2017/08/03

1279【日本の家展と超高層建築群】近代美術館で「日本の家」展を見てきたが、なんとも“建築家”好みであったなあ

 暑い日々の中で涼しい日となった昨日(2017/08/01)、突然に思いついて江戸城あたり定点観測徘徊に行ってきた。今日なら熱中症になるまい。
ついでに近代美術館に立ち寄って、「日本の家 1945年以降の建築と暮らし」展を見てきた。結論から言うと、“建築家”好みの企画で、あまり面白くなかった。


タイトルの「1945年以降の建築と暮らし」に惹かれたのだ。「戦後の…」と言わないところが、そうか、ようやく「戦後」を克服したんだなあと思わせた。
 そして「建築と暮らし」というのもよろしい。建築だけじゃなくて、「暮らし」もあるんだね。

 でもねえ、展示はいわゆる建築作家主義、建築作品主義で、“建築家”はお好きだろうが、スレッカラシ老境のこちとらには、あ、まだこうなのか建築界は、の感であった。でも近美だからこれは美術展なんだな。
 「家と暮らし」ならば、例えば日本住宅公団の団地がない、ハウジングメーカーの“商品”がない、モダンリビング時代の庶民住宅がない、などなど、気に入らない。暮らしはどこにあるんだい。
 でもまあそれが企画者の意図ならそれでしかたないが、事前に調べて来れば、見料1200円返せの気分にはならなかっただろう。
 
 ちょっと面白かったのは、清家清設計「斉藤助教授の家」(1952年)を、原寸大模型にして展示していたことである。
 実は清家建築の実物を見たことはないが、写真では何度も見ている。そうか、これかあ、写真そっくりだなあ、住宅はスケール感が分りやすいからなあ、と、としげしげとみたのであった。動く畳ってこれだったかあ、など家具も興味深い。
 もっとも、製作費がないとて、全体の6割くらいしか作ってなくて、水回りは無かったのが惜しい。そして「暮らし」はここにも見えない。

この企画展会場を早々に出て、常設展の近代名画の類いを久しぶりに懐かしく観て、こちらの方が面白かったが駆け足で済ませて館外に出た。
 本来の徘徊を始めるために、すぐそばの北桔梗門から江戸城本丸に入る。
 江戸城天守跡からまわりの景観の変化を眺め、百人番所へ歩き大手門から出て、先ほど眺めた大手町超高層建築群を横目に、江戸城前広場をへて祝田橋から有楽町へと、定点観測徘徊をした。

門をくぐって超高層ジャングルへ
 この10年くらいで、大手町から有楽町にかけてのスカイラインは、かなり変化した。とくに大手町と丸ノ内の北半分は、びっしりと建って高層建築群が、そのままびっしりと超高層建築群に置き換っている。
かつてこのあたりに超高層建築がぱらぱらと建つ頃、超高層建築ってそれぞれ勝手な姿でそれぞれ勝手な方向を向くものなんだと見ていたが、これだけびっしり建つと下町の密集市街地引き伸ばし拡大版である。

次の10年後には丸の内の南と有楽町あたりが、スカイライン高さ120~140mの超高層建築群でこぼこ壁になっているだろう。
 江戸城前あたりから遠くに眺めている分にはよいが、超高層建築のジャングルに入ると、けっこう鬱陶しいものである。
 先ほど見てきた「日本の家」展のチマチマした住宅模型群とはずいぶん違う世界がやって来ているんだなあ。

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