(空から見る自然富士)
富士山が世界文化遺産登録になった。
日本を代表する山だが、ではヨーロッパを代表するアルプスはどうなっているか。
(スイスアルプスのアイガー、メンヒ、ユングフラウ)
そこは「スイスアルプス ユングフラウ - アレッチ Swiss Alps Jungfrau-Aletsch」として2007年に世界自然遺産登録になっているのだ。そう、あちらは自然遺産で、こちらは文化遺産なのである。
富士山だって本場アルプスだって、大勢の人が登っているのに、どうしてあちらは自然でこちらは文化なのか。どちらにも登ったことがあるわたしは、その差はなんなんだ、と思う。
ヨーロッパアルプスでは、かなり上の方までいろいろな機械仕掛けで登ることができる。富士山頂並みの標高にホテルがあったりする。
ユングフラウなんて、富士山頂上よりも高い頂上近くまでも電車で登ることができる。
(ユングフラウ登山電車:アイガーグレッチャー駅)
富士山は5合目まで自動車で登る道路があるが、そこから先は歩くしかない。
その開発度合いつまり文化度合いを比較すると、アルプスの方がは文化遺産にふさわしいのではあるまいか、などと思ってしまう。
実は富士山も、当初は世界自然遺産としての登録をもくろんでいたのだ。
それなのに、どうもこの人間の手の入りようでは、西欧文化的な眼しかなさそうなイコモス連中はウンと言いそうにない、これじゃあ自然遺産じゃ無理らしいとて、戦術変更した。
そこで居直って、こんなに高いところまでも、こんな広い裾野や海岸までも、隅々まで人間の手が入っているのは、日本人の山岳信仰という文化行為の結果である、としたのであった(らしい)。
(東海道新幹線からみる文化富士)
(中央高速道路からみる文化富士)
文化遺産とは、歴史的な長い時間においていかにたくさんの人間の手が入り、思いが込められているか、その度合いが評価の軸である。
日本の富士山はもう自然ではない、世界の権威(らしい)ユネスコからそう認められたのである。
冨士山が自然遺産でなくて文化遺産という決めつけ方が、いかにも西欧的自然観が表れているとおもう。そこに誰もジレンマを感じないのだろうか。
自然は人間が征服するべきもの、征服し終わったものは文化遺産、征服できないままのものが自然遺産なのだろう。
人間も自然も一体とする東洋的自然観から言えば、せめて自然と文化のハイブリッド遺産にしてもらいたいとは、日本側では思わなかったのだろうか。富士山はれっきとした活火山の自然そのものである。
ついでの話だが、ヒマラヤのエベレストは世界自然遺産に登録されている。
近頃は商業登山が盛んになっていて、富士山ほどではないが、登山者が行列していて、難所では震えて待つそうである。
いまに富士山のように、文化遺産に登録替えするときが来るかもしれない。
もう一つついでに冗談だが、三保の松原がユネスコ委員会で富士山の構成資産に認められたそうだから、鎌倉の海岸からも富士山はよく見えるから、こちらもついでに入れてもらえばよかったのに…。
(鎌倉の海岸から見える富士山 non copyright)
参照:三保の松原と高田の松原
http://datey.blogspot.jp/2013/05/759.html
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