2014/09/04

994【横浜都計審傍聴6】都市再生特区って都市計画で災害を増加する仕掛けのような

前回からの続き)

・こんなことを都市計画で規定するほど危険なのか

 横浜駅西口駅ビルに関する二つの都市計画、都市再生特別区地区計画について、文を読み絵を眺めていて、都市計画は都市防災について何ができるのだろうかと考え込んだ。
 この二つの都市計画の特徴を簡単に言えば、都市再生特別地区では容積率を800%を1240%に緩和したこと、地区計画では建築の中身をこまごまと決めたことである。
 
 地区計画を読んでみて、さすがに3・11以後のことであるためか、防災についての記述が、目標のお題目だけでなく、いろいろ多いことに気がつく。
 最近は、こういうことを書くようになったのか。
 例えば、地区施設の「歩行者通路は災害時に来街者を安全に避難させるための避難経路としても活用する」、建築物には「地震や津波発生等の災害時に、来街者の滞留や避難が可能となるスペースや帰宅困難者の受け入れスペースを確保し、滞留者・避難者・帰宅困難者の対応を積極的に行う」、そのほか、地域防災対策拠点、防災備蓄庫、耐震トイレ、雨水流出抑制施設などを設けろとある。

 その具体的な場所は、都計審の資料に書いてあり、滞留者10000人と帰宅困難者3000人分の受け入れ場所を建物の中と屋上広場に、地域総合防災拠点を建物の地上階の中に、雨水貯留ピット200トンを地下の奥底に、それぞれ計画している。
 それはそれで災害対応施設を設けるのは、まことに結構なことである。
 とは思えども、一方で、こういう防災施設の設置を都市計画で法的に担保しなければならないほど、つまり建築に任せておけないほどに、ここは危険なのか、とも思わせられる。


・建築は壊れないという神話があるのか

 本当にこれでよいのかと疑う気持ちを否めないのは、それらのいずれも建築物の中に設けることである。
 大地震で大都市の都心で建物群が壊れ、上下水も流れず、電力も絶えるという状況は、阪神淡路震災のときに行った神戸で、惨状にじっくりとお目にかかってきた経験がある。
 滞留者や帰宅困難者を受け入れる建築物が、大地震で壊れ、水も電気もないことが起きると、どうなるのか。防災拠点が建物の中にあるのも大いに気になる。

 つまり、リスク低減策を、リスク発生源の巨大建築の中に取り込んでいるのだ。リスクなるものは分散するべきであろうと思うのだが、どうか。
 特に、建物だけにに頼るのは危険である。災害時には公園広場道路などの公共公開空地が災害低減に大きな役割を果たすことは、これも阪神淡路震災でけ経験済みである。
 この西口駅ビル建築は、どんな大地震でも壊れないという前提に立っているらしいが、関連してすぐに思い出すのは原発安全神話である。

 ここはやっぱり、建築は壊れるものという前提に立つべきであると思うのだ。
 その点で、この地区計画には、公共公開空地が地上部にはほとんど無いのは、かなり危ないような気がする。西口地区を見回しても、広い空地は道路くらいしかない。まさか新田間川の中に避難もできないだろう。あ、高速道路が壊れて、川もだめかも知れない。

 「エキサイトよこはま22」を見ると、横浜駅西口地区を超高層建築街にしたいらしい。だが、大災害に備える大公園がない。
 例えば、東京駅丸の内には旧江戸城、西新宿には新宿公園があるが、横浜西口地区には、それらしい公園はどこにも見当たらない。

 以下に、いずれも同じ高度(127km)からの撮ったグーグルアース空中写真を並べる。比べてみると、横浜駅西口地区が過密でありながら、公園はひとつも見当たらないことがわかる。
新宿駅西口地区 (以下同じスケールでの比較)
横浜駅西口地区
東京駅丸の内地区
 わたしが知っていた都市計画は、これだけの大容積緩和をするなら、それに見合う公共公開空地を地上部に提供することと引き換えであった。公園、緑地、広場、公開空地などである。
 ところが、近頃はこういう引き換え無しの、太っ腹大盤振舞緩和都市計画をするようになったらしい。
 大盤振る舞いをすればするほど、災害リスクが高まることは、誰でもわかることだ。
 なにしろ、「災害」は人間が居るから起きることである。人間がいなければ、地が揺れようと火が吹こうと海が来ようと、災害ではないのである。
 災害は人間が創り出すものである。


・都市計画が災害を促進しているような

 太平洋戦争末期に、アメリカ空軍は日本全国の主要都市を空襲して焼き払った。山や田圃は空襲しなかったのは、それでは敵国に損害を与える規模が小さいからである。
 あのころは、まるで、いまの海から大地震がやってくるという恐怖を、空から火が降ってくる恐怖と言い換えると、時間を縮めた早回しのような災害頻発時代だった。
 だから、大都市は疎開をやった。建物疎開では都市の建物を壊して空間を開けること、人間疎開は子ども、老人、女性たちを都市から田舎に避難させた。
 そう、都市の空間も人口も密度を下げて、災害リスクを分散したのである。あのころのことが今の教訓になるとは、皮肉なものである。

 都市計画で容積率を高め、それに応じた建築が建つと、それだけ多くの人間が集まってくる。例えば、土地だけなら100人も集まれば満員の広さのところを、1240%もの建築を建てると1240人が入ることになる。つまり災害リスクも12倍余にもになる。
 特に鉄道駅では人は集まってくるし、そこにさらに超高密超高層建築を建てると、いったいどうなるのか、寒気がするほどだ。リスクを増大させている。
 人間を集めれば集めるほど、災害リスクは増加する。その建築内に防災施設をつくっても、量的にイタチゴッコだし、建築が壊れたら使いものにならない。とにかく横浜駅西口地区には、災害時に最も役立つ公園緑地が全くない。

