昔は、この年度末の忙しい時に面倒なことして金取られるなんてと、本当に深刻になったけど、いまは春先のヒマツブシ行事である。うまくすると、還付金なるお小遣いが戻ってくる。
今年もその季節だが、いつもとちょっと違うのは、今年のわたしには絶対にお小遣いが戻ってこないどころか、ちょっとした金額を払わなければならないので、気が重い。
昨年、わたしが父から相続した家と土地を売り払ったので、譲渡所得税なるものがかかるのだ。これまでの申告にはない手続きの用紙を作るのが、よく分らないし、めんどくさい。
でも、そこは毎日日曜日で暇つぶしに困っている身だから、これ幸いと急ぐことなく申告書づくりに準備中である。準備とは、要するに譲渡所得なるものの勉強である。
いまどきだからネット社会にはそれに関する情報があふれているから、そのお勉強をしているが、それだけでは心もとない。バーチャルじゃないリアルなお勉強をしたい。
そんなところに税務署から、「譲渡所得の申告についてのご案内」なるものがやってきた。おお、アチラさんは、とっくにお見通しなんだなあ、わたしが申告しようとしてるって。油断も隙もない、怖い世の中である。
そこに「申告書作成会場のご案内」とあって、なんと直接相談にも対応してくれるらしい。これまではPCで作って、郵送していただけだから知らなかったが、アチラさんもそれなりに対応しているんだな。
税金を納めたい善男善女の群 |
そこで先日、その会場に行ってみたら、おお、税金を納めたい大勢の善男善女が行列を作っているのであった。いろいろな相談コースがあるらしい。
PCもたくさん置いてあって、ここで打ち込んで作るらしいが、わたしは家でやるから、相談だけでいいのだ。
わたしは行列を大嫌いで、飲食店でも並んで待つなら、食べるのをやめるか、不味くても空いている店がいいと思うくらいだが、税務署は替りがないからしょうがない。
待つこと30分あまり、黒い背広のお兄さんがこちらへどうぞとて、立机に案内されて相談にのってくれて、譲渡所得の計算について教えてもらった。
大方はネットで調べた通りだったが、建物価額だけは初めて知ったことがある。
48年前の家を建てた当時の工事費が書類がなくて分らないのでどうすればよいか聞いたら、その当時の単位面積当たり標準工事費が税務上の計算のために用意してあるから、それを面積にかければよいとのこと。
それで工事費が分かったのはよいのだが、そのまま計算に使うのじゃなくて、その5パーセントを使えと言う。要するにこの家は償却期間がとっくに過ぎたので、税務上の価値はいまやそれだけしか残っていないのだ。
まあ、しょうがないけど、これでいろいろ考えさせられた。
父から相続したあの古家を買ってくれた人は、「50年も経った家とは思えないほどしっかりとしている」、だから改装して貸家にするのだそうだ。そう、わたしが若い時に真面目に設計したんだからね。
それならば、実際はたったの5パーセントの残存価値じゃないんだけどなあ、譲っても5割くらいはあるんだけどなあ。そういうものかなあ。
だが一方では、こういう現実もあった。実は残存価値は5パーセントどころか、マイナス100%だったのだ。つまり、売却価格は土地代から古家を撤去する費用を差し引いておかないと、市場では流通しないと仲介不動産屋が言うので、そうしたからだ。
実際には買った人は、撤去しないでリニューアルするというから、撤去新築よりも投資が少なくて済んだはずだ。わたしは損をした気分だが、まあ、それは素人が市場取引に負けたのだから仕方がない。
父が引退後の生活の場として1966年に建てたこの家も、その後は年々減価して今やマイナス価額 |
日本に増えてきて今や820万戸もある空き家は、そこにあるだけでマイナス資産だし、それがそのままマイナス度合いを深めている上に、空き家そのものの数が増え続けているというから、もうマイナス資産の総攻撃を受けている。マイナス資産の津波に日本列島は沈没しつつあるのか。
これって、なんだか根本的にオカシイような気がする。
まあ、とにかく、マイナス資産の税金を払うためのヒマツブシ申告作業を始めようかな。
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