横浜都心名所の寿町地区はドヤ街といわれてきたが、なんだかジンワリと共同住宅ビル(日本型マンション)の街に変化していくようである。
かつては産業労働者の街だったのが、この30年くらいで貧困高齢者福祉の街にすっかり変わったのだ。その人たちは簡易宿所なる安宿に住宅同様に寝泊まりするのだ。
そしてこのところ、その高齢福祉の街に都市型共同住宅ビル(名ばかりマンションのこと)が入り混じろうとする動きが見えている。もしかしてこの横浜都心の一等地ともいうべき寿地区が、都市型住宅地に変わるのだろうか。日本型ゼントリフィケーションとでもいうことが起きるのだろうか。
寿町地区を徘徊して、コロナ明けの建設風景を拾ってきたので、ここに記録しておく。
寿町地区俯瞰写真に、最近の建設の動きを記してみた。
⓵ この俯瞰写真の左方(正確には南西方向)の①には今年の初めに共同住宅(いわゆるマンション)が建った(下図)。寿町地区に周辺から攻めてくる共同住宅群の一つである。
寿町入り口から振り返り見る⓵の共同住宅ビル |
② ⓵の隣の街区には、②の賃貸住宅の建設がたけなわである。これは簡易宿所(いわゆるドヤ)ではないらしい。この敷地の南西側には首都高の高架があり、24時間騒音と排ガスを出しているから、たぶん、分譲型共同住宅では売れないという判断だろう。なお、ここには下駄ばき住宅型の戦後復興期の防火建築帯が建っていた。
寿町フリンジの長者町1丁目の③賃貸共同住宅ビル |
長者町1丁目に建設中の⓷住宅ビル |
寿町4丁目の⓸簡易宿所建設現場 |
おお、ここの様にまわりがドヤと福祉施設ばかりの場所、寿地区でも最も寿らしい立地にも、共同住宅ビルが登場してきたのか。はて、どのような住民が住むだろうか、興味が湧いてくる。
寿地区の中心の松陰町3丁目に登場する⓹共同住宅ビル |
松陰町3丁目のドヤビル建て替えの⑥BaysideYokohana |
⑦ この新ドヤビルの並びには、昨年に売り出した分譲型共同住宅ビルが建っている。このビルは多分寿地区では最大規模であろう。ここには以前には、下が企業オフィスで上階にはUR賃貸住宅があった。いわゆる下駄ばき住宅である。ドヤビルではなくて、ここがドヤ街となる以前からの企業立地であったのだろう。
なお、この共同住宅ビルについてはここに詳しく書いた。
寿町地区内で最大の⑦新築共同住宅ビル |
松陰町1丁目にも新築の⑧分譲型共同住宅ビル |
南東部フリンジの高速道路高架沿いの⑨共同住宅ビル |
主たる宿泊者は、高齢の単身男たちであり、多くは低所得で生活保護対象である。つまりそのような人たちが高密度(ヘクタールたり焼く1000人!)に暮らしている、住宅街である。そのような街になったのは、それなりに横浜らしい歴史がある。
この街ももちろん歴史的には都心部の街として産業的な用途との対応で、普通の住民たちが住む中高層共同住宅も少数ながら存在してきたが、一方で厳然として低所得者のためのドヤ街としての歩みが続く。
コロナ明けの横浜都心には、あちこちに共同住宅(日本語でしか通じないマンション)が建ちだしてきた。ある種の聖域的なイメージがある寿町地区にも、ビル建設の動きがあり、その中にはドヤ建設もあるのだが、ドヤビルを共同住宅に建て替える動きも起きつつある。
近ごろのドヤ建設は、30年以上前に木造からビルに建て替えたころのドヤビルが、今や老朽化してきたことと、宿泊入居者の高齢化に対応する機能更新が必要になってきたことにあるらしい。
その中には積極的に超高齢宿泊者対応に特に力点を置く例もあるようだ。かつては設けないことが普通だったエレベーターは当然のことに必須だし、中には介護はもちろんのこと、看取りさえも可能な宿泊室を設ける者もあるとのこと。詳しくは知らないが、一種の介護老人ホーム的になっているだろうか。
これほどの高齢者が集住するとなると、街なかにはいろいろな福祉関係の自動車が行き交うし、メインストリートのドヤビルの軒並みに一階には、福祉介護関係施設が並ぶ風景が見られる様になったのは、この10年くらいのことである。この20年ほどで、労働者の街から、高齢者福祉の街へと変転した。
それらはたがいに排除するのか、どちらから優先するものか、うまく共存するものか、実はよく見えないのだが、興味のあることだ。
次に起こりうる大型共同住宅の建設は、やはり高速道路沿い以外の3方のフリンジの地区からだろう。今のところ注目しているのは、南西部入り口あたり(長者町1丁目)にある向かい合った2軒のパチンコ屋閉店後の土地利用転換である。共同住宅建設が近いような気がする。
この左右の元パチンコ店がどのように建て替わるのだろうか |
(20231028記)
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