安倍晋三暗殺事件からもう2か月、自民党が受けたその傷はどんどん大きくなり、膿み爛れてくる様子だ。おまけに知ってか知らずか国葬なる広告塔をカルト教団に立ててやる始末で、政治家ドタバタの笑いたくなるお粗末風景がつづいており、おかげで退屈しないが、ばからしい日々でもある。
今ぞ知る彼の人こそは此の党のパンドラの箱の蓋にてありけれ
カルト集団の旧統一教会との関係ある国会議員は、自民党ばかりか野党にも及ぶが、圧倒的多数が自民党議員であることが、有田芳生や鈴木エイトなどジャーナリストや弁護士たちたちの長い間の行き届いた調査で分かってきていたのが一気に世にばらされてきた。
はじめは知らぬ存ぜぬと言っていた自民党幹部も追い詰められて仕方なくなり、各議員自ら関係して売るかどうか点検せよと通知したら、出るわ出るわ、接点どころか接線というよりも接着で密着だから困ったもんだ。
点検という自己申告だから正直に言うやつもいれば、知らぬ顔でほっかむりの奴もいる。そこにジャーナリストたちが、あいつはこれがあるのに黙っている、こいつもこれなのに黙っている、なんてバラす。
しかも近頃は証拠映像があるから逃げようがない。しょうがないからとて後追いで白状する奴がぼろぼろ出てくる。その様子がなんとも見ていてこちらが恥ずかしくなる。国会議員ともあろういい大人の恰好ではない。
このカルト集団とのかかわりがある議員があまりに多すぎるから、たぶん、彼らはみんなたいしたことではないとお互いに思って楽観しているだろう。人のうわさも75日かよ。
それに、もともと議員が信者になったのでもないらしくて、ただただ選挙の票が欲しくて、藁でも泥でもすがり着いたなかに、へんな毒虫がいたくらいのものだろう。
だから、自己申告となっても覚えていないというのも、無理もないような気がする。シンポジウムに出たとか講演したとかの議員でさえそうなのだから、要するに票にさえなればそれがカルト教団からであろうが知ったことではない、その程度のことだろう。騒がれてキョトンとしているってのも、まことにごもっともな気がする。
それなのに問題が簡単でないのは、その議員たちの思想というか政見とかが、カルト集団の思想に酷似することである。もしかしたら、議員は集票に利用していただけのつもりが、知らず知らずのうちに、まるで信者にされる如くに心に入られて、うまく利用されていたのだろう。
それも利用され方の一つだが、もっとも大きな利用のされ方は、安倍さんを殺した犯人の動機のように、カルト集団の広告塔にされていたことだろう。
これに関してわたしは体験的な出来事がある。昔々、学生時代のこと、東海道線列車で団体客と乗り合わせた。団体は日蓮正宗の大石寺に参拝するという。そのころこの団体がもすごい数で有名になっていた。創価学会という団体名であった。今の政権の片棒を担ぐ公明党と表裏一体の団体である。今は大石寺と離反しているらしい。
隣に座るその団体おば様から勧誘された。何をしゃべったか覚えていないが、あまりの馬鹿さ加減に一つだけ覚えているのは、「あの総理大臣のキシ先生もお参りになったのですよ、すばらしいでしょ」だった。そう、岸信介さんは広告塔にされていたのだ。
現代のカルト教団おば様ならば、「あの国葬にされた総理大臣のアベ先生も賞賛なさったのですよ、すばらしいでしょ」と言うだろう。
そう、岸田さんは安倍さんをカルト教団広告塔に祭り上げているのだ。もう死んだ人は気が付かないが、生きてるほうも気が付かないのかねえ、気の毒にねえ、困ったもんだ。
思い出しついでにこの宗教被害も書いておこう。半世紀も前、横浜の日吉で公団住宅にすんでいた。階段アクセスの5階建て、同階段の下隣りに創価学会おばさまが住んでいた。朝晩の念仏と木魚がうるさかった。近所付き合いでやむを得ず「聖教新聞」の購読をさせられた。もちろんそのままゴミ箱行きで、さすがに1か月で勘弁してもらった。
狂歌<こちらの国葬>
この会議あの教団からたっぷりと香典が来て国費回収
国葬がまたどうでもよい騒ぎになっている。わたしは国葬でも自民党葬でも、法的根拠があろうとなかろうと、もともと葬式に関心がないのでどうでもよいのだ。葬式ばかりか一切の儀式なるものが嫌いである。
