熊五郎:こんちわ、ご隠居、暑いけど生きてますね。
ご隠居:おや、熊さん、そう、まだ生きてるから、今から出かけるところだ。
熊:そうですかい、じゃあ、さいなら。
隠:あ、いいからいいから、一緒に行こうよ、徘徊だから。
熊:そうですかい、じゃあ、一緒に行きましょ、はいはい、、ふらふら歩くね。
隠:ここはガード下の石川町駅の中華街口改札前、東の方にでると、ほら、広場がある。
高層道路の下の公開空地 右は鉄道高架 |
隠:はは、だからその屋根の下の半分ほどに、またガラス屋根がかかってるな。
熊:でも、なんでこんな太柱の高屋根なんですかね、下のガラス屋根だけで十分でしょ。
隠:いや、熊さん、こちらからご覧よ、あれは屋根じゃなくて、高速道路の高架だよ。
熊:あ、首都高か、さっきからうるさいと思ってた。
高速道路下の公開区空地の半分にガラス屋根がかかる |
熊:ここの駅前広場は車が入れないようですね。
隠:車が駅に寄りつくのは西側に細い道路だけだよ。熊:なんだ、こんなすごい自動車専用道路を空中に作るけど、地上にはケチなんですね。
隠:ちょっとこれをご覧よ、ここは「公開空地」だって掲示板がある。普通の駅前広場のような公共施設じゃなくて、私有地を広場にして公開してるんだね。
公開空地の掲示板 水色部分が公開空地、上が駅 公開空地内の白抜き四角は高速道路高架を支える柱 |
隠:ほら、この上の高速道路の隙間から見上げてごらん、建ってるよ。
熊:おお、建ってる建ってる、大きな髙いマンションビルだなあ、すごいなあ、こんな高速道路の傍に建ってるんだ、アッ、おお、あっちもこっちも高架がとぐろを巻いてるよ。
ジャンクションの高速道路と鉄道の高架とその下の地上部の土地利用状況 |
隠:いやそれが逆なんだな、ここにジャンクションが開通したのは1990年、この高層共同住宅ビルができたのが2001年だよ。あ、わたしはマンションなんて不動産屋の誇大宣伝広告用語を使わないからね……
熊:はいはい、この高層マンじゃなくてこの高層共同住宅ビルが、騒音排ガス振動のまっただ中と知っててわざわざ後からやってきた、へえ~、それでも建てる不動産デベロッパーとこれを設計した建築家がすごいなあ、よくやるもんですね。
隠:不動産屋はその環境でもこの都心立地では市場性があると見るし、建築家はこの環境でも住みよく設計して見せる腕前に自信があったのだろうなあ。
熊:どちらもすごいですね、実際に建ったし、入居者もいるようですからね。
高速道路上から見る高層共同住宅ビル |
熊:それで既存の高速道路の下を広場にして、どれだけ環境がよくなったのかしら。建築できない高速道路の下の敷地部分を残しただけでしょ。なんか不思議ですね。
隠:規制緩和の引き換えの地域貢献にしては、どうもねえ。いつ来てもここでゆっくり憩う人たちや楽しく遊ぶ子供を見たことがない。数年前までは自転車に占領されてたね。
熊:駅前駐輪場にはもってこいですね。ガラス屋根の上が高架だから薄暗いし、車は喧しいし、植栽はしょぼくれてるし、鉄道高架と建物に挟まれてで解放感がないし、う~ン。
隠:それにしてもこの共同住宅に入居した人は、最初の夜に騒音に驚いただろうねえ。この高速道路は港につながるので、大型コンテナトラックが多いんだよ。
熊:部屋の中は防音と空調の設備で対応すると覚悟して、鉄道駅や高速道路に直結の交通の便利さとか、都心という買い物や遊びに日常の便利さを優先して入居したのでしょうね。
隠:電車の駅前の便利さは確かにある。でもね、買い物や遊びの元町商店街とか中華街には、直線距離はまあ近いといえば近いけど、高速道路で三角に囲まれたこの島の中から歩いて行くの妙に不便で雰囲気がよくない。例えば元町方面には、ヘンな歩道橋を渡らなきゃならない(ブログ参照)。
熊:じゃあ、車で高速道路に乗れば便利でショ、何しろ周りは全部高速道路だから。
隠:それがねえ、この三角島の中から高速道路を利用できるのは、東に向かう入口ひとつだけ、他の出入り口はけっこう離れたところだよ。
熊:こどもは外で遊びたいでショ、遊び場とか公園を観たい。
隠:こっちの歩道橋に行こうか、あそこに子供の遊び場があるよ。
熊:ウワ、これはひどい、 (つづく)
(2019年1月15日追記)
この騒音排ガス高層共同住宅の中の2戸の住宅が、売りに出されている新聞折り込み広告物が、今日、うちに入っていた。100㎡で1億円である。
いわゆるオクションなるものが、このような立地でもありうるのか、今はバブル時代なのかと、貧乏な私は不思議に思うばかり。
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