 そのあたりの心配は、横浜市都市計画審議会の委員の方々は、お感じならないのであろうか。委員のおひとりが洪水対策の質問をなさっただけで、簡単に審議終了した。
 都市再生特区なんて言って、なんだか都市計画が災害を増加する仕掛けになっているような気がする。
 今や、太平洋戦争末期のように、建物も人も疎開させる時が来ているような気もする。人口減少時代になっているから、ちょうどよいとも思いますがねえ。
 どうでしょ、都市疎開特区っての作っては、、。

 と言いながら、これからもわたしは、あの駅を使い、駅前で呑んだりするだろうが、まあ、わたしは先が短いからどうでもよいのだ。若い人たちが気の毒である。
 でもまあ、こうやって、都市計画が建築の中に入り込んで法的規制をするんだから、横浜は安心な街ができるんでしょうね。そうか、横浜は事実上、許可制の建築制度になるんだな。

参照→993【横浜都計審傍聴5】横浜駅西口駅ビルはどんなエキサイトなデザインだろうか

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版)  ●本文版
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin

2014/09/02

993【横浜都計審傍聴5】横浜駅西口駅ビルはどんなエキサイトなデザインだろうか

 (前回からの続き)

 横浜駅西口には、シアルなる名前の駅ビルがあった。もともとは戦後に流行った国鉄民衆駅ビルであり、1962年にステーションビルとして建った。同じころに建った東京駅八重洲口の鉄道会館「東京駅大丸」(今はなくなった)と同じで、民間資本国鉄ビル方式である。
 それより前の西口には、木造の駅舎が建っていた。その頃の東口の堂々たる駅舎と比べての貧弱さは、なにしろ駅前が砂利置場と沼地ばかりだからしょうがない。


1947年ごろの横浜駅周辺地図

1962年横浜駅周辺地図
戦後の相鉄を中心とする西口地区開発は、まさに日本の高度成長を目に見るような進み方であり、東口地区との商業戦争も懐かしいほどの景気の良さであった。
 そして、どこもかしこも商業ばかりでにぎやかだが、公園や文化施設はほとんど見当たらない。駅前の物売りばかりの大型店、周囲には水商売・風俗系の店舗がひしめく。
 近くの文化らしいもは、東口のの百貨店客寄せ施設の「そごう美術館」くらいなものか。そう言えば、今のシェラトンホテルのところには、相鉄文化会館て言うのが建ていたなあ、映画がま文化だった頃のこと。

 かつては横浜都心と言えば関内・関外地区であったが、今では商業戦争に負けて落ちぶれた。だが、幕末からにしてもそこは旧家の旦那衆だから、零落しても何やかやと教養文化の場や雰囲気を持ち、西口にはない歴史をそなえている。
 それに比べて横浜駅西口地区は、戦後の成りあがりだから、埋立てで土地を生み出しては、不動産商売、物売り商売の街である。

 さて、その20世紀後半の高度成長に乗った開発が、21世紀になった今、時代遅れになったとて、作り直しの時期が来た。あの1964年オリンピックも西口にドライブをかけたようだが、2020年オリンピックもその再来だろうか。
 というわけで、西口駅ビルの再登場である。エキサイトなる掛け声に乗って、、あ、もしかしたら駅の側なのでエキサイか、、。

 最近の駅ビルと言えば、東京駅赤レンガ駅が有名である。昔の姿で出ています、とて、戦火で被災して戦後復興で修復していた駅舎を、戦前の姿にコピーして作り直した。大評判なエキサイト事件で、人々が絶えない。
 東京駅復原については、わたしは異論があるのだが、ここでは言わない。
 ちょっと前になったが、京都駅北口の駅ビルも大評判のエキサイト空間を登場させた。
京都駅の壮大なアトリウム
 大阪駅がつい最近、大変化を遂げて、これもエキサイトな空間を見せている。
では、われらが横浜駅西口駅ビルは、どんなエキサイトな空間を見せてくれるのだろうか。
 駅前広場側の姿は、東京駅のような華麗さは、、、ないなあ。ダダの硝子の箱の積み木じゃんかよ。やっぱりただのエキサイか。

地区整備計画にも、「建築物の1階から7階までの部分は、外壁面に透過性のある素材を用いる云々」とあるなあ。
 でもなあ、建築デザインをここまで地区計画で縛っていいのかなあ、設計変更したくなったら、都市計画変更手続きが要るんだよ、いいのかい。ま、提案者が自ら縛っているんだかららしょうがない。でも、それで良いデザインになるのか。
 どうせなら、昔々の2代目横浜停車場(1915~1923)のような華麗なる姿にでもしてくれると、東京駅に負けないのになあ。

 では内部の姿は、京都駅のような巨大アトリウムや巨大階段は、、、と、、東口の旧駅舎(1928年創建)にあったコンコースのような空間もあるといいなあ、。

あ、アトリウムと書いてあるなあ、どれどれ、京都駅に負けない空間なんだろうか、、う~む、、これじゃあなあ。
アトリウムってのは、普通は建築に囲まれている外部空間であり、そこにガラスの屋根をかけるもんだけど、これはただの4階吹抜けで上に床が乗っている、ふ~ん、、。
 そういや、地区計画にはひとこともアトリウムとは書いてなくて、吹抜けと書いて逃げてある。

