2026/09/03

1972【地球破滅中】巨大山津波の破壊力を建設力に変換する能力がネパールにあれば・・・

 ●ネパールで巨大山津波発生

 日本ばかりではなくて今や地球は災害惑星らしい。いま日本列島では豪雨による水害で大変である。ところがネパールでは雨も降らないのに、巨大水害で大勢の死者行方不明者続出だそうだ。ヒマラヤ山脈と氷河を抱える地勢のせいらしい。

 8月26日のこと、ネパール・チベット国境あたりの、ヒマラヤ山岳氷河が崩壊して、巨大土石流が急峻峡谷を流れ下り、沿川の自然と人間の暮らしを破壊しつくした。今のところ全貌は分からないが死者100人を超え、不明者5000人以上ににもなるらしい。

 わたしはネパールに遊びに行ったことがある。2011年の3月末から4月にかけの1週間ほど、そう、東日本大震災の真っ最中だった。「われら年寄りは日本にいても手足纏になるだけだから、海外に避難しよう」という理由をつけて、大学同期仲間4人で遊びに行った。

 そのころ東日本では、震災のために停電が毎日のようにあった。ところが行った先のネパールでも毎日停電時間があった。災害ではなくて慢性的電力不足のせいだった。日本でも昔々戦争直後のころにはそうだったことを、ネパールで追体験した。

 その旅のことを、このブログにも載せている(こちらをクリック)。カトマンズの街の過密さと建物の脆弱さを見て、こう書いていた。

 ネパールの全人口は2300万人、一極集中カトマンズ首都大都市圏エリアはこの20年でも倍増の勢いでその13パーセントの300万人が住み、カトマンヅ盆地には100万人近くも住んでいる。ここで大地震が起きると大変なことになりそうだ。海からの津波はないが、ヒマラヤの氷河湖が決壊したら、山の上から津波がやってくる。一方、原子力発電所はないから、その点での危険性はない国である。

  ところがその後に、こう書いた大変なことが起きた。4年後の2015年4月に、カトマンヅ北西7キロのあたりを震源とする巨大地震が発生、首都も大きく破壊された。そして今回の巨大土石流の、山津波がやってきたのだ。ただし今回はカトマンヅは被災地ではないらしい。

 

●ランタンリルンの氷河崩落し峡谷を急襲

 今回の山津波発生源は、ヒマラヤのランタンリルン峰(高さ7200m)の北側のようだ。標高5,200mあたりで起きた巨岩の崩壊がもとになり、急峻な谷沿いに氷や岩や土砂を巻き込みつつ、標高差4,500メートル以上を猛スピードで一気に駆け下った氷と岩の泥流は、20~70キロ以上先まで集落や道路、橋、国境検問所、水力発電施設を丸ごと飲み込み、寸断、破壊、流失させた。

 発生の翌日からネット上には現地山津波動画が次々と掲載されてきた。わたしはTVを持たないからPCのFB(FaceBook)、YT(YouTube)、Xなどを一日中見て過ごした。それは2011年の東日本震災で東北地方海岸部が津波に襲われる動画を見た日々を思い出させた。



 その発生源あたりをグーグルアースで見ると、どこもかしこも同じような氷河と急峻山岳だから、今後も同じようなことが起きるに違いない。 日本列島が周囲の海からの津波の危険にさらされているように、ネパールは北のヒマラヤからの山津波の危険にさらされている。 

 上の山津波が駆け下ったルートの下流部と、2011年のわたしのネパール旅行ルートの一部は重なっているようだ。あのカトマンヅからポカラへのバス旅で見たいくつかの街と道と川や橋はどうなったのだろうか。
2011年ネパール旅行行程図 カトマンズ・ポカラ・ルンビニ400キロバス旅

2026年8月26日山津波発生源あたり ランタンリルン google earth

●巨大土石流の破壊エネルギーに圧倒
 
 そして巨大な暴れ龍のように流れ下り、建築も橋梁も消滅させるほどの猛威を振るう土石流を見ていて、その破壊エネルギーに圧倒された。このエネルギーはどこから湧き出すものだろうか。昔々に中学校あたり教わった「位置のエネルギー」というものだろうか。

 この位置のエネルギーを電力エネルギーに変換する仕掛けが水力発電所だろう。ということは、ネパールには実は超豊富なエネルギーを潜在させていることになる。石油とどう比較できるのかわからないが、あの最貧国は実はエネルギー長者国なんだ、う~む。
  
 2011年にネパールに行ったときに、上記のように停電が常態だった。日本語学校の社会人生徒たちと食事する機会があった時に聞いた話がある。ネパールには川は多くあるが、発電所が少ない、その重要な理由の一つに、どの河川もその下流はインドに流れ込むが、そのインドに水利権を抑えられていて発電所設置が難しいからという。歴史的な何かあるのだろう。

 せっかくの巨大な位置のエネルギーという資源を抱えながら、それが破壊に使われるままとは、あまりにもったいなさすぎる、何とか利用できぬか。YOUTUBE動画でその凄まじい破壊風景を繰り返し見つつ、またランタンヒマールの様相をグーグルアースで探検しつつ、こんなことを思った。

 もちろん素人考えに過ぎないが、水をインドに垂れ流しのままとは、なんとももったいない。ネパールに有り余る自然のエネルギー資源を、人間の動力エネルギーに変化して使う能力はありそうなものだろうに。技術はあるが資金がないのかしら。

●ヒンズー教の火葬寺院

 さてネパールでもチベットでも多くの死者があるらしい。それで思い出したのが、ネパール旅行で立ち寄ったカトマンヅのパシュパチナート寺院である。ネパールのヒンヅー教徒はこの寺院の川辺に並ぶ火葬場で死者を灰にして、そのバグマティ川に流すのだそうだ。今はその煙が立ち込めているだろうか。合掌

ネパール パシュパチナート寺院の野外火葬場 2011年撮影・伊達美徳

パシュパチナートのバグマティ川と火葬場

カトマンヅ市内のバグマティ川(パスパチナートの下流)

 せっかくネパールに来たのだからと、ポカラからヒマラヤの峰々を眺めるサランコットという山の頂上に、早朝にやってきた。その雄大な峰々の夜明けを眺めてきた。その時は考えもしなかったが、今起きている巨大山津波は、これの右のほうにも連なるヒマラヤから起因するものだ。
ポカラから見るヒマラヤ 左からダウラギリ・アンナプルナ・マチャプチャレ
  
サランコットからヒマラヤ展望 あの山々は巨大なエネルギー源か

 その巨大さは、ポカラの街から雪の山脈を見上げると、首が痛くなるほどにも近く高いものだった。あいにくタイミングが悪くて、ヒマラヤ、エベレストを遊覧飛行に乗れなかったのが残念だった。あの高みから氷と岩と泥水に襲われたら、逃げようがほとんどないと思うのである。

(2026/09/03記)
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◎【ネパール風土探訪
カトマンズ・ポカラ・ルンビニ400kmバス旅2011(冊子pdf

◎ネパール:フォトエッセイ「異文化への旅・ネパール風土逍遥」(2012.01)

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伊達美徳=まちもり散人
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