu-worldheritage

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