2023/12/29

1771【柿色政治家】そのテーマカラーはかつては非人や囚人の衣装の色だったとご存知かしら

 この数日、検察の特捜部によって、国会議員たちの家宅捜索やら逮捕やらが、立て続けに行われている。今朝の新聞に柿沢とかいうお方の記事がある。このか方は逮捕されたようだが、わたしの興味はそちらではなくて、この新聞記事の見だしにある「柿色」である。
 今回の事件の元になった江東区長選挙で、区長候補応援スタッフが柿色のジャンパーを着ていたというのである。この人たちは柿沢某氏のスタッフであることを意味するらしい。

 衣類と柿色でひょいと思い出したのは、歴史家の網野善彦による『異形の王権』という、もう35年ほども前に読んだ本である。本棚から探し出して読み返した。それによると中世では、柿色の衣をつけていた人々は「非人」(ひにん)と言われていた階層の人たちであったという。
 非人とは何者かとなると話が長くなるから、ここでは詳しくは述べないが、この本は面白い。久しぶりに読ませてくれた柿沢某氏に感謝。

 要するに、言葉のとおりに「人間にあらざる人」ということで、賤民もいれば神につかえる人もいれば、身体障碍者もいるし、乞食や病人もいた。上層部の人々ではないことは確かだが、全部が賤民ではなくて特別な階層にいた人々と言う意味に近いのだろうか。

 そしてずっと後世、19世紀末の近代監獄制度ができたころは、監獄にいる囚人の衣装は柿色であった。逃亡を防ぐためか上から下までかなり派手な赤い色であったようだ。この人々も特別な位置にいる人たちには違いない。

 ネットで柿沢某氏の姿写真を検索すると、柿沢某氏はご自分のテーマカラーを柿色になさっているらしい。柿色の歴史的意味をご存知でそうなさったのか、単に姓との連想でそうなさったのか、どちらだろうか。
 いま、柿沢氏は現代における非人なる階層に転落するのかどうか、かなりきわどい所におられるらしいが、でも自ら柿色衣装になさるのは、まだ早すぎると思う。

 では、柿色とはどんな色なのかと、柿沢某氏ご当人の写真と色見本を並べてみる。柿色よりも少し照柿色に近いか。

 そういえば今思いだしたが、都知事の小池某氏のテーマカラーが緑色であるようだ。もしかして政治家はみんなテーマカラーをお持ちかしら。それならその色の歴史的意味もお考えになっておくほうがよろしいですよ。
 ついでに歌舞伎の定式幕を見ると、黒・・萌葱のストライプである。歴史的想像をすると、ここでの柿色は、たぶん、芝居役者は河原者という非人のひとつであったことを意味するのであろう。

  これ以上書くとわが筆のいい加減さがどんどんバレるので、ここらへんで幕引きにしよう。

(20231229記)

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