 ほかにもいろいろ書きたいことはあるが、都市計画の話に戻す。
 この建築意匠やら吹き抜けやら、超高層部と高層部の区分や配置、地区施設等について、位置や姿や規模をここまで細かく都市計画で縛っていいものか、実務として気になる。
 このような複合大規模プロジェクトでは必ず起きる設計変更に、都市計画は対応できるのだろうか。
 都市計画変更まで及ばない設計の軽微な変更は、どの程度なのだろうか。

 とくにたくさんの地区施設を建物の中に設定しているが、これらは例えばテナント構成との関係、あるいは隣接プロジェクトや鉄道施設整備との関係で、変更は起きないのか。建築設計で困ることが起きそうだと、心配になる。
 変更したほうがよくなるのだけけど、都市計画変更手続きが面倒だからやらないってことになる。

 それとも、もうすでに設計は固まっていて、あとは工事するだけになっているのか。
 とすれば東京駅、京都駅なみの、エキサイトな駅ビルは望めそうもない。
 形態ばかりではない。機能的にも知的エキサイトの文化施設や緑の地上広場は見当たらない。横浜駅西口地区はいまもイケイケドンドン時代のままであるらしい。
 まあ、そういう景気の良い横浜に住んでいるのは、幸福なことなんだろうなあ。(つづく
横浜市制作の動画
参照→992【横浜都計審傍聴4】都市再生特別扱い提案はお手軽鵜呑み都市計画か

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版)  ●本文版
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin


2014/08/31

992【横浜都計審傍聴4】都市再生特別扱い提案はお手軽鵜呑み都市計画か

 (前回からの続き)横浜駅西口駅ビル計画の話を続ける。

・これでも都市計画なのか?
 
 この都市計画案の内容を、横浜市都市計画審議会の傍聴で知った時、都市再生特区は事業者提案だが、地区計画は市の独自計画だと思った。
 なぜそう思ったかと言えば、特区が超スポット的超容積率緩和だけの提案なので、いくら都市再生特別法による特別扱いといっても、それはあまりに虫が良すぎるから、横浜市としては地区計画でいろいろと規制やら社会貢献してもらうことにしたのであろう、ということである。

 ところが、地区計画を見ると、先にも書いたように、これがはたして都市計画なのか、という内容である。ほとんど建築計画説明書である。
 まわりの土地利用や都市基盤がどうであろうと、提案者が建てる建築敷地だけを対象にする地区計画なら、他の地権者の同意をとらなくてよいから、しごく簡単に違いない。
 そう、面倒だから周りには地区計画をもちかけなかったのだろう。
 でも、それは地区計画ではないでしょ、フツーは、あの横浜市がそんなことやるのか。ってことは、ここは、やっぱり、特別地区なんだな、、う~む。

 でも、どうもおかしいので、もういちど資料を読み返したら、なんと、地区計画も事業者提案であった。そうであったか、なるほど。そりゃもうお手軽にやりたいに決まってる。
 でもなあ、その提案を鵜呑み?にした横浜市って、これはいったいどうしたことか。都市計画行政の先端を行く横浜市にしては、いくら特別地区でも、これはおかしい。
 提案から6カ月以内に処理しなけりゃならないって、都市再生特措法にあるんだから、しょうがない、面倒なことしていられない、お手軽都市計画で行け、ってことにしたのかしら、。

 都市再生特別地区ってのは、そんなにも特別なんですか? 
 ねえ、都計審の委員さんたちよ、都市計画については何も審議しないで、建築計画の質問ばかりなさっていましたよね、たった3つだけど。
 都市再生特別法による都市再生特別地区内では、建築計画を地区計画で決めることになっていて、そういう提案があったら、横浜市は鵜呑みにするのかしら、どうも分らん。

・「エキサイトよこはま22」とはなんだ

 あ、わたしは、それがいけない、と言っているのではない。建築計画と都市計画がドッキングするのは結構なことであると、原則的には思う。
 でもなあ、そうやって敷地ごとに都市計画を決めると、都市計画っていったいなんなんだってことになるような気がする。このあと横浜駅西口地区の各建物敷地ごとに、特区と地区計画提案が出てきたらどうするのか。
 横浜市お得意の都市デザインはどうなるのか
 これに対してこういう答えが用意されているかもしれない。「エキサイトよこはま22」なる整備構想に準拠しますから、大丈夫です、と。

 しかし、地区計画の目標の記述に引用されている「エキサイトよこはま22」は、法定計画でもないし、地区計画ほどにも内容はツッコミがない。
 こういう計画がお得意の、きれいごとが並ぶお題目である。お題目がいけないのではなくて、これでは地区計画の目標ほどにも、法的規制が働かないのが問題なのである。
 ①都市計画マスタープラン→②エキサイトよこはま22→③都市再生特区→④地区計画(目標→方針→整備計画)の段階を踏んでいるつもりだろうが、その法的根拠のない漠然内容の②を引きあいにして、そこから、いきなり敷地に飛んでの③と④の都市計画提案は、都市計画を逸脱しているとしか思えない。
「エキサイトよこはま22」土地利用・空間形成概念図

・西口駅ビルのどこがエキサイトさせてくれるのか

 ところで、「エキサイトよこはま22」の「エキサイト」ってのはなんだろうか。
 駅のエキと、場所を言う英語siteと、英語exciteの、語呂合わせなんだろうなあ、たぶん。
 「みなとみらい21」を越えたくて、もう一世紀先の物まね命名をしたのか。

