2023/10/24

1718【言葉の酔時期:マンション】日本でマンション住まいの人は英米語圏の人にそれを言うにはご注意を

  ウクライナやガザで、戦火によって人々が死ぬ報道に日々接しているが、ちょっと不思議なことがある。あちらには日本で言うところのマンションという共同住宅ビルが存在しないらしいのである。

 大きな共同住宅ビルがロケットやミサイルで破壊されても、新聞にもネットにも集合住宅が被災したと書いてあるのだ。だがその写真を見れば、日本ではマンションと言うであろうような共同住宅ビルである。ネット検索をしてもマンションと書かれたあちらの戦火記事は見あたらない。あちらにはマンションはないのか。

 

 日本の共同住宅ビルの被災記事には、ほぼ例外なくマンションと書いてある。

 中には同一記事内でマンションと集合住宅の両方を使っているものもある。

 いったいマンションとは何者か?、そう考えて日本文のマンションがある記事を、ネットにある翻訳サービスページで英文にしてみた。
 ①例1・原文:集合住宅にロシア軍がミサイル攻撃、5人死亡…ゼレンスキー大統領「邪悪な国家が民間人を攻撃」(10/19(木) NHK)
 同上英文翻訳:Russian missile attack on a housing complex kills five people... President Zelensky: 'Evil state attacks civilians'.

 ②例2・原文:ミサイル着弾で集合住宅倒壊、18人負傷 ガザ(2014年8月24日 AFP BBnews)
 同上英文翻訳:Missile impact collapses apartment block, injuring 18 people, Gaza.

 なるほど、集合住宅は英文ではhousing complex、あるいはapartment blockと言うらしい。apartmentと言われると、日本の木造2階建て賃貸借アパートを連想するが、あちらの被災写真では堂々たる共同住宅ビルだから、日本とは根本的にアパートの意味が違うようだ。

 そこで、日本語のマンションがあるニューズを英文に翻訳させてみた。
③例3・原文:9階建てマンションで火災 1人心肺停止 名古屋市(2023/10/18朝日新聞DICITAL)
 同上英文翻訳:Fire in a nine-storey apartment building, one person cardiopulmonary arrest, Nagoya, Japan.

④例4・原文:「すごい煙だった」集合住宅の7階で火事 火元の部屋で高齢男性を心肺停止の状態で発見(2023年10月18日CBCニュース)
 同上英文翻訳:'It was a huge smoke' Fire on the seventh floor of an apartment block Elderly man found in the room where the fire started with cardiopulmonary arrest.

 ということで、マンションはapartment buildingあるはapartment blockと言うのである。つまりアパートなのであるが、これで良いのかしら?
 そこで、「私はマンションに住んでいます」を英文に翻訳させてみたら、「I live in a flat.」あるいは「I live in a condominium」または「I live in an apartment building」と出てきた。おやおや、アパートだけじゃないのか、これらはどれも同じ意味らしいな。

 だが不思議なのはmansionがなぜ登場しないのか?、これこそマンションの英文であるはずだろうに、どうしたことだ。
 そこで今度は英文の「I live in a mansion」を和文に翻訳させてみたら、出てきたのは「私は豪邸に住んでいる」あるいは「わたしは大邸宅に住んでいる」とある。とあるから、空中にあるのではなくて地に着いた低く平らな屋敷であるし、広い庭園があるのだろう。

 ということは、mansionとは豪邸であり大邸宅であるらしい。日本のウサギ小屋が積み重なってもマンションと言うのは、大誤訳であるようだ。
 そういえば、わたしがUSA人から直接に聞いたことがあるが、USAでマンションmansionと言えば、大統領一家が住むホワイトハウスのような邸宅と教えてくれた。日本なら首相公邸であろうか。
これが本物のマンションmansionだ! USA White House

 ということで、日本の中でマンションに住む人たちは、英米語圏の人たちにむかって「私はマンションに住んでいます」と言うときには、本当に豪邸・邸宅住まいの人はよいが、日本流マンション住まいの人は、うっかり自宅に招かない方がよろしい、見栄の張り過ぎで恥をかくだろうから。そういうわたしは共同住宅ビルの地上20m空中陋屋暮らしである。

 話は最初に戻るが、ウクライナにもガザにもmansionがないことはないだろうが、それが爆弾で燃えても被害者が少ないからニュースにならないのかなあ、どうなんだろうか。
(2023/10/24記)

●このブログの関連記事:
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
伊達美徳=まちもり散人
伊達の眼鏡 https://datey.blogspot.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


0 件のコメント: