2021/12/10

1598【核毒世界遺産】10年にしてようやく地元から起きた「福島第1原発を世界遺産に」の動き

 ネットで見つけたのだが、福島の地元の人たちから、福島原発を世界遺産に登録しようという声があがってきたそうだ。
福島第一原発を "世界遺産" に~地元住民たちの思い~(NHK仙台)2021年12月03日https://www.nhk.or.jp/sendai-blog/social/458031.html

 NHKニュースの抜粋

11月14日、東京電力福島第一原子力発電所、通称「1F」(イチエフ)を世界遺産に登録することを考えるシンポジウムがオンラインで開催されました。これまで、地元自治体は福島第一原発をさら地に戻すことを求めてきていますが、地元の住民たちが「廃炉にする際、原発の建屋の一部を残し、その周辺地域を含めて、世界遺産にしたい」という声を上げ始めたのです。そこには、事故の教訓を後世に伝えたいという強い思いが込められていました。

先月、オンラインで開かれた「1F廃炉の将来像を考える」シンポジウム。参加したのは、地元住民をはじめ、環境や社会学の専門家など、100人以上に上りました。

住民たちの声。「私が、この地域が世界遺産登録の価値があると感じたのは、この浜通り地区というのは地震、津波に加えて原発事故ということで多重災害を受けたと。世界で本当に唯一この地域だけだと。」(遠藤さん)

「原爆ドームが1945年の8月に見る人を連れていけるように、1Fも見る人を2011年の3月の福島に連れていけるような、想像力を飛ばせるような、そういう遺構になって欲しい。」(小磯さん)

「次の世代に伝えていくことが私たちの世代では大切だと思っていて、震災について形にして残すものが何かないなといけないなというものを感じています。」(梅津さん)

 わたし(このブログの主である伊達美徳)は、既に福島第1原発に核毒バラマキ大事件がおきた2011年の3月に「福島第1原発を世界遺産にしよう」との記事を書いている。
福島第1原発を世界遺産に登録しよう2011/03/21
https://datey.blogspot.com/2011/03/408.html


 当時そんなことを言うものはわたしだけであったはずだ。その頃にネット検索してみたら、世界遺産マニアらしい人が、その制度的可能性を論じていたくらいなものだった。
 私の提案は、よくあるような観光資源として世界遺産をとらえるのではなく、人間愚行の負の文化遺産として積極的に世界遺産登録を言うのだが、同調する人はいなかった。

 そしてわたしはその2年後2013年2月に、さらに詳細な論考を掲載している。それは東浩紀や津田、藤村などの論客たちが「福島第1原発観光計画」なるもの(素案だったようだ)を発表したことに刺激を受けたからであった。その計画案へ批判もしたつもりであった。
再び唱える「福島第一原発を世界遺産に登録しよう」2013年2月25日
http://goo.gl/kEtO9

 2013年11月になり、東浩紀たちが「福島第1原発観光化計画」(東、井出、梅澤、清水、津田、速水、藤村)なるダークツーリズムプランを発表して話題となった。
“福島第一原発観光地化計画”とは何か (2013年5月地域安全学会梗概集
http://isss.jp.net/isss-site/wp-content/uploads/2019/02/C04%E4%BA%95%E5%87%BA.pdf
 なお、そこに世界遺産登録の提案もあるらしい。「あるらしい」というのは、わたしはその計画全文を読んでいないからである。ネット記事も出版物も有料だが、わたしは原則として有料記事を読まないのだ。

 思えばようやく地元からの発案として福島第1原発世界遺産登録案が出て来たのは、津波被災10年にしてその関連遺産の保存継承が具体的になってきたのに刺激されて、もうひとつの核毒被災10年目にしてその関連遺跡の保全継承に目が向いてきたのであろうか。

 地球上にはチェルノブイリ事件という巨大核毒飛散事件があったが、その原発の世界遺産登録申請のニュースが今年の3月に載っている。事件発生は1986年だから、35年目にしてようやくそこまで至ったということらしい。
チェルノブイリ原発、世界遺産申請へ(読売新聞)2021/03/19
https://www.yomiuri.co.jp/world/20210319-OYT1T50194/ 

 福島原発が申請に足るまでにはまだまだ時間がかかりそうだが、前例ができると意外に早いかもしれないとも思う。ようやくに客観的に核毒事件を見る目が地元にも出て来たのだろうから、大切にしてもらいたいと思う。(2021/12/10記)

参照地震津波核毒原発おろおろ日録https://datey.blogspot.com/p/blog-page_26.html

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