だが、国葬だからとて税金をつぎ込むのは大いに反対である。その意味だけで国葬反対だ。つぎ込んだ税金のうちから私の分を返金しても欲しいもんだ。国葬と言いたいならそう言ってもいいから、税金から賄うのだけはやめろよ、てめえの金でやれってんだよ。
国費つぎ込むのなら、あの旧統一教会から10億円以上の香典を取ってほしい。それだけの理由が十分にあるはずだ。もちろん創価学会からも、そのほかの神道や仏教あるいは日本会議とかの安倍支援保守系諸団体からも各1億円以上は香典を取ってもらいたいものだ。それで無駄国費支出の穴埋めしろってんだ。
山上という安倍暗殺犯は、もともとはカルト教団リーダーの韓鶴子暗殺を画策していたが、警戒が厳しくて安倍晋三暗殺に乗り換えたそうだ。つまり、カルト教団にとっては安倍は身代わりになってくれた殉教者である。信者たちから巻き上げた巨額の献金のうちから十億円くらいの香典を捧げてもよさそうなものだ。たぶん、コーリアの教団本部のあたりに、安倍晋三の巨大な像の建設をするにちがいない、そう、身代わり地蔵(晋三)だな。
20220916朝日新聞記事より |
狂歌<棺を蓋いて>
あべしんぞうゴルバチョフエリザベス比べやうもなきあまりの違ひ
狂歌<あちらの国葬>
先王は女王と呼ばれど新王は男王と呼ばずジェンダーイコール
それにしても奇妙なのは、安倍晋三の死が7月8日、ロシアのゴルバチョフの死が8月30日、イギリスのエリザベスの死が9月8日と、多分どれも国家を動かした人たちであろうが、それらの死が立て続けにやってきたことだ。当然に比較することになる。
この二人と並べて比較されるのは、安倍さんは比較にならない格落ちの感が強いなあ、かなり気の毒な感がある。この中で世界に冠たる大英帝国王エリザベスについては国葬はまちがいない。あの国は植民地政策などひどすぎるのだが、王が知ったことではない。
ゴルバチョフは自由主義諸国では評判が良いが、ロシアではかなり悪評とのこと、つまりソ連を滅ぼした張本人だからである。国葬にはならなかった。それも当然だろう。歴史が評価を決めるにはもうちょっと時間がかかる人なのだろう。
そこに安倍さんの国葬である。決め方がけしからんとの声が表面的には大きいが、誰も本音レベルでは、エリザベスやゴルバチョフと比べるほどの人物だったかよ、あんなもの知らず右寄りに乗せられいい気なオバカおぼっちゃまが、なんで何十億も掛けての国葬なんだよ、ってところだろう。人物評価の低さが根底にある。
国葬へ出欠返事は各界の代表たちの「踏み絵」なるらむ
今月19日にエリザベス国葬、27日に安倍国葬だそうだが、当然のことに比べられるだろう、経費とか参加者とか格式とか、偶然の日程とはいえ競争相手がすごすぎて劣勢の安倍さんも気の毒になあ。
政府は各界の代表者を選んで6400人ほどに国葬招待状をだしたらしい。外国要人の顔ぶれがどうなるのだろうか、華やかにして有効な葬式外交が展開されるほどやってくるのか。
日本の各界代表者では、国会議員たちは野党と与党では出席欠席判断が異なる。経済界もいろいろだろうが、この招待状への出欠への返事が、まさに安倍さんと政見への評価につながり、特にカルト集団との関係のうさん臭さにつながるので、まるで江戸時代キリシタン炙りだし「踏み絵」になっているのが、実に面白い。
特に興味深いのは、日本労働組合総連合会(連合)会長の態度で、出席の返事を出したこと、安倍さんやその政権を高く評価の証拠、まさに踏み絵を踏んだコロビバテレン芳野友子である。
欠席返事、拒絶、無視、なぜ招待こないと怒るものなど、踏み絵の情景が面白い。
人の死しかも殺人という重大事件が先頭をゆくものだから、死者への評価にどこか奥歯に挟まった言い方が世に流れていて、週刊誌情報でもどかしく思う直観的SNSスズメ庶民たちには、暗殺犯減刑運動しようかとの空気もあるとか。殺人という行為の意味を深く考える機会にもなっているようだ。
政治家はその死でこそ、世間から高くも低くも評価される運命を自ら選んだのだ。棺の蓋をしてこそわかることで、ご自分はわからないが、その人生を選んだのが安倍さん自身だ。選ぶべき人生が悲惨過ぎた暗殺犯と比べられて、安倍さんをお気の毒に思う。
(20220915記)
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