昔は(年寄りはすぐこう言う)丸の内なんて夜は暗いし、休日はガラ~ンとしてさびしかったものだ。
1988年に4省庁の東京駅周辺再開発レポートを出した八十島委員会での討議でも(わたしはその作業班メンバーだった)、丸の内に百貨店などを誘致してにぎわいをもたらすべきだという意見が出されていた。
それから四半世紀後の今、こんなににぎやかになるとは、世の中は変わったものだ、と、歳よりは慨嘆というか感嘆というか、ホーッと息を吐くのである。
噂だけではつまらない、さっそく夜の東京駅に出かけてみると、いるはいるは、お上りさんばかり、という形容はもう古いが、近くからも遠くからもミーちゃんハーちゃんがやってきて、駅の中も駅前広場もウロウロとケータイをカメラにして振り回しているのであった。
つまり、わたしも今夜はその一人になったのである。
ふ~ん、赤レンガ東京駅はこうなる前からライトアップしていたのに、そのころはたいして見向きもされなかった。今やディズニーランド並みである。
前もディズニーランド風ではあったが、復元してますます磨きがかかって、こういうのをディズニーランダイゼイションというのだな、よくわかったよ。
丸ビルも新丸ビルも東京駅も、中はまるでデパートというか、飲み屋街というか、現代版路地裏というか、たまたま土曜日だったからか、わんさと人がいて飲み食いしている。
丸ビルから撮った昔の東京駅夜景写真を、同じアングルで今と比べてみたら、今は巨大背後霊をいっぱい従えている。そのなかのひとつは東京駅自身の身売り先であるな。
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