2011/07/03

445一億総節電陰謀時代

 なんともはや、年寄りには辛い夏である。とくに世の中の節電による被害がつらい。
 7月1日、T電K支社を訪ねる用事があった。あ、いや、いま評判?の事件とは何の関係もない、学術的な調査での打ち合わせであった。そのことはまたあらためて書く。

 その支社のビルの姿からして暗い。やっぱりなあ、どことなく暗いイメージだよなあ、いやイメージじゃなくて、照明の電灯が暗いのである。
 玄関ホールも暗いなあ、廊下は特に暗くてケつまづきそうだなあ、会議室は暑いなあ、暗いなあ。なんだか社員の顔も暗そうだが、これは思いすぎか。

 歳をとると、体温と外気温との調節機能が衰えてくる。
 冷房が効いていない室内に入っても、しばらくは身体に貯まった外の暑さを放出できなくて汗がだらだらと続く。ハンカチでたびたび拭き、出された冷たい麦茶をがぶがぶ飲む。
 視力も衰えているから、暗い室内では小さな字は読めなくて、書類を見るのが面倒だからいい加減な話になる。
 ついでに言えば,耳も遠くなるからついつい大声で身振りもつけて話すから、体内から熱が発生する。
 年寄りにはつらい夏である
 
 ははん、さすがに原発事故の家元だけあって、暗く暑くしっかり節電していらっしゃる、と思ったのだった。
 ところが実は、その日から東京電力と東北電力のエリアでは、「電力使用制限令」なる経済産業大臣の命令が出て、大口需要者はみんな暗く暑い夏になってしまったらしい。
 なんだT電だけじゃないのか。
 
 で、その物々しい「制限令」なる戒厳令はどこから出たのか調べると、電気事業法第27条だそうだ。
第27条 経済産業大臣は、電気の需給の調整を行わなければ電気の供給の不足が国民経済及び国民生活に悪影響を及ぼし、公共の利益を阻害するおそれがあると認められるときは、その事態を克服するため必要な限度において、政令で定めるところにより、使用電力量の限度、使用最大電力の限度、用途若しくは使用を停止すべき日時を定めて、一般電気事業者、特定電気事業者若しくは特定規模電気事業者の供給する電気の使用を制限し、又は受電電力の容量の限度を定めて、一般電気事業者からの受電を制限することができる。
 ふ~ん、電気を止めないと公共の利益を害する状態なんだ、今は。

 じゃあ、その逆に、電気を止めると公共の利益を害するって状態はどうなんだろう。
 電気を止められて、公共公益施設ではではエスカレーター・エレベーターが止まり、執務室は暗く暑いし、街灯が消えて夜道は怖いし、電車の運行本数が減って不便だが、こういうのは公共の利益を害してるって言わないのかしら。
第15条(略)経済産業大臣は、(略)電気事業者がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反した場合において、公共の利益を阻害すると認めるときは、第3条第1項の許可を取り消すことができる。
 つまり公共の利益を阻害した電力屋さんは、営業許可の取り消しになるんだな。

 では営業許可条件はどうなんだろう。
第5条 経済産業大臣は、第3条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
1.その電気事業の開始が一般の需要、一般電気事業の需要又は供給地点における需要に適合すること。
2.その電気事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること。
3.その電気事業の計画が確実であること。
4.一般電気事業又は特定電気事業にあつては、その事業の用に供する電気工作物の能力がその供給区域又は供給地点における電気の需要に応ずることができるものであること。
 さてこの項目の中で、こんどの原発事故について考え見ると、第2項の「技術的能力」があったのかしら
 あるいは3項に照らして原発は「計画が確実」であったのかしら

 どこもかしこも節電、何でもかんでも節電の世の中になってきた。
 でも貧乏人のわたしは、エコ電器製品なるものに買い換えるお金がないのだ。
 ところで、そのエコ電器製品を生産したり、買い換えた元の古いやつを処分したり、それらの流通や搬送をするだろう。
 それに要るエネルギーはどう計算するのかしら、エコ買い替えなんて単なる無駄遣いであるとしか思えない。わたしにはどうも不思議である。

 一億総懺悔ならぬ一億総節電で、なんだか東電の責任が東日本ばかりか日本全国民の責任に、どんどん薄まってくる感じである。
 これだけ暑いのに節電で暑く暗い日々を過ごす羽目になって、横浜住いのわたしもとうとう原発被災者の片割れになった。ようやく震災が身に沁みてきた。
 もしかしたら原発事故補償金がもらえるかと、下種な考えをしたのだが、どうもその方向じゃなくて、発災責任者が不在となりつつある方向だ。
 もしかして、それはどこかの陰謀だろうか。
   ◆◆
 陰謀といえば、フランス大統領の有力候補らしいIMF専務理事が、婦女暴行事件でNY警察に拘束されたけど、昨日のニュースではどうも自称被害女の美人局事件のような気配もあるとのこと。
 これってなんか三文国際サスペンス小説じみてるなあ。
 大統領候補を引きず下ろす被害女側の陰謀か、あるいはそう思わせておいて逆転勝ちで人気を博する加害男側の陰謀か、IMF内部の抗争で猿居士とか小浜とかが絡む国際的陰謀か、。
 ここはフォーサイスさんかフォレットさんにでも書いてもらいたいなあ。

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