2009/06/29

148【東京風景】清澄庭園と震災復興共同店舗付き住宅

 東京の江東区に清澄庭園がある。
 元はあの蜜柑舟の紀伊國屋文左衛門の屋敷、19世紀末に三菱の岩崎弥太郎に渡り、今は東京都の公園となっている。
 久しぶりでたずねて、まずは公園の外で特異な建物が未だ健在であることを確認した。

 その庭園は変形5角形敷地なのだが、その2辺にそって薄くへばりついて、道路のほうに向って店を開く2階建て長屋があるのだ。
 これがまあ、なんともいえないレトロモダンというか、ライト風というか、ヘタウマというか、奇妙なデザインでえんえんと続くのである。
 いつだったか、このあたりをふらふら歩いていて、おお、なんだよこれは、不思議だよなあって「発見」してからもう20年以上はたっているから、もうあるまいと思ったのだが、一部歯抜けに取り壊されているが、ほぼ健在である。

 通称・清澄長屋と呼ばれて、関東大震災復興のときに建てたもので、東京市営の店舗つき住宅であったそうだ。当時の東京市の建築家が、同潤会に負けまいとがんばったのかもしれない。
 建て直してパークサイドマンションなんてしゃれて共同住宅にすることもできそうなものだが、いまだに2階建てに自主個別増築してほぼ全部3階建てである。
 あちこちに色々と手が加わっているが、よく見ると当初の面影が色濃く見えて楽しい。

 この清澄長屋発見のときに、もうひとつ「発見」したのが街角に立つ妙な古臭い鉄筋コンクリート3階建てアパートであった。
 四つ角に向けて角を丸くしたところに階段のある入り口があり、格好つけた階段を登り廊下を見ると各戸の玄関が引き戸であった。
 これは同潤会清砂アパートという、やはり震災復興によるものであった。

 このたびここも訪ねたら、あんとまあ、超高層ビルになっていた。再開発事業で建て直したのであった。例の角の丸い階段のところは、今度はガラス張りで丸くなっていた。

 清澄庭園にも入ってみた。
 美しい日本庭園の向うに、にょっきり、ぼっくり、ひょっくりと、ベタ~っと、現代押しかけ借景ビルが頭や胴なかをのぞかせているのは、どこの庭園も東京にあれば宿命なんでしょうね。

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