2025/04/22

1882【白石加代子も八十路半ば】白石の妖気だけを鑑賞した児童漫画原作による朗読劇

 白石加代子が出演すると言うだけで、昨日は久しぶりに演劇鑑賞に行った。特に演劇好きでもないし白石ファンでもないのだが、なんだか気になる俳優である。
 これまでに何回か演劇で彼女を見たが、不思議な妖気というか雰囲気にひきつけられる。このまえ見たのは2019年の「常陸坊海尊」であった。面白かった。

 今回は「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」とのタイトルだが、どうやら原作は子供向け漫画らしいから、もちろん読んだこともないし、その存在さえ知らない。その店主役が白石で、共演は大原櫻子という知らない人だ。

 白石出演とのことだけでチケットを買ったが、なんだか知らない演劇だ。なまじっか事前に調べるよりも、全く白紙で芝居見物ってのも面白そうだ。白石加代子がどんな妖気を漂わせるか、それだけでもいいや、なんて思って何も知らずに、近くの県立の劇場に行った。

 その白石は、おどろおどろしさを身にそっくり背負って出てきたのだった。それでよしと思うしかないのだが、朗読劇という形式であるから、白石はいつも台本を両手に持ってそれに目を落としながら演技するのが詰まらない。
 けっこう舞台を動き回るので、単に朗読しているのではない。だが、動きはワンパターンであるし、言葉も朗読を基調とする。

 実は朗読だけの公演はこれまで何度か見ているが、朗読劇なるものを見るのは初めてである。たとえれば演奏会形式のオペラのようなものか。なんだか白石加代子の使い方がもったいない気がした。もっと演技を見せてほしい。

 ド派手な紫の和服は面白いが、白無垢打掛衣装の姿はなんだろうか、どうにでも染まる、つまり彼女も髪飾りや帽子で象徴的にあれこれと化ける場面があるから、という意味だろうか。ド派手着物で通す方がよかったのになあ。

 白石は何歳だろうかとパンフを見たら1941年生まれとある。わたしよりも4年若いが、世の中一般から言えば、役者としてはかなりの歳だ。もしかしたらセリフ記憶力が衰えたのか、それで台本を持っても舞台に立つことができる朗読劇にしたのだろうか。演劇のことを知らないから、これはずぶ素人の推理遊びである。

 さて朗読劇というのだが、ダンサーの舞踏あり、大原の歌ありで、ミニミュージカルの感があるのだが、あくまで演劇らしく舞台は固定だし暗い。見た目はともかくとして、演劇としては、はっきり言ってあまり面白くなかったので、時に居眠りがやってきた。

 子供の漫画が元だからだろうが、少年少女の姿もちらほら見たが、舞台を見て笑うには難しかったようでその笑い声は聞こえなかった。いや、大人の笑い声もなかった。わたしは2~3回含み笑いしたが、わはっはにはなりようがなかった。終わってから、ホワイエで原作漫画を売っていたが、買う気にはならなかった。

 この劇場は前川国男設計だが、若いころの作品だからか、年寄り相手にはまったく向かない。何しろホワイエから階段を何十段も(2階分くらいか)降りなければ座席に座ることができなかった。座席は舞台近くのほぼ真ん中の一等席と言ってよい位置だった。わたしがチケット予約の時にそこを指定した。

 ここは初めてではないのだが、それほども階段を下るとは思わなかった。ということはこれまでここに来た時はそれが気にならなかったのだ。コロナ前のことである。わたしが齢とったせいだが、困ることだ。

 このことは先般音楽堂でオペラを見たときは、階段を何十段も登らざるを得なかったのと同じである(その件はこちら参照)。その時も今回も思ったのだが、ホールの両サイドの壁沿いの上下方向通路の壁に、手すりを付けてくれると足の不自由になった年寄りも都合よくなるということだ。

(20250421記)

ーこのブログの白石加代子関係記事ー
・2019/12/23【演劇:秋元松代「常陸坊海尊」】https://datey.blogspot.com/2019/12/1432.html

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伊達美徳=まちもり散人
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