 しかし、siteとは「エキサイトよこはま22」が対象としているような広い地区を言うのではなくて、せいぜい敷地くらいの広さを言う。
 とすればこれは駅敷地構想ということか。そうか、横浜駅西口駅ビルの敷地を対象とする構想でるあるのか、、、だから特別地区も地区計画地区も敷地レベルなのか、、ヨクデキテイル。

 exciteってのは、他動詞で興奮させるって意味だから、ここではコーフンさせてくれるんだな。コーフンさせてくれるなにかを造ろうってことか。どこか品がないネーミングだよなあ。
 それは知的コーフンか、身体的コーフンか。

 西口駅ビル計画には、なにかコーフンさせてくれる機能があるのだろうか。地区計画という建築計画説明書を読んでも、文化施設はないから知的コーフンはなさそうだ。
 そのいっぽうで、肉体的にもコーフンしそうなものもない。なにしろ風俗営業禁止建築だからなあ、、。

 その点、駅ビル付属の駐車場計画地の周りには、風俗系も飲み屋系もあれこれたくさんあるから、肉体コーフンさせてくれるよなあ。こちらが「エキサイトよこはま22」のコーフン拠点になるのかしら。
鶴屋町地区には肉体的コーフン施設があるなあ、エキサイトさせられるよ
とにかく横浜駅西口地区には、知的コーフンを起させるエキサイト拠点は今も計画にも見当たらないのは、どういうわけか。
 差別表現を承知で書くが、なにしろ出自が砂利と燃料置き場の荒れ地の、なにもコーフンのないところだったせいだろうか。いやまてよ、貯蔵燃料が燃えて大火事になり、市民をコーフンさせた事件が、昔々あったそうだなあ。

 さて、そうやって都市計画まで引き出して決めた駅ビルは、さぞやコーフンさせてくれる素晴らしいデザインであろうと、完成予想図を見ると、これが、、、。(つづく)

参照→991【横浜都計審傍聴3】http://datey.blogspot.jp/2014/08/991_30.html

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版)  ●本文版
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin

2014/08/30

991・【横浜都計審傍聴3】この地区計画は都市計画じゃなくて横浜駅ビル建築計画だよ

前回からのつづき)

・地区計画による建築内容規制

 横浜駅西口駅ビル計画について、JR東日本と東急は、計画都市再生特別措置法に基づく都市再生事業として、建設をしようとしている。
 そのために、都市計画の都市再生特別地区(手続き上は変更だが事実上は新設)と地区計画を提案した。そして今回の横浜都計審には、この二つの都市計画が議題に出されていた。

 ところが、この地区計画は、わたしが知っているこれまでの例と比べて、地区の範囲も内容も、異例の決め方であるとしか思えない。
 これが都市計画のひとつである地区計画なのだろうか、とさえ思う。
 地区計画は、用途地域等による規制では不十分な都市計画を、その地区にふさわしいないように規制するものであり、指定の範囲は街区を単位とする。
 つまり道路で囲まれている区域を、一体的に有るべき環境に誘導するものである。建築のひとつひとつを敷地ごとに規制するものではない。だからミクロの都市計画である。

 それなのに、この地区計画の土地の範囲は、横浜駅西口駅ビルの商業建築敷地、それに付属する200mも離れた鶴屋町駐車ビル敷地、その二つの敷地を結ぶ紐のような鉄道線路跡地の敷地、これら3敷地を計画の範囲にしている。それらの敷地を含む「街区」ではないのである。
 だから地区計画の範囲が、これまで他では見たことがないような、南北両端にこぶがある奇妙な細長い形であるし、あちこちに虫食いがある。
北から見る南へ細長い駐車場用地と鉄道線路跡地
地区計画範囲
駅ビル敷地(A地区)は、同じ街区の中で隣の敷地の相鉄ジョイナスや高島屋の建て替えがあるはずなのに、地区計画の方針区域にも入れていない。
 モアーズやその北の三角街区との間は、細い街路で歩道もないのに、建築セットバックするだけで地区施設として街路拡幅する気配もない。(下図)
右が駅ビル敷地 狭い前面道路だが地区施設として街路拡幅しないらしい
鶴屋町の駐車場ビルの敷地のある街区には、他に多くの建物があるし、この街区の西の道路は6m程度で歩道もない。なのにそれらを除外している。
 この街区周辺は、都市整備が必要な土地利用や都市基盤の状態である。それらについては、地区計画方針地区にも入れていない。ただただ駐車場用地のみである。
 要するにこれは地区計画ではなくて、駐車場敷地建築計画なのである。これが都市計画か。

 とにかく、このような建築敷地だけを対象にした地区計画、つまり敷地の都市計画には、初めてお目にかかった。
 なぜこういう都市計画になったのだろうかと考えているのだが、都市計画審議会の委員たちは、どなたも疑問に思わなかったのだろうか。その審議の無作為はどこから出ているのか。

・地区施設で建築動線を手とり足とり決める

 地区計画の区域ばかりでなく、その内容も建築計画そのものである。
 一般的に地区計画の方針は、もっとざっくりとした書き方をするものだが、ここでは事細かに建築の使い方を書いてあり、地区整備計画ではさらにそれが詳細になる。
 地区施設はほとんどが建築の屋内空間にあるから、建築動線計画を文章と概略図にしたようなものである。
地区施設位置図(都計審資料より)


地区計画(案)はこちら http://goo.gl/ieHUzQ
それらは、これほどの大きな駅の駅ビル建築計画をするなら、常識的に考えて当たり前に整備しなければならないものばかりである。都市計画の地区施設であろうとなかろうと、そうしないとここのように多くの人が利用する駅ビルとして機能しない。
 そのほかの用途制限も、工場や風俗系規制だから当然のこと、意匠についても社会責任のある大手の鉄道事業者なら、都市計画で言われなくても当然に守るべきこと、というより、まさか、やりそうもないことばかりである。

