2012/10/24

680中越山村の美しい風景には柏崎刈羽原発からの死の灰の脅威が潜んでいた

熊五郎 やあ、ご隠居、元気かい。
ご隠居 ああ、熊さん、おまえはいつもうるさいね。
 え、珍しくご機嫌ななめですね。
 熊さんにあたってもしょうがないけど、ちょっと、聞いとくれ。まずこの写真をご覧よ。
 おお、いい景色だなあ、これ見て不機嫌なんて、ご隠居もモウロクしたね。
 そうじゃないよ、これは私がもう7年も通っている新潟県の山村だよ。
 ああ、いつもご自慢の法末集落でしょ。棚田の米がうまい、人情が厚い、四季の風景が美しいってね。
 そうだよ、いまはちょうど新米ができたてて、毎日3食とも美味い飯を食ってて、生きててよかったと思ってるんだよ。
 いいねえ、それなのに何で不機嫌なんです?
 じゃあね、これをご覧よ。

 地図ですかい、なになに、「柏崎刈羽原発事故で放射性物質が拡散した場合に避難すべき量が落下する方位別の原発からの距離」って、なんです、こりゃ?
 今日(2012年10月24日)、原子力規制委員会が日本の各地の原発事故によるシミュレーションを発表したんだけどね、その法末集落が避難するべき位置にあるんだよ。
 この赤い印のところが法末ですか、で、なんで避難するんです?
 それがだな、緑の線があるだろ、風向きのせいで、その線から原発に近い側は「国際的な避難基準である1週間の積算の被ばく量が100ミリシーベルトに達する地点」なんだそうだよ。
 それがどうしたんです?
 早く言えば、そこには核毒の死の灰が死ぬほど降り積もるってんだな。
 ウワッ、ブルブルッ、そうなりゃ美味い米も篤い人情も美しい景色もあったもんじゃない、なにもかも放り出して逃げるに限るってことになっちゃうんだ。
 そうだよ、わたしが通ってる自慢の村がそうなるなんて、不機嫌なわけがわかるだろ。まあ、この写真をご覧よ。
 ウワッ、冬の雪ですね。
 そう、4メートルも積もるんだ、今見えてるのは2階だよ、こうやって出入りするんだ。
 ってことは、もしも冬に原発事故あると、こんなふうに死の灰が積もったのが目に見えるんですね。
 これが毎日降ってくるから毎日雪堀りしなきゃ、閉じ込められて出られなくなるし、家がつぶれるんだな。でも、雪堀りすると死の灰を浴びてしまう、どっちにしても死ぬんだな。
 でも、まあ、明日や明後日にあるわけじゃなし。
 いや、いつ起きるかだれもわからないよ、福島の人たちだってそうだったんだから。
 そうですねえ、こわいこわい、ご隠居、こうなりゃ法末に通うよりも、国会議事堂や首相官邸周辺に通って、原発反対デモするんですね。
 国会デモには7月に一度行ったきりだが、またいかなきゃならないね。
 今度はあたしも連れてってくださいよ。 デモにも法末にも。
 こうやって自分の身近なことになって初めて目が覚めるんもんだね、なさけないけど。

(訂正:2012年10月29日に原子力規制員会が、24日発表の資料の訂正を発表したので、地図を差し替えた。どちらにしても法末は危ない地域である)
参照⇒原子力規制委員会の発表
http://www.nsr.go.jp/committee/kisei/20121024.html

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