モデルチェンジを次々とやって新製品を出しては売りつける、そんな商売人に乗せられないぞって抵抗してきているが、実は好奇心旺盛な新し物好き人間だから、大人の玩具にはあれこれと結構ひっかって無駄にしている。ワードプロセサー、パソコン通信、マイクロレコーダー、iPodなどである。
若いときはあれこれ好奇心はあれども金はなしで、でもいつかはそいつをに入れるさと気長に構えて、モデルチェンジで初期故障がなくなった頃に目的を達成していた。
ところが自分が高齢者になった今は、好奇心と寿命とが競合を起こしつつあることに気がついた。
気長に構えていたら自分の命が尽きて、物もよくなり金もあっても、手に入れることが絶対に不可能になるのだと気がついた。まったくもって今頃になって、である。
これから高齢者が数が多くなるから高齢者市場が有望であると、だいぶ前から世の中は言っているが、そうなのか、高齢者になにかを売りつけるには、そういう脅迫を裏に含ませれば容易に市場は広がるのだ。
われとわが命に急きたてられて生じる脅迫観念が、要りもしないものを求めるようになる。
新製品やモデルチェンジの製品のキャッチフレーズは、「熟年のあなたに、今だからこそこれがお役に立ちます、後でよいと言っていると遅いですよ」と言えば売れるのだ。
そういえば旅行だって、高齢者というか中高年オバサンが特に多いのも、今のうちに行かないと、亭主がボケたら行けなくなる、自分が足腰立たなくなる、目が見えなくなる、ボケる、今のうちに行っとこう、てなことである。
どうもこの年寄り脅迫市場にひっかりそうである、あぶない。
ただ、コンピューターの類は、アメリカから来たらしく若い者を相手にしている風潮であるが、これだっていずれは老人市場に入ってくるだろう。
そのときにはどう脅迫するのか興味があるが、その頃こちらは脅迫されても、もうなんのことかわからぬ歳だろうなあ。残念。
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