 一般には、地区計画区域内に複数の地権者がいて、それらに権利移動が起きると、それぞれの敷地で起きる建築行為を、任意の規定では守られないおそれがあるから法的規制をするのだ。
 ここのように、特定の事業のために、ここまで親切?に決めるのは、どうしてか。これが都市計画なのか。
 現役から遠ざかっているうちに、都市計画は建築計画と融合をしているのであったか。それはそれでよいことだが、、。
  
 都市計画行政の先端にいる筈の横浜市が、このような不思議な都市計画をするのが、不思議である。横浜市では、建築行政と都市計画行政は一体になったのか。都計審の委員は誰も、これを不思議に思わないのが不思議である。
 どうしてこういうことになるのか、ちょっと、このあたりのことを考えてみたい。都市再生特別措置法に問題があるのかもしれない。また、つづきを書く。 (つづく)
 
参照→990【横浜都計審傍聴2】http://datey.blogspot.jp/2014/08/990.html

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版)  ●本文版
https://sites.google.com/site/matimorig2x/essay-cityplanning
https://sites.google.com/site/matimorig2x/tokeisin

2014/08/29

990・【横浜都計審傍聴2】横浜駅西口ビル計画の容積率大幅緩和はどうやってひねり出したのか

前回からの続きhttp://datey.blogspot.jp/2014/08/989.html

・巨大駅ビル計画登場

 JR横浜駅をわたしが使い出したのは、1970年くらいからだったろうか、それから現在まで、いつもいつも工事をし続けている。その中には駅西口にあるホテルや駅ビルの工事もあった。
1960年頃の横浜駅西口駅前風景
今、それらが取り壊されて、東急線が地下に潜る工事がやっと終わったと思ったら、またもや工事である。それらの跡地に巨大ビルの計画が登場した。JR東日本が事業者となる「横浜駅西口駅ビル計画」である。https://www.jreast.co.jp/press/2013/20140302.pdf

 新しい駅ビルができることには、わたしも歓迎するのだが、これを都市計画の変更を伴う計画とするには、いくつかの疑問点がある。もちろん、この疑問は先日の都計審傍聴において配布された資料のみによるのであって、それ以上の情報は知らないから、的外れかもしれないがが、市民はこれ以上は知りようがないのである。
 この駅ビル棟及び付属駐車場棟の二つの建築とそれらを結ぶデッキ歩廊という3つの建築物について、3つの都市計画を定めるのである。

 3つの都市計画とは、第1には都市再生特区による規模と外形の決定、第2には地区計画による用途と地区施設等の決定、第3には建築物建て替えに関連して生じる地下特殊通路の変更追加決定である。
 これらの中で最もドラスティックな都市計画決定は、第1の都市再生特区による、容積率の変更である。現行都市計画による基準容積率は800%であるが、この特別地区指定によって124%に上昇する。なんと440%も容積ボーナスが出るのである。
 こうして横浜る駅西口には、天理ビル(1973年、27階建て、延面積38000㎡、高さ102m、容積率1040%、特定街区)、相鉄ビル(2008年、28階建て、延べ面積69000㎡、高さ115m、容積率1100%、特定街区)につづく第3の最も巨大建築(26階建て、延面積94000㎡、高さ130m)が登場することになった。
 3つの都市計画の内、この都市再生特区について、先ず疑問点を書く。

現行の都市計画で容積率は800%、それが都市再生特区で1240%に!

・都市再生特区の容積率大緩和はどう判断して決めたのか

 都市計画は、文字通り都市を計画するのである。建築とその敷地のひとつひとつについて規定するものではない。少なくとも複数の街区や公共施設を対象にする。
 ところが、この駅ビル計画では、その敷地だけをとりあげて容積率を5割増し以上にしている。いわゆるスポット都市計画である。これが街区ではなくて、街区の中の一部敷地であることに注視する必要がある。西口地区の2つの著いう高層ビルはどちらも特定街区であった。
 街区の中の一部敷地でも容積割増ができるのは、普通では考えられないので、たぶん、都市再生特別措置法なるバブルパンク後の不良債権解消と景気浮上のために、2002年に作った特別法を使うからだろう。
 この法律による都市再生事業を行いたいからと、土地をもっているJR東日本と東急の鉄道2社が、横浜市に都市計画で都市再生特区を決めて、容積率割り増しをしてほしいと提案をした。
 それを受けた横浜市は、その提案の通りに都市計画審議会に諮問したらしい。
 そんな、おれんちの土地だけ容積率をアップしてちょうだい』、なんて提案が通るものなんだと、驚く。しかも、なにか社会貢献の良いことをするから、ボーナスちょうだい、ではなくて、なんにもしないけどボーナスだけちょうだいって、提案である。
 それも100%増しとかじゃなくて、440%増しだからもっと驚く。
 西口地区に建った二つの特定街区建築は、それぞれ1040%と1100%だから、この駅ビル計画の大盤振る舞い要求ぶりがスゴイ。
 
