いま、横浜都心で「木下サーカス」が公演中である。
その隣のビルの窓から見下ろすと、真っ赤な丸いテントがあり、そのわきに出演動物たちの小屋も建っている。
おや、キリンが野外でウロウロしつつ、首を伸ばして海のほうの景色を見ている。
木下サーカスねえ、懐かしい、としか言いようがない。少年時代を想い出させる。
あれは生まれ故郷の町の稲荷神社のお祭りの日だったろうと思う。広い河原にたくさんの露天商の屋台群とともに見世物小屋もいくつか建っている。
怪しげな蛇女とか首だけ人間とかの小屋もあるが、なんといっても素晴らしいのは大きなテントで堂々たる木下サーカスである。
テント小屋の裏にまわると動物の檻がたくさんあって、ライオンやら象やらがいる。あたりに立ち込めるその糞尿のにおいも思い出す。
金網で作った地球儀のような球体の中をオートバイがぐるぐると天地の境目なく走り回る、空中で男女が飛びながら手をつないでのブランコ、あまりに昔のことで、実はこれくらいしか記憶がない。
その横浜都心のサーカステントから、頭を港のほうにめぐらす。
目の下の北仲通りの再開発はとん挫しているらしく、いまだにビルは建たないで、一面の駐車場になったまままである。
2棟だけ残存している帝蚕倉庫の建物はどうなるのだろうか。
その向こうの新港地区を見ると、サーカステントにお似合いの観覧車が回っている。
お、あれはなんだ、おお、そうか、やってるやってる、これが例の景観騒動(世間では騒動でもないが、業界ではね)があった結婚式場の建物工事が進行中であるか。
鉄骨骨組みが黒々と観覧車のふもとに建っている。これから白い外装がついてくると、これは結構大きい建物であるようだ。
さてどんな景観が実物として現れるか、そして景観業界がなんというか、世間がなんと噂するか、ちょっと春が楽しみである。
●参照⇒横浜風景、横浜港景観事件
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