2009/02/13

095【くたばれマンション】貧困な日本の住宅政策が名ばかりマンションをつくる

 なんでも名ばかりマンションが売れる気配らしい。
 不景気で売れないから、値下げや投売りが出てきているのと、購入に当って減税措置が拡大されたのだそうだ。
 まったく困ったものである。

 まず第1の問題は、わたしが言うところの名ばかりマンションは、大地震がきたらたちまちに困ることになる可能性が高い危険なる代物なのに、政策はその購入を支援しているのである。
 第2の問題は、なぜ持家購入の借金返済には減税して、借家の家賃には減税しないのか。まったくもって不公平である。
 日本には住宅政策はなくて、経済政策だけがある。

 横浜に寿町という、いわゆるドヤ街がある。東京の山谷、大阪の釜が崎とならぶ、簡易宿泊所と呼ぶ実情は超零細アパートメントビル街である。
 約6ヘクタールの街に約6400人のドヤ住人たちが寝起きしているが、人口密度を計算するとヘクタールあたり1000人を超える超過密である。それに高齢化も押し寄せて、今や労働者の街から介護の街になりつつある。

 わたしは寿町の近くに住んでいてよく通るし、この地域の新展開を目指すホステルビレッジ事業者に案内してもらって体験宿泊もしている。
 かつて若くて体力のあった港湾荷役労務者たちがその後に建設労働者となり、仕事が減り高齢化して労働能力が下がったままにずるずると暮らし続けて老いているのだ。

 50歳以下は極端に少なく、65歳以上の高齢化率は31.5%(2005年)、9割は男単身世帯である。高齢者が多いから病人も多いという。日雇いだったから健康保険も年金もない。8割の世帯が生活保護費を受給している有様である。
 簡易宿泊所数は118棟、8461 室、宿賃は1室ネット約5㎡(3畳)で2200円/日である。実質的には住んでいるのだから月66000円、つまり13000円/㎡・月の家賃である。このあたりのワンルームマンションの家賃相場は3~4000円/㎡・月だから超高額である。

 実態的に超高額超低級アパートメントに住む人たちに、その家賃として生活保護費を支給していることになり、つまりその超収益不動産経営者を公的資金で支えていることになる。奇妙な構造である。
 この地域の歴史的背景は複雑なものがあるが、ここには日本の住宅政策が社会政策ではなくて、経済政策としてしてきた歪みが見事に現れている。

 日本に社会政策として住宅政策があったなら、当然のことにこの地域に公営住宅を建設して、これらの人たちをいれていただろう。
 まあ、麻生さんも小沢さんも、借家住まいをしていないことはたしかだろう。
参照→085借家か持家か  059怖い大規模名ばかりマンション 
   横浜ご近所探検隊が行く

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