2011/07/02

444公園と緑とホームレスと

 横浜都心には大通り公園という、昔の川をつぶして作ったひょろ長い公園がある。都心部に帯状に緑と広場を設けるのはのはなかなかよろしい。
 この地下には地下鉄が走っている。
 その公園の市役所の前はクスノキ広場といって、タイルやレンガで硬い舗装の地面から、くすのきの大木が何本も立ち並ぶ。
 レンガやタイルの下は地下鉄だから、固いコンクリートだろう。
 とすると、クスノキはコンクリートの土の上の薄い土に根を張って上に幹と枝は葉を繁らせているのだ。

 そう思って楠木の根元を見たら、幹の回りに土が見えていて、周りを円形にレンガが囲んでいる。
 その根はもちろん地中にあるのだろうが、狭い土の上にも周りのレンガに沿って丸く、蛇のごとくトグロを巻いて盛り上げている。
 レンガをいくぶん押し上げつつも懸命にとぐろを巻いているのは、大きな幹や枝が風で揺れるのを支えるための努力の表現であろう。
 こんな狭い土からあの大きな枝葉を広げているが、この舗装の下はどんな根があるのだろうか、それは地下鉄のコンクリート枠にしっかりと抱きついているのだろうか。
 人工物と自然との日常のせめぎあいが見える。
   
 クスノキ広場から鉄道効果をくぐって、石の広場になる。
 周りのイチョウの並木に囲まれて、気持ちの良い石の舗装空間がひろがる。いまどきは暑くていられたものではない。
 そこに小高く石の舞台があって、長い公園のランドマークおなるデザインで、なかなかよかったのだが、今はきれいに取り払われて舞台跡が芝生になった。
 この盛り上がっていた舞台の下は公衆便所であったが、どうもホームレスの住処になっていた気配がある。それが取り払いの原因かもしれない。
 若干緑の空間が多くなったが、ホームレスの人たちはどこに行ったのだろうか。
   
 JR根岸線の高架の下は、ホームレスの人たちと公共施設の管理者との攻防の場所となっている。
 高架下の植え込みには、青シートにくるんだダンボールハウス部品が昼間は並んでいる。夜になるとこれらが組み立てられてハウスになるのであろう。
 その位置は、安泰ではない。緑地に金網が張られて追い立てをくう、別の場所に移ればまた同じ追いたてと、年とともに移動しているようだ。
   
 先日のこと、思い立って渋谷の宮下公園に行ってみた。
 ここはホームレスたちの有名な居場所だったが、今は上の公園から完全に追いたてられて、下の駐車場と道路との間に降り、道沿いにきちんと並び立っているのであった。
 こうもきれいに青シートダンボールハウスが道沿いに並び建つと、これはいったいなんだろうか。
 秩序あるホームレスダンボールハウスというトートロジーの風景にたじろいでしまった。

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