2023/04/30

1682【神宮外苑騒動】10年ぶりに神宮外苑あたりが騒がしいが再開発・都市・建築・植生の専門家はどうした?

外苑騒動戯像2013年作 ザハ競技場出現図

●10年ぶりに神宮外苑あたりが騒がしい

 東京の明治神宮外苑再開発について、世間が、と言うよりもネット空間が騒がしい。
 三井不動産を施行者とする市街地再開発事業に仕立てて、東京都知事による事業施行認可が今年の2月16日におりて、事業に着工したとのこと。

 その一方で、この市街地再開発事業に関する環境影響評価の審議が、都環境影響審議会で行われてきて、これはまだ審議が終わっていないようだ。施工認可が先になっても、アセスは事業が進むうちに審議も継続してもよいらしい。

 事業者が公表する事業内容の絵がネットに出たから、世間も興味を持つようになったらし。とくに外苑名所の公孫樹並木が再開発で切られるとか枯れるとか、だれもが分かりやすい問題があるとの情報がネット上にながれるようになった。

 そこに緑地に関する専門家の石川幹子さんが、イコモスの委員会の名で植生計画ついて問題提起と、独自開発計画案を提示した。
 それから「再開発で伐り倒される樹木が10000本」と数字があるだした。わかりやすい数字になると世間も話に乗りやすいのは、かつて国立競技場の建物の高さで、次いで工事費の高さで反対運動が高揚したことに似ている。今年になって次第に「樹を伐るな」テーマの運動がいくつか起きてきた。

 そして事業者が審議会に提出した「環境影響評価書」が公表されると、石川さんは植生学専門家として、評価書の植生調査に多くの問題を含むので、調査をやり直せ、アセス審議会をやりなおせと提案をしたのだった。

 調査方法がおかしい、間違い調査だ、記述間違いがあるなど多くの項目で環境影響審議会で説明させよと提案した。だが、東京都側はそれをうけることなく環境影響評価審議会開催、そして事業者側はそれに対して間違いも無いし、調査方法もこれでよし、と回答した。こうして今年も4カ月が過ぎた。

 その間、次第にばらばらの市民たちによる再開発反対運動が起きてきて、今の時代らしくネット活用による情報流通で、活動は次第に櫃のネット空間にまとまろうとして、熱を帯びてきている様子である。この面のリーダらしい人たちも登場している。
 わたしは知らないが、著名な音楽家やタレントが反対運動に加わっているようで、盛り上がりに関係しているのだろう。

 10年前の国立競技場騒動のころは、都市計画家が反対運動に登場することはなかったが、今回は珍しくも都市計画家の大方潤一郎さんがこれに加担なさっている。大方さんは10年前も専門家として事情をよくご存知のはすで、国立大学を退職なさったからだろうか。
 ところで競技場騒動では多くの建築家が登場したが、今回もいるのかしら。

 さて外苑再開発事業は、市街地再開発事業としての施行認可で法的にGOサインが出てしまったし、アセス審議会も事業進行中に適宜審査継続するとウヤムヤ通過しそうだ。どうなるおろうか。
 これから外苑再開発は本格的に動き出すようで、現場はもう板囲いに囲まれて、工事中雰囲気に満ち満ちているようだ。

●五輪外苑騒動史わが10年前妄想予測は当ったか

 このところ外苑前再開発について何やら騒がしい。あの有名人が反対してるからとか、あのいちょう並木が切られるとか、卑俗なレベルになって、急に世に知られるようになったらしい。と言っても世間的には東京あたりの人に限られるのであろう。

 そしてこれまでこの再開発計画は、10年前から立案が行政と事業者たちだけで密かに進められてきた、なんて、隠某論みたいなことを言う人も出てきた。
 それはそれで社会現象として面白いのだが、わたしに言わせると、実は不十分ながらも基10年前には基本的なことは公表されていたので、そこから今日の現象をある程度予想することもできたのだ。

 それなのに秘密裏に関係者だけでで進めたと世間が言うのは、要するに世間では都市計画なる公共的な空間計画制度にほとんど関心がなくて、知ろうとしなかっただけなのである。
 都市計画は身の回りの生活空間の将来像を示しているのだが世間は無関心であり、その都市計画が目に見える事業になってようやく気がついて、俺は知らなかったとか、秘密に進めたとかいうのである。

 10年前には外苑再開発の概略が分かっていた証拠として、2013年に書いたわたしのブログ記事がある。そのころにおきた外苑地区の地区計画という都市計画について、あれやこれやと指摘をしていたのだ。

 わたしはかつてフリーランスの都市計画家だったが、2013年には仕事の現役をしりぞいてしまい、ただの隠居老人だった。だから仕事を通じて特別に外苑地区計画を知っているのではなくて、ネット空間徘徊で素人でも知りうる情報により、批評やオチョクリや妄想やらを書いていたのだ。

