そこでステッキと言うか、いやシュトックというか、要するに杖を曳いて歩くようになった。今年に初めころまでは時々に持ち歩いていたが、いまや外出に必需品となった。老いたものだ。
だが、今持ち歩き身を支える杖は、最近に購入したものではない。30年以上前から山登りに行くとか、同年大学仲間の歩く会とかで、歩き遊び用に持ち歩く為に持っていた杖があり、それを日常的に使うようになったのである。だから急に馴れない杖曳きを始めたのではなく、ある程度杖の使い方に習熟はしているのだ。(上の中央写真参照)
実は、ある時期だけ本当に足の病で杖を突いて歩いてことがあった。2002年夏から右足付け根が痛くなって、歩行困難になった。医者に診てもらったら、なんとまあ「大腿骨骨頭壊死症」なる不治の病と診断された。
「今はまだ歩けるがそのうちにガクッときて股関節が壊れる」と言われて、恐れをなした。その頃は仕事で遠くへの出張が多い頃だった。いつ転倒するかとびくびくしつつ、杖を仕入れて持ち歩いていた。
だが半年ほどたった頃、痛みがなくなってしまったのだが、杖を離さなかった。
1年経った頃、医師の診たてが変更となり、似たような症状の病「大腿骨骨頭萎縮症」とされて、これは放っておけば治癒する病であると言うのだった。
ということはつまり、その頃はもう治っていたのだった。拍子抜けしつつも、まあよかったと思った。その杖を事件の記念として今も保存している。その杖は百円均一店で息子が買ってきてくれたのだった。御利益物である(上の左写真参照)。これについてはここに書いている。
妻が10年ほど前に、外出に使うとて購入した杖は、花模様がついていた。わたしの百円杖とは品格も価格も段違いらしい。(上の右写真参照)
そしてわたし同様以上に老いた妻が去年から使い出した杖は、石突部分が四俣になってて、横に倒れにくい構造である。介護的要素が入ってきた。だがどういうわけかずいぶん重いので、それを嫌がっていた。(下の右写真参照)
そしてわたし同様以上に老いた妻が去年から使い出した杖は、石突部分が四俣になってて、横に倒れにくい構造である。介護的要素が入ってきた。だがどういうわけかずいぶん重いので、それを嫌がっていた。(下の右写真参照)
そこで最近になって使い出した杖は、アルミ製らしくずいぶん軽いものだ。石突部分の四俣は同じだが、立ち上るパイプ部分が特異な形をしている。途中で横に左右に曲がりつつ立ち上るのだが、まるで蛇の鎌首だ。(下の左写真参照)
これは利用者が床や低い椅子に座った姿勢から立ち上がるときに、この曲った場所の水平部分を握ってつかう。介護用品そのものだ。そういえば街で見かけたことはない。
これは利用者が床や低い椅子に座った姿勢から立ち上がるときに、この曲った場所の水平部分を握ってつかう。介護用品そのものだ。そういえば街で見かけたことはない。
妻が使い出した介護向けの杖 |
こうして年寄り2人の家には、その4本の足のために杖が5本もあるのだから、若い頃とは異なる用具が次第に増えてくるようだ。今のところは杖だけだが、そのうちにあれやこれや(いったい何があるのか?)と出現するだろう。そしてそのうちに、それらを使うわたしたちが消えてゆき、それらの道具も消えるのであろう。
(20231023記)
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伊達美徳=まちもり散人
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