熊:ご隠居、久しぶりですね。お元気ですか。
隠:おお、熊さん、よくおいでだね。うん、1月にころんで捻挫したけど、もうほぼ治ったよ。
熊:そりゃお気の毒でしたね、悪くすりゃ寝たきり老人になったかもしれませんよ。ま、そのほうがうるさくなくて、いいか。
隠:おい、今なにか言ったかい。
熊:いやいや、で、転んでどうしました?、すぐにあっしにケータイしてくれりゃ駆けつけたのに。
隠:え、ケータイしてくれりゃって、なんのこことだい。なにかい、お前がわたしを携帯して病院に連れてってくれるってのかい?
熊:あれ、転んでボケたかな。いや、そうじゃなくて、なんですかい、もしかしてご隠居はケータイを持ってないんですかい?
隠:あのなあ熊さん、携帯ってのはそりゃまあ、持つって意味だけど、携帯するとは言っても、携帯を持つとは言わないよ。
熊:いや、あのですねえ、携帯電話を持ってないんですかって、聞いてるんですよ。
隠:おお、電話ってのは電子システムによる遠隔会話のことだよ、おまえね、会話を手に持つとか携帯することはできないだろ。
熊:ウンニャロメ、じゃあね、携帯電話機を持っていないんですかって、伺いましょうかね。
隠:おお、それならわかったよ、はじめからそう言えば、ここまで長引くことはなかったんだよ、面倒だね、うん、そんなものは携帯していないっ。
熊:まったくもう、面倒はそっちだよ。で、持ってないって威張るようなことじゃないでしょ、いまどき。
隠:まあまあ怒るなよ、ケータイごときでな。
熊:なんだ、知ってるんだ。で、なんでケータイ、いや携帯電話機の話をしてたのでしたっけ。
隠:おまえがぼけてどうするんだい、あたしが転んで携帯電話機で助けを求める話だよ。
熊:そうそうそうだった、で、どうしました?
隠:じつはね、その時ケータイかけつつ、じゃないや、携帯電話機をつかって電話をしながら歩いていて、つまづいて転んだのだな。
熊:なんだ、持ってるんだ。
隠:いや、もってないよ。転んだ拍子にケータイじゃなくて携帯電話機はそばのどぶに落ちて壊れた。その時から携帯電話機を携帯してないんだよ。
熊:まったくもって、ケッタイなご隠居だよ。
(これは架空の会話であり、モデルはどこにもいません)
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