 どこをどうすれば、そのような巨大ボーナスを民間事業者が獲得できるのだろうか。
 都市再生特区の指定については、一律の基準にによることなく、一件ごとに審査して定めるとされているから、これもそうしたのだろう。そして、提案されたそのまま鵜呑みにして決めた、ってことでは、まさか、あるまい。
 だとすれば、都市計画審議会は、なぜこの容積率巨大ボーナスを与えるのかを、きちんと審議することが必要だろう。しかるに、なにも質問もなく、もちろん意見もなかった。委員は理解しているのだろうか。
 若干言い過ぎを承知で書くが、この民間事業者への特定利益供与のようにも思える。だって、JR東は居ながらにして、その所有地の利用価値が5割以上も上昇したのである。どんな公共的公益的な貢献があるのだろうか。

・この後に出てく建て替えでも敷地ごとに大緩和するのか

 横浜駅西口地区では、相鉄ジョイナスや高島屋の建て替えが報道されているから、そのほかの多くの老朽ビルも、次々と建替えするかもしれない。
 そのとき、うちの敷地も800%を1240%に緩和してくれと、それぞれから都市再生特区提案が出てくるだろう。
 公平を期するとして、駅前広場に面する建築はもちろん、西口地区一帯では提案が出るごとにひとつひとつ、どこの敷地でも都市再生特区にして1240%に緩和するのだろうか。
 あのあたりの昔の都市計画による貧弱な都市基盤が、それに耐えられるのだろうか。景観はどうなるんだろう。

 このあたりの疑問を、都計審には審議してほしかったのである。
 委員の方々はなにも質疑されなかったのは、なにか私の知らない事情をご存じだったのでしょうねえ、教えてくださいな。
 敷地ごとに都市計画を決めていては、これはもう都市計画を逸脱している。
 だから同時に決める地区計画で、そのあたりをうまく補完しているのかと思ったら、これも疑問だらけであるので、次回からそれを書く。 (つづく)

参照→989・【横浜都計審傍聴1】
http://datey.blogspot.jp/2014/08/989.html

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版) ●本文版
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2014/08/28

989・【横浜都計審傍聴1】素人委員ばかりで実質審議をしないまま原案通りに承認

・都市計画の素人ばかりで都市計画を審議

 昨日(2014年8月27日)の午後、横浜市都市計画審議会が開催され、わたしは傍聴に行ってきた。いつものように、どの議題も短時間に異議なし、原案通りに可決であった。
 今回の審議会の議題は6件あり、うち3件は横浜駅西口駅ビル計画であり、実質ひとつの議題である。あとの3件は特別緑地保全地区の指定である。
 これらの中で、大課題をもつものは横浜駅西口駅ビル計画である。わたしはその中身をある程度は知っていたので、この問題含みの巨大開発を、都計審がどう審議するのか興味があって、傍聴にいったのだった。

 審議会の時間はほぼ1時間15分、説明時間ばかり延々と長く、委員の発言者は4人のみ、それも質問ばかりで意見は無し、実質的に審議は10分くらいである。その中身も、都市計画決定事項の内容にかかわる発言は、皆無であった。
 出席委員は、委員総数25名の内16名であるが、都市計画専門家は会長ただ一人で、大学関係者7名が欠席、学識委員の出席者は業界代表ばかり。
 これに対して市議会議員の委員は、1名欠席の9名の高出席率である。
 簡単に言えば、ほぼ全員が都市計画の素人の委員で審議をしたのであった。都市計画の内容にかかる審議がなされなかったのは、当然のことである。

・審議すべきことを素通り

 横浜駅は、戦後の急成長して横浜の最も中枢に都心になった地域で、巨大開発があとからあとから連続している。ここにさらに巨大開発がはいってくることについて、都市計画としてどう評価するのか、そこのところを審議会で聴きたかった。
 わたしはこの議案の計画内容について、新駅ビルができることはよいのだが、都市計画的に若干の疑問があり、都計審がどう審議するか興味があった。
 疑問のひとつは、この計画は単なる二つの敷地の建築建て替え計画であって、どう見ても都市計画ではないような気がすること。
 もうひとつは、それにもかかわらず、駅ビル用地の都市計画の現行容積率800%を1240%に変更すること、つまり単独ビル建て替えに対して都市計画で5割以上もボーナスを与えるのだ。
黄色線枠内が都市再生特別地区と地区計画地区の範囲だがいかにもゲリマンダー

駅ビル敷地だけを現行容積率800%から1240%に大型ボーナス変更する

 委員からの発言は、質問が3つあったのみである。
 その1、高齢者にバリアフリーはどうか。市の回答は、事業者に努力するように指導する。
 その2、市からお金を出すか。回答は、地下の歩行者専用特殊街路整備費に3分の2補助するが、そのほかはない。
 その3、河川からの出水対策はよいか。回答は、防災センターを地上階に置き,地下に200トン貯留槽を設けて対応している。
 ということで、都市計画とは直接関係のない質疑だけで、実質審議時間10分足らず、ほとんど実質審議しないで、原案通り承認した。
 わたしが聴きたいことは全然でなかったばかりか、あまりにあっさりと承認したことに、ちょっと呆れた。というよりも、いつものとおりのアッサリ審議会(別の言い方だとダメ審)だなあと思ったのである。

 この計画の何が問題か都計審の委員は分っていないらしいので、明日からそれを書くことにする。つづく

参照→これまでの横浜都計審イチャモン弧乱夢

参照→●あなたの町の都市計画はこんな会議で決めている(要約版) 

2014/08/27

988エエッこんどは日本海大津波だとかでもう日本列島に住むところがない

 エエッ、おお~、今度は日本海地震、最大23m高さの大津波だってえ~ッ、。
太平洋岸が東も南も大津波で大変なのに、こんどは日本海沿岸も、だそうである。
 そして、こちらの海岸にも、ちゃんと原発群が、待ち構えているのであったか。
 それじゃあと言って、山に居を構えると、土石流の山津波に襲われる。それではと、川っぷちの平地に住めば、ここにも氾濫洪水がやってくる。

