もちろん、市の担当に聞きに行けばすぐわかるだろうが、超ヒマ老人が超多忙役人の仕事の邪魔をしたくない。
寝た子を起すかもしれないので、ちょっと場所をぼかして書く。
ある都市計画道路がとっくにできているのだが、じつは都市計画で決めた範囲を外れて作ってしまったので、都市計画をやり直すというのだ。
計画があって事業があるのではなくて、事業の後を計画が追いかけるのだ。
図で見る通り、黄色の線形で1957年に都市計画決定したのだが、どういうわけか1981年に赤色の線形で整備してしまったのだそうだ。ズレの大きいところでは9mくらいもあるらしい。
今回、それにつながる道路の変更をしなければならなくなって、このできてしまった都市計画道路の位置に合わせて、後追い計画変更をするらしい。
そういう議題が出て、都計審は原案通りに承認した。
ところで、なぜそのように計画と実施とにズレが出たのか。30年以上前の工事だとて、そんなずさんなことが通ったものか。
今回都市計画の縦覧をしたら、さすがに地元の人から公聴会でその理由を問う公述が出たし、意見書でも疑問が出された。
市当局のそれに対する回答は、「不整合が生じた経緯については、現在保有している資料では確認できませんでした」とある。要するに「わからない」ってことである。
都計審でもこの件について委員から指摘があり、道路のような恒久施設についての資料は、廃棄しないで保存するようにとの意見が出された。
現実には道路は既にできて車も人も通っているのだから、それに合わせて変更しても問題はないだろう。ここでわたしの疑問をあえて指摘しておく。
疑問①:都市計画審議会をないがしろか
そのように事業をするのが適切ならば、都市計画変更をすぐにすればよいのに、なぜそうしなかったのか。30年以上もほったらかしとは、都市計画審議会は軽んじられていることになる。
現実の後追いと言えば、生産緑地がまさにそうである。これから農地としての都市計画を解除するのに、現地は既に住宅地になっているのであるから、これも都計審は軽んじらている。
わたしが都計審委員をしているとき、市営地下鉄が都市計画決定の範囲からはみ出て整備して何十年も都市計画法違反のまま営業してきたのを、現実に合わせて都市計画変更する事案があった。これも事業後追い都市計画である。
疑問②:都市計画法違反になるかも
市の資料によると都市計画道路として整備済みと書いてあるので、事業決定をしてその予算措置をして工事をしたのであろう。とすれば、都市計画決定の範囲外に都市計画事業をしたことになり、その事業決定は都市計画法違反になるのような気がする。
都市計画事業費を都市計画決定の範囲外に投入したことは、よく知らないが財政上の違反行為になるのかもしれない。特に、都市計画事業として国庫補助金を投入しているとしたら、会計検査にひっかかるような気がする。もう時効かもしれないが。
もしも、国庫補助を入れないで事業したとしたら、それはそれで市に入るべき歳入を逃したことになる。
疑問③:建築基準法違反になるかも
都市計画道路予定地では建築制限がかかる。審議会資料にある図面を見ると、黄色線にひっかかるビルがあるらしい。現地を見ると、まさに建築制限を超えた5階建ての共同住宅建物が、ずれて整備された道路に接して建っている。
ここはまだ都市計画道路の黄色線の中なのだから、建築基準法違反になるはずだが、どういうことなのだろうか。
結論としてはこれでよいのだが、ここに至る経緯では建築行政と道路行政の当局間でのなにか申し合わせがあったとしても、法的には違反になるように思うが、どうなのだろうか。
というわけで、現実はこれでまあよろしいのであるが、審議会での事務局の説明を聞きながら、なんだか疑問になったことを書いたのである。
なんにしても、事業の後追い都市計画とは、都市計画審議会は軽んじられているように思えてならない。
参照→都市計画審議会を改革せよ
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