 いまごろになり急にネット空間に外苑再開発がなんだかんだ登場するので、思い出して2013年のブログ記事を読み返してみた。
 おお、そうだったよなあ、今ごろ起きている問題をあの頃にもう予想もしているなあ、当たり外れもあるけど、われながら面白いなあ、フムフムと読んだのであった。

 これをお読みのあなたも、お暇なら長文だけどお読みくださいませ。

2013年12月【五輪騒動)神宮外苑都市計画談議1~10
http://datey.blogspot.com/2013/12/866.html

2013年~2023年【五輪外苑騒動】国立競技場改築騒動と神宮外苑再開発騒動瓢論集http://datey.blogspot.com/p/866-httpdatey.html

●神宮外苑再開発コンサルタントは答えよ

 いまイコモスの石川幹子さんから指摘されている環境アセスメントの問題だが、このアセスコンサルも日建設計だろうか。間違いだ虚偽だレベル低いなどと、石川さんにあれほど言われても表に出て答えないのは、答えられない事情があるのかしら?、専門家としてさぞや苦しいだろう、お気の毒になあ。

 神宮外苑再開発は誰がやっているのかしら、いわば雇われ事業者の三井不動産ばかりがやり玉に挙がっている感がある。
 しかし、本当の事業主は大地主の宗教法人「明治神宮」と独立行政法人「日本スポーツ振興センター」(JSC)であることは明白。三井不動産は再開発事業の権利者ではないようだから、都市再開発法が許す形式上の事業主である。それはそれでよい。

 だが、本当に事業主は土地所有トップの権利者は明治神宮である。第2の権利者はJSCである。第3、第4がいるが弱小権利である。ところが事実上の事業者の明治神宮と第2のそれのJSCがまったく表に出てこない。
 つまり、雇われマダム(マスター)の三井ばかりが表に出てくるから、反対運動者たちもこの目くらまし陽動作戦に誘導されて、三井ばかりをやり玉に挙げている。もちろん三井は忠実に役目を果たしているのだろう。

 ところで、世間の反対運動者たちは、どうして三井の雇い主である明治神宮やJSCを相手にしないのだろうか。直接に文句言うのは何か不都合があるのだろうか、あるいは作戦か。
 例えば最大権利者の宗教法人明治神宮にアピールするには、その本拠の神宮内苑にも行くべきだろう、初詣デモとか、、。
 あるいはJSCに文句言うのは、その親分の居る文科省にデモかけるとか、、。そもそも都市公園の計画決定を外したから可能になったこの事業の元凶は、文科省の子分のJSCなのだ。

 更にこの騒動の当事者として登場するべきなのは、それにこの市街地再開発事業にかかわるその専門家たちである。この再開発の計画から事業に至るには、都市計画家や建築家などの専門家が大きな役割をしているはずだが、どうして世間はやり玉にあげないないのだろうか?

 その専門家はどなたでしょうか?、少なくとも日建設計が関わっていることは確実ですよね、市街地再開発事業コンサルタント、都市計画家、ランドスケープアーキテクト、建築家など、全部の役割を請け負っているのかしら、ほかにも下請けの専門家も多くいるだろう。

 今話題のアセスについては、石川幹子さんから植生調査について論争を挑まれているのだから、その調査担当の植生専門家は堂々と名乗り出て、石川さんとの論争を受けて立ってはいかがすか、それが専門家というものでしょ。

 神宮再開発についての公的発表は下記にある。
●神宮外苑地区におけるまちづくりファクトシート(東京都都市整備局)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/data/jinguu_factsheet03.pdf?230224=

神宮外苑地区のまちづくり(東京都都市整備局)https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/bosai/toshi_saisei/saisei07.htm

(20230430記)

3 件のコメント:

三橋重昭 さんのコメント...

伊達さんの投稿で考えさせられることは極めて大きい。このように大所高所からものをいう人がほとんどいないのは残念至極。私などはこのところの騒ぎで現場をみて見てようやく問題を理解してきた程度ですみません。できればあ気に入った伊達語録を広めたいと思います。 三橋重昭

三橋重昭 さんのコメント...

三橋です。
 外苑前再開発は騒がしくなって現場に行きました。
伊達さんのように大所高所から意見を述べるような方がいないように思います。もっと伊達さんの指摘を広めたいと思っています。

まちもり散人=伊達美徳 さんのコメント...

三橋様  20230803 伊達美徳より
コメントありがとうございます。いただきながらしばらく見落としていて、失礼したことをお詫びします。
わたしはこのブログに、この件に関するたくさんの意見や事業制度の一般的解説を随時掲載しています。
世間一般の反対・賛成論とは若干スタンスが異なっている意見であるとみられているようで、あまり読まれていないようです。
読者が読みたい意見だけを、読みたいように読むのが、ネット社会の悪癖です。長文も読むことができないのも同じ悪癖です。
それでも時々書いていて、読みたい人だけが読めばよろしいと、記録だけは残そうと思っています。
http://datey.blogspot.com/p/866-httpdatey.html
これからもお読みくださると嬉しく存じます。