渋谷に超久しぶりに行ってみて、その変わりように浦島太郎気分を楽しでいる。
今回は国道246号を挟んで渋谷駅の南西に位置する「桜ケ丘地区」の変貌を見ることにする。これはすごい再開発だ、こここそは再開発というべきで、ここを見るとそのほかの渋谷の再開発は、単なる建て替えに過ぎないと見えてくる。
実はわたしは桜ケ丘という丘を、19992年2月から毎月二度の昇り降りを、20年余もつづけていたから、渋谷でも一番になじみがある地区なのだ。渋谷駅からは国道246号の横断歩道橋を渡り、桜坂を昇り、更に丘の向こうの谷間に下り、そこにあった舞の稽古場に通っていたのだ。そのことはここに書いているから詳しくは述べない。
桜坂 |
あの坂ばかりの街、飲み屋ばかりの街、ペンシルビルばかりの街、それを再開発してまとめて巨大なビルしかも丘の上までビルにするなんて、よくやるものだと思って見に来た。浦島太郎気分が高まる。
知人の再開発プランナーの横山英生さんが事業推進担当されていて、このFBに時々その現場風景を掲載されていて、興味深く見ていた。さすが横山さんで、とうとう事業完了に至ったもようなのだ。渋谷のほかの再開発よりも一番興味がわく再開発だ。
渋谷の再開発があちこちにビルができて地下や上空がつながって、大々的だと評判である。しかし私が思うに、この桜ケ丘市街地再開発事業こそは再開発の本命であると思うのだ。そのほかは都市再開発ではなくて、古くなってしまった建築と鉄道の建て直しである。
桜ケ丘再開発と他の再開発との間には、根本的な違いがある。桜ケ丘地区には、多くの土地の権利者たちがいてたくさんの中小の建物が立ち並び、複雑な権利関係にある。ところがそのほかは東急、JR、地下鉄等の大企業の土地がほとんどで、しかもその自分の土地を再開発するのだ。桜ケ丘と比べると単純であり、どちらが再開発が困難か容易にわかる。
その難しい条件の中で、広い都市計画道路を新設、多数の地権者が共同して、起伏ある形状の複雑な地形を生かし、安全で使いやすい建物に建て直している。特にこの多くの権利者の共同による街づくりであるところが、渋谷の他の地区の再開発とは大いに異なるところだし、それこそ都市再開発である。
渋谷駅周辺再開発地区 桜ケ丘地区には多くの地権者がいる |
桜ケ丘再開発の前後の土地建物道路等の配置関係 |
渋谷のような都心部での都市再開発の難しさは、多くの土地権利者がいること、しかも高地価であることだが、桜ケ丘地区はまさにそのような立地にある。そこを市街地再開発事業を行ったことに意義がある。
それにしてもこれだけ多くの権利者の地元合意がよくできたものだと、関係者の努力に敬意を表するものである。再開発プランナーの努力も思う。
このゲリマンダー形状で起伏のある敷地群に、よくも公共用地と建築敷地を生み出したものだと思う。全くの第三者の興味半分としても、ネット公表されている各階の図面を眺めて、これを読み解くのにひと苦労して暇つぶしになった。巧みなプラニングというには躊躇するのだが、よくも収めたものである。もうちょっと何とかなる形状に広げられなかったかと、建築家は悩んだことだろう。
桜ケ丘再開発ビルは桜花模様 |
新設道路補助18号線に沿って超高層街並み誕生 |
見たかったことの一つに、あの桜が丘の斜面の活用と高低差の克服方法であった。年取って足が弱くなったわたしはそれに大いに興味があった。はっきり言って特別な仕掛けや感心する工夫は何もなかった。常識的に坂道があり、エスカレータがあり、補助18号線の上空に何本かの空中歩廊がかかっている。
この細いビルはなにかしら ゲリマンダーのしっぽか |
補助18号線道路上空の広場からセルリアンタワーを見る |
補助18号線上空小公園と同レベルにある緑地 |
桜ケ丘に開発が入ったのはインフォスタワー(1998年)がはじめてで、次いでセルリアンタワー(2001年)だった。どちらも同時進行的にその工事を見つつ、桜ケ丘を昇り降りしていた。桜坂を登ってきてインフォスタワーの緑の広場で一休みしたものだった。
左にに桜ケ丘再開発、右にインフォスタワー |
そして今は桜ケ丘再開発で、丘上に3本目の超高層ビルが建ち、小公園もできた。渋谷のポテンシャルが丘の上にまでようやく及んだ言えるのだろう。 (つづく)
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