政府総務省が発表した東北地方の岩手、宮城、福島3県の2010年人口統計がある。
東日本大震災の直前年の調査だから、20111年以後はこれが大きく変わるだろう。
津波に襲われた沿岸地域の市町村の、高齢化率だけを見て、その原因とかいろいろ考えた。専門家ではないし、資料をあさるのも面倒なので、見て考えるだけである。
福島県の浜通り市町村ごとの65歳以上人口割合の図を見ると、おおかたは25パーセント以上であるが、福島原発のある辺りが21から23パーセントで、高齢化率が比較的低い。
これは、多分、原発あるいは原発関係企業への、若い就労者がいるということなのであろう。
福島県の人口の性格は、会津が超高齢化、中通は比較的若く、浜通はその中間と、明確に分かれて見えるのが興味深い。
推察するに、会津が第1次、中通が第3次、浜通は第2次と、それぞれの産業の中心が異なっているのだろう。
宮城県の沿岸地域の高齢化は、南部は比較的に遅く、北部が三陸では進んでいる。
原発のある女川町が33パーセントの超高齢都市であり、福島の原発立地地域と比べてかなり高いのは何故だろうか。関連就労者の多くは隣接の石巻に住んでいるのだろうか。
仙台市で津波で壊滅的となった若林区は高齢化率18.4パーセント、宮城野区16.6パーセントで、高齢都市ではあるが比較的低いということは、多くの勤労世代が被災したのであろう。
岩手県の三陸沿岸部の市町村の高齢化率は、ほとんどが30パーセント以上である。
福島や宮城のように、地域差が見られないのはリアス式の海岸が続く、漁業を主体とする同じような構造の生活圏だからだろうか。
考えてみると、漁業はその生産基盤は海だから、沿岸漁業は影響あるとしても大変化はないはずだ。問題は船、港、冷凍倉庫等の漁獲手段の崩壊だろう。
中越震災の農業地域のように、田畑が崩壊して灌漑も不能になるという生産基盤の被災とは違うから、当然に復興の仕組みが大きく違うのだろう。
それにしても今でも3人に1人以上が高齢者であり、この長高齢社会はさらに進むことは確実だから、震災復興はその人間の構造を見極めつつ進める必要がある。
元の町あるいは近くの高台に、復興に10年かかって完成してみたら、そこにはもう動けない年寄りばかりとなっていることもあるだろう。
それを予想した老人の「死に甲斐のある町」(これは近江八幡の川端五兵衛元市長の言)への復興もあるだろう。
あるいは、まだ高齢化の比較的低い内陸部地域に積極移転して、新たなコミュニティを共同して復旧するほうがよいかもしれない。このとき問題となるのは、住み慣れた故郷を離れることへの抵抗である。
しかし、いずれ老いたままで過疎地域で暮らすことはできないのだから、その地域を閉じて都市部へ移転することが、今がチャンスととらえることも大いに意味のあることと思う。これは中越震災後の過疎山村に通っていて感得したことのひとつである。
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