 原発がないからと沖縄に逃げると、広大なアメリカ軍基地が待ち構えている。
 集団的ナントカかんとかで戦争できる日本国になったらしいから、戦争になったら敵国から一番に攻撃を受けるのが沖縄かもしれない。
 日本列島に安心して暮らすことができる場所は、いったいどこにあるのだろうか。

 でもなあ、考えてみると、災害を怖がるのは、自分がそれで死ぬという恐怖なんだよなあ。
 だとしたら、人間だれでもいずれは死ぬんだし、わたしはその時期にかなり近づいているんだから、ここでじたばたしてもしょうがない。
 海津波でも山津波でも核毒でもミサイルでも、なんでもいらっしゃい、どうせ死ぬ身がちょっと早まるだけだもんなあ、ってなもんである。

 しかしなあ、こういっている老人が、いざというときに泰然自若とするかというと、実は一番にオロオロして、あたりに迷惑かけそうな気もする。
 もっとも、大勢のジジババが、津波が来ようとミサイルが来ようと、泰然自若として梃子でも動かなくなると、それはそれで救助隊を困らせるだろうなあ。

地震津波核毒原発おろおろ日録
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_26.html

2014/08/24

987超安物新品千円CHINA扇風機と高額修理費でも3連続故障CANONプリンター

 近所の中型電器屋で、扇風機をみつけ。それがなんと980円!、ついふらふらと買ってしまった。いつだったか、なんでも百円屋でつい買った時計と同じく、安物買いである。
 まあ、買った理由というか、言い訳がないこともない。今わたしの書斎兼寝室にある扇風機は、もう30年くらい前に買ったような気がする代物である。
 いや、あの真っ黒な羽根がブンブン回るヤツじゃないよ、それほど古くはない。タイマーがあるし、首ふりもする。
新旧扇風機出会いの図 右の旧がしょげている様子

 これを使っていて気になっていたのは、長く回すとモーターのあたりが、熱いほどではないが、温まるのである。なんでも古い扇風機が燃えたという話を読んだこともあって、ちょっとは気にしていたのである。
 だから、新品を買うべき理由があると、自分に言い聞かせて、千円札でおつりが来る値段に反応したのであった。

 旧の値段は、忘れたが1万円以上はしたような気がする。10分の1以下とはどういうことか。80年代(70年代かも)の東芝製だから、あのころは日本で作っていたのだろう。人件費が高かったのか、需給関係でメーカーが強かった頃か、。
 新は聞いたこともないユアサプライムスという日本の会社らしいが、これはあの電池メーカーの関連会社だろうか。made in chinaと小さく書いてある。ネットで見ると卸売業とあるから、中国製品にブランド名だけつけて輸入販売しているのだろう。

 新は重さが旧の7割くらいになり、旧は回るとき若干の振動があるが新にはない、旧は羽根が4枚で新は5枚など、簡単な製品でもそれなりに技術革新があるらしい。
 百円屋のダイソーで以前に買った百円時計(中国産)は、まれに独断休憩をすることがあるのだが、この千円CHINA扇風機もそうするだろうか。時計と違って中休みされても、こちらに不都合は発生しないが、さて、、。
 なお、この新扇風機は2014年製造であるが、説明書に6年間使用が可能と書いてある。それを過ぎると独断休憩したり、火が出たりするのかもしれない。

 うっかり扇風機を買った店に行った目的は、プリンターが故障したので修理に持って行ったのだ。7月からこれで3回目の修理である。
 このプリンターは4年前に26800円で買ったので、それなりに高い代物である。本づくり趣味のためによく働いてくれた。

 7月の故障で修理代を11500円支払っている。これだけ出せばいまでは新品を買える。
 その7月の修理から戻ってきて1週間目に、また故障した。その2度目の修理から戻ってきて20日目に、また故障である。新品が買えるほどの修理代を取りながら、真面目に修理したのか、CANONは。

 CANONプリンターってのは、4年使ったらもうおシャカになるって代物か。
 そういえば、プリンター用のインクを百円屋で売っているなあ、ならば、千円プリンター出現も近い。ユアサ何とかさん、よろしくお願いします。
 

2014/08/23

986少年の戦争の日を語るアラキジュ仲間生前遺稿集でも作ろうかなあ

 いまやわがことながら昔々になってしまったが、東京の大学寮で暮らしていた時期があった。
 その同じ大学の同じ大学寮で生活をしていた、わたしの同期生たち39名のあいだで、メーリングリストによる連絡網がある。その管理人を、わたしがしている。

 靖国神社と千鳥ヶ淵に野次馬徘徊に出かけた日、ふと思いついて、
「1945年8月15日の終戦の日に、あなたはどこで何をしていましたか」
と、この連絡網でみんなに聞いてみた。
 誰もがいまは喜寿のあたりだが、その時は国民学校初等科の1~3年生、ようやくに世の中のことが見えてきて、記憶をもっている年頃だ。
 日本の大激変の日、少年の行方を決めた日を、どう迎えたか。

 大学の中にあった学生寮だから、全国各地から東京にやってきた者たちである。
 大学のある東京に家があったものも、その頃は空襲を避けて疎開で各地に移っていたから、東京でのその日の体験者はないようだ。
 ほかの都市に住んでいたものでも、田舎に疎開してそのまま住みついて長じ、大学に入ってきたものもいる。

