ご隠居:おや熊さん、いらっしゃい。そう、この長屋もあちこち傷んで、時にはこうやって大工もするんだが、本職のおまえさんにやってもらいたい。
熊:おまかせを。でもなんですねえ、このボロ長屋じゃ、あんな心配はなくて、よかったですね。
隠:ボロはよけいだが、なにが心配ないんだい。
熊:ほら、ゴム屋が免震偽装って、震えないって嘘ついて、震えるビルが建っちまったって話ですよ。この築300年のボロ家なら、免震ゴムは使ってないでしょ。
隠:なに言ってんだい、これでも築50年だよ。免震ゴムはないけど、何回もの地震をくぐり抜けて建ってるってのは、これこそ免震の証拠だよ。
熊:アッ、そいういやそうですね。
隠:昔々、姉歯って名前の建築の設計屋が、嘘ついて地震に弱い建物を設計して、日本中で大問題になったけど、また起きたんだね。
熊:姉歯耐震偽装事件はまだ完全解決してないらしいですね。とにかく、あれで建築設計屋性善説は完全に壊れて、建築家悪人説になりましたね。
隠:そうそう。で、今度はゴム屋が悪者なんだね。
熊:今朝に新聞にこうありますよ。
東洋ゴム工業の3製品の評価を行った日本免震構造協会の澤田研自・専務理事は
「大企業が相手なので性善説に立っている。制度そのものを考え直す必要がある」と話す。
隠:おお、性悪説に変えるんだな。それにしてもこの澤田って人は、けしからんね。
熊:そうそう、手抜き評価作業しましたって、言ってますもんね、でもまあ正直な人だ。
隠:もっとひどいのは、「大企業だから性善説」って言ってるよ。つまり中小零細は性悪企業なんだね。この人はどういう人なんだろ?
熊:おお、そうですよね、ひどいよなあ、この差別発言は。これからは政府認定の品物を買うときは、中小零細企業製品にしますかね。それなら悪者扱いで、しっかりと検査してくれてるんでしょうからね。
隠:新聞にこんな見出しがついてるよ。
戸惑うマンション住民「資産価値下がる」
熊:そうでしょうねえ、その偽免震マンションは売れませんよね。
隠:でもね、そもそも「マンション」じゃないよ。マンションてのは、アメリカ大統領のいるホワイトハウスのような大庭園のある豪邸を言うんだよ。
熊:また、それを言う、「名ばかりマンション」って言いたいんでしょ。
隠:それに、「資産価値が下がる」って心配もおかしいよ。
熊:だって、売れなくなるんだからしょうがないでしょ。
隠:あのね、住宅ってのは憲法にも言う、人間が生きる基本的人権にかかるものなんだよ。それを最初に心配するのが、売れるか売れないかって商品価値でしか判断しないのが、世の中おかしんだよ。
熊:そういやそうですね。安心して暮らせる生活基盤が壊された、そういう心配を第一にするべきですよね。
隠:あのね、日本の居住政策は、住宅を基本的人権としての社会政策じゃなくて、景気対策の経済政策でやってきたんだね。庶民は一世一代の大借金しないと住宅が手に入らない。だから、借金のカタの住宅は資産価値で判断するんだよ。安全とか環境で価値判断をしないように、政府に飼いならされてしまったね。
熊:だから大企業性善説に立って、なんでもかんでも大企業が儲かるように任せているんですね。アベノミクスで大企業ばかりが繁盛するのも、環境汚染やエネルギー消費に関して性善説でやってるからですね。
隠:免震構造って、建物が免震ゴムって下駄を足元に履いてるんだってね。それで建物が地震で震えるのを免れるんだね。ぜんぜん揺れないんだ。いいねえ。
熊:いや、震えを免れるんじゃなくて、震え方の急激さが減るだけらしいですよ。揺れることは揺れるんだけど、揺れ方が違うらしい。
隠:エッ、なんだい、免れないのか、じゃあ免震ってインチキ誇大ネーミングだよ。
熊:そうそう、減震構造、減震ゴムって言うべきですね。
隠:建物がゴム下駄を履いて揺れないなら、わたしはね、ゴム草履で歩けば転ばないと思ったんだけどねえ、ダメかい。最近、どうも徘徊するときヨロヨロするんだよ。
熊:アハハ、でも、ちっとは効果があるかもしれませんね。免震ゴム草履特許とって、高齢者向けに売り出せば大儲けかもなあ、東洋ゴム以外のメーカーで作らせてね。
隠:それにしても、東洋ゴムってひどい奴だね。
熊:ほかのゴム製品のメーカーは大丈夫なのかなあ。
隠:いま思いついたけど、ゴム屋がインチキしたらだよ、え~と、ほら、あのゴム製品があるだろ、あれは大丈夫なのかね。
熊:変なところに頭が回るね。日本は見事に人口減少しましたから、避妊偽装じゃなかったんでしょ。
隠:じゃあ、これからは、積極的に偽装してもらいましょ、その製品については。
関連参照ページ⇒姉歯耐震偽装事件
⇒名ばかりマンション
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