本日は横浜市都市計画審議が開催されたので、恒例の傍聴に行ってきた。
そして、わたしがかつて委員になる前も、委員になってからも、委員を辞めてからもここに掲載してきた恒例の批評を書く。
●いい加減な制度の生産緑地
前回は8月だったが、そのときは市街地再開発事業の都市計画案件が議題だったので、これをどう審議するのだろうかと興味があった。
その結果はこちらを参照→大丈夫か横浜都計審
今回は、あのいい加減すぎる都市計画制度「生産緑地」が案件だったので、これをどう審議するか興味があった。
結論を先に言えば、なんの審議もせずに原案とおりに可決した。委員の発言がなかったのではないが、要するに制度の解説を事務局の役人に教えてもらっただけであった。
議案の中身の当該地へいって現状を見たきたものは、ひとりもいないようだ。
そもそも生産緑地の都市計画ほど、都市計画を馬鹿にした都市計画はない。都市計画というごとくに計画的に指定したり解除したりしているのではなく、地主農民の申し出の成り行きまかせで、それをたんに手続的に追認するだけのことであるようだ。
わたしが委員だったときの一番のイライラはそのことであり、毎回の審議会の前に現地を見てきては問題点を指摘して改善を訴えた。
そこに審議会はなぜ切り込んで審議をしないのか。
2番目の議題の、鶴見区馬場4丁目特別緑地保全地区の案件についても、委員の発言は制度の解説を求めるものばかりで、とても審議とは言えない。
●地元商店街発案の地区計画
3番目の地区計画は、神奈川区の大口商店街の地元から要望があって定めるという、珍しいものであった。
既存の商店街がその振興のために、自ら街づくりに地区計画を持ち込もうとする、その意気込みを高く評価する。
その内容はいろいろと地元参加の調整のうえのことだろうから、わたしがあれこれ言うことはない。委員の発言もそのあたりを心得ていたようで、商店街振興への提案的な内容もあった。
わたしが気になったのは審議内容よりも、今回の傍聴者はわたし一人だけであったことだ。
この議題のような地元からの発意で作られた地区計画ならば、これを都市計画審議会がどう評価するだろうかと、地元の人は気にならないのだろうか。わたしなら気になる。
商店街の人が誰も傍聴に来ないということは、都計審のことを知らないか、知っていてもどうせ原案通り可決だからとバカにしてるのか、どうなのだろうか。
ところでこの地区計画に至る経緯は、会議資料には大口まちづくり委員会が「横浜市長あてに要望書提出」と書いてある。
これは都市計画法第16条第3項の地区計画等の申出制度によるものだろうか。それとも単なる要望だろうか、そのあたりを委員は聞いてほしかった。
●せっかく本質的な発言なのに
第4の議題は、泉区の泉新橋榎橋地区の地区計画である。これは大口とちがって、郊外の新開発住宅地である。
ここはただいま土地区画整理事業による開発が進行しており、これに地区計画をかけて、詳細な土地利用や建物の制限をする。
わたしとしては、土地区画整理事業が先にあるのだから、その経緯や内容、事業者などについて聞き、それを踏まえて審議してほしかった。
この議題で、本日はじめてといってもよい内容にかかわる意見が、市民委員から出された。
それは、建物の隣地境界線から離す距離を60センチとしているが、自宅での経験的にもそれは狭すぎる、せめて80センチ以上にするべき、との意見である。
わたしはこの数字のよしあしをここでは論じないが、地区計画の内容にかかわる審議すべき事柄である。
原案についての事務局の考えは、民法の寸法によっているとして、という趣旨であった。(民法では50センチだよなあ)
ところが、この市民委員の発言のしかたが、「本質にかかわることでないので恐縮ですが…」という、実に遠慮深いものいいであった。
せっかく地区計画の内容の本質にかかわることで、これこそ委員らしい意見であるのに、これでは何か勘違いをされているようである。
結局、それ以上に押して発言されることなく、審議会もこの意見について何の審議もしないで、無視されてしまったかたちで、原案通りに可決した。
わたしなら、原案に反対の手を上げただろう。
●相変わらずだんまり市議委員
今回の出席委員は16、欠席は9名で内学識者は4、市議が4、市民ひとり。
市議員は、ひとりが特別緑地保全の議案でこの制度を批判するちょっとピントはずれに聞こえた発言をされたほかは、いつものとおり全員だんまり並び大名。
なんにしても、都市計画勉強会とか都市計画質疑会じゃなくて、都市計画審議会として実質的な審議をしてほしいものである。
なお、前回の議事録は、3ヶ月も後の本日になって、ようやく横浜市都市計画サイトに公開された。情報公開がおそいよ~。
●関連→あなたの街の都市計画はこんな会議で決めている
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