「黎明 福島原子力発電所建設記録 調査編」(1967年 企画:東京電力、製作:日映科学映画製作所)で、「科学映画館」サイトにある。
http://www.kagakueizo.org/movie/industrial/350/
製作されたそのころは日本が高度成長期にさしかかり、まさに発展途上国に足を突っ込んだ時代である。
映画の雰囲気が、いかにもそれらしくて、なんだか懐かしくなる。今の若い人が見たら、これは中国の映画だ、と思うだろう。そういえば1950年代のソ連の宣伝映画がこんな感じだったな。
映画は福島原子力発電所の工事にあたって、現地の地上、地中、海上、海中、空中、上空において、その綿密なる事前調査を行う様子を描く。地震、地盤、大気、水質、波浪などなど、こんなに入念に調査してるんだから安全だよと。
さて、その中で「津波」がどう出てくるか、注意して聞いていたら、なんと、まあ、たったの一回のみであった。
冒頭でこの用地の地域をこう紹介する。
「数百年にわたって地震や津波などによる大きな被害を受けたことはない」
これだけ、あとは波浪は出るが津波はない。感無量になってくるよなあ。
それにしても、あの原発用地の元の地形は、海岸からいきなり30m以上もの高さのある絶壁の上にある台地だったのですね。
それを削って削って削って海岸に平地をつくり、そこに原子炉を置いたのだったとはねえ、、。
1966年当時の福島原発用地のあたりは絶壁海岸
映画に出てくる海から見た原発用地あたりの崖
映画は、このようなナレーションで締めくくる。
「かぎりない創造の夢はひろがり、人間のはかり知れない叡智は、輝かしい次なる文明段階へとつながり、今ここにひとつの偉大なる建設が成し遂げられようとしている」
ああ、あの頃、わたしの上に輝いていた未来、あの懐かしい未来は、いま、どこに行ったんでしょうねえ。
今日の視点でこの映画を見ると、たまらなく面白いですよ(不謹慎ながら)。
ついでにこれとセットで、開沼博著『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたか』を読むと、おもしろさが倍増しますよ。
●参照⇒地震津波火事原発オロオロ日録
http://datey.blogspot.jp/p/blog-page_26.html
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