 わたしのように、小さな田舎町でのほほんと育った者もおおいが、それはそれなりに戦争を体験している。わたしはあの日、あの放送の時の大人たちの沈黙しきった姿を記憶しているし、それから始まる飢餓の日々の記憶の方が多い。
 あの夏、原爆も含む空襲による戦災、満州や朝鮮の外地から引き揚げなど、混乱の中で生命の危機に係わる過酷な体験をした者たちもいる。
 原爆について言えば、しっかりと被曝して生死をさまよった者、きのこ雲を遠くから眺めた者、被爆した近親者がいる者など、複数のそれぞれ原爆体験者がいる。

 若い日々のある年を一緒に過ごした仲間のひとりひとりが、幼少時の1945年という同じ年の同じ暑い日々を、まったく違う土地で、まったく違う環境にいたのに、戦争でつながる体験を語るメールが、次々とやってくる。
 実は、このメーリングリストは、平素はたいして情報交流はない。ときどき書き込む常連がいるが、その一方で読むだけ常連の方が多い。

 それなのに、この問いかけについては、過半数の仲間が語ってくるのを読み続けて、この暑い日々は驚いたり感銘したりして過ごしている。
 それらはまるで、敗戦の年の日本の縮図である。
 そろそろ戦争のことを語っておこう、と思うアラキジュの年頃になったせいかもしれない。
 みんなのメールをまとめて編集して、「少年の戦争の日々を語る生前遺稿集」にでもしようかなあ。

参照→「少年の日の戦争」(伊達美徳)


2014/08/21

985【地震津波火事原発】土石流想定地域の真っただ中に人々は住んでいる現実は!?!

近ごろ災害が多いような気がする。しかも、自然の変調によって起こる災害が。
 自然が変調しているとは、なにか地球に異変が起きていることだろうか。では、昔はそれほど変調がなかったのだろうか。
 統計を見ないと分らないから、単に多いような気がしているだけかもしれない。

 災害の意味を考えているのだが、災害による被害者は人間である。まあ、牛とか犬とかも被害獣になりうるが、これを災害というときはそれらに持ち主がいて、金銭的あるいは情緒的な被害があるときで、野良牛野良犬なら被害とは言わない。
 人間がいるから災害が起きる。とにかく人間がいなけりゃ、災害は起きない。この世から一切の災害がなくなるのは、人間が途絶えるときである。
 絶海の無人島で火山が爆発して溶岩がどんなに流れようと、災害は起きたとは言わないのは、いま小笠原の西の島で現に起きている現象である。

 地震津波山崩れ洪水などを自然災害と言う。だが、自然の側からは、こう言うだろう。
「そりゃ違うでしょ、人間災害でしょ、こっちは自然の摂理で動いているだけだよ。
 人間が、山を削るから、谷を埋めるから、海を埋め立てるから、それらが元の地形に戻るように身震いして動くのが、自然の摂理なんだよ。
 人間が勝手にそこにいて災難に遭っているので、文句あるならよそに行きなさいよ。
 地震が嫌なら地盤の良いところへ、津波が嫌なら山間部へ、山崩れが嫌なら山から離れて、洪水が嫌なら河川から離れて、そういうところに住みなさいよ。
 そっちから飛んで灯にいる油虫どもが、何を言うか」

 放火とか原発事故のような人為的な原因での「人為災害」と区別するために、自然の摂理がもとで起きた災害を「自然災害」と呼ぶのだろう。
 そういう自然災害が起きそうなところは、その昔は人々の長い間の知恵で、住まないようにしてきたのに、人口増加時代には、そんな所は土地が安いので、開発して家をつくって住んでしまうことになった。
 当然のことに、そこには災害が起きる。災害が起きると、ここは危険な区域だったのに、行政がそのことを知らせなかったのはけしからん、などという人が出てくる。
広島市南安佐区の土石流被災地の被災前の姿  住宅地が急斜面を登っていく  数字は標高

上の写真の被災中心部の被災前の風景 右が県営住宅 google street
いまではハザードマップを公表するようになったが、かつてはその公表には社会的抵抗があった。土地建物の資産価値が下がるからと、各方面からの抵抗である。不動産業界はもちろんだが、住民に根強い抵抗がある。
 東日本大震災で、津波に襲われた沿岸各地では、都市計画でその被災地を原則的に住宅建設を禁止にしたところが多い。それらの地域では、津波被災は3・11が初めてではないにもかかわらず、被害に遭ってはじめて住宅禁止にできたのだ。

 東南海トラフが暴れる大津波がやってくることが、そう遠くない時期らしいと、今では誰もが分っている。
 それなのに、関東から九州にかけての太平洋沿岸の津波被災予想地域での、住宅禁止の都市計画の事例を知らない。みっしりと立ち並ぶ現在の住宅地を、今の段階で住宅禁止区域に指定するには、膨大なる抵抗があるだろう。

 わたしたちは実際に被災を経験しないことには、災害予防の対応ができないのだ。
 たぶん、東南海大地震に伴う大津波がやってきた後になれば、住宅禁止指定できるのだろう。
 都市計画で自然災害を予防することは、どうも無理らしい。

(追記2014/08/24) 広島県が「土砂災害ポータルひろしま」として公開している災害危険地図サイトを知った。
http://www.sabo.pref.hiroshima.lg.jp/portal/map/kiken.aspx
 今回の災害があったあたりの、土石流の巣のような地図が、以前から公開されてたようだ。下の画像はその中の安佐南区八木のあたりのコピー。
 これと上の災害前の空中写真を見比べて、いやまったく、
土石流想定地域の真っただ中に人々は住んでいる現実は!?!


地震津波火事原発おろおろ日録
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_26.html