●ロシア大使館に鈴なり夏蜜柑の平和
久し振りに東京徘徊に行った。麻布台あたりを徘徊してきた(以前の徘徊記録はこちら)。 我善坊谷の谷底道から三年坂を登って、外苑東通りに出たところで、道路を隔てた正面の大きな屋敷の門のそばに、一本の大きな夏ミカンの木があり、緑の葉張りに金色の実がたくさんちりばめられて美しい。
ほほう、どなたのお屋敷だろうと看板を遠目に読んだら、「在日ロシア連邦大使館」とある。あ、そうか、ここは狸穴(まみあな)であったか、ずいぶん前に「ソ連大使館」があったことを思い出した。
今のロシアのイメージと金色の球がたくさん光って平和な蜜柑の木とのギャップを感じて、これは面白いなと写真を撮った。それだけのことだった。
そして次の興味のかつての郵政省の歴史的建築が、再開発でどうなったのか、ちょっと歩いて今日の見物目的の前に来た。そこへ警察官が二人やってきて呼び止められた。
そして次の興味のかつての郵政省の歴史的建築が、再開発でどうなったのか、ちょっと歩いて今日の見物目的の前に来た。そこへ警察官が二人やってきて呼び止められた。
●警官からご注意うけた
「先ほど、あそこで写真を撮られましたね」
「ハイ取りましたよ、蜜柑の木が美しいねえ」
「いえね、その時にあなたは車道に出てお撮りになりましたね」
「え、いや、歩道ですよ」
「いや、車道でしたよ」
「そんなはずないけど、まあどうでもいいや、警官がそうおっしゃるのならそうだったのなかな」
「いや車道でしたよ、車道から写真をお取りになるのは非常に危険ですので、おやめください」
「え~っ、そういうご注意なのかい、どうもありがとう。わたしが撮った被写体のミカンの木のことじゃないのかあ、ハイハイ、ご注意をありがとう」
そんなことを二人もの警官がわざわざ言ってくれるほど警視庁は親切というか、暇なのかなと思って、数歩歩いたら、また別の警官が声をかけてきた。
●蜜柑の木の写真を削除せよと言われた
「警視庁機動隊のセキといいます。先ほどのお撮りなった写真は、できればおやめいただきたいのですが、」
「え、さっきご注意いただいて感謝したけど、まだあるの、車道で写真撮影禁止なの?」
「いえ、何を写されましたか」
「ほほう、こんどは被写体が問題かい、まあ、いいや、ほら、あそこにミカンの木があるでしょ、金色の実がいっぱい成って平和な感じだよね、あれがロシア大使館の門のそばにあるのが面白いなあと思って撮ったよ、それが何か?」
「すみませんが見せて下さいますか」
「なんか変だけど、ここで見せないと君が個人的に懲戒を受けるのなら気の毒だから、お見せしましょう」
「いや、そうではありませんが、ハイ分かりました。確かにミカンの木ですね。できれば消去していただけませんか」
「え~っ、路から門のうちに見えるミカンの木を撮ってはいけないの、それってどんな法令による制約があるの、教えてよ」
「いや、そうではないのですが、ほほう、よく取れていますね」
「あ、これは昨日の写真だな、ハイこちら、ホラミカンの木でしょ」
「あ、ハイハイ、よく写っていますね、できればこれを削除してください」
「え~っ、なんで?、あのね、これを消さないと君が個人的に困るのかい、上司から叱られるとかで、それなら気の毒だから消してもいいけどね、どうだい」
「いえいえ、そんなことはありません。はいはい、もう結構です。あの、私は機動隊のセキと申しますが、よければお名前を教えてください」
「ああいいよ、君が名乗ったからね、ダテといいます。まあ、なんだね、今日は君たち3人がかりで、暇なわたしのヒマツブシの相手をしてくれてありがとうよ、わたしは今日ここに来た目的はね、この大きなビルが建つ前には、ここには郵政省だった歴史的な建築がったんだよ、しってるかい」
「そうですか、知りません」
「ま、いいや、では警戒しっかりやりなさいね」
「いやいや、どうも失礼しました」
●わたしはスパイかもなあ
ということで無罪放免になったが、どうして最初の警官と2度目の警官の言うことが別々なのだろうか?、最初の警官とわたしとの間の、車道に出た出ない(どうでもいいけど私は出ていない)論議は、実は本命の担当警官を呼ぶための時間稼ぎの質問だったのだろうなあ。
それにしても警視庁機動隊とはねえ、昔々1960年6月半ばころ、国会議事堂あたりで大勢の機動隊に囲まれてその姿を近くに見たものだ。その後も何度か出会った(その詳細はこちら)。
だが、こんなに近くしかも個人的に出会ったのは初めててで、瘦せ型の優しい言葉遣いの若い男だった。そうか、大使館警備にあたっているのか、さっきの初めの警官は交通警察だったのだな。
だが、こんなに近くしかも個人的に出会ったのは初めててで、瘦せ型の優しい言葉遣いの若い男だった。そうか、大使館警備にあたっているのか、さっきの初めの警官は交通警察だったのだな。
これって察するに、スパイ行為にあたるのだろうか。そんな法律が日本にあるのだろうか。ここがチャイナ(ロシアもか)だったら、即拘留起訴有罪にされるのだろうなあ、日本も戦中はこんなことがよくあったらしいが、近いうちにまたもやそうなる予行演習だったのだろうか、さすがに「オイコラ」ではなかったが、怖いなあ。
でもなあ、こんなよろよろ杖付き白髪老人が、真昼間に道端で堂々と写真撮るなんてスパイ行為をやるもんだろうか。いやいや、それは変装であって、杖には銃を仕込んであるものかもしれないぞ、マスクは覆面だな、ウン、警視庁はしっかりと警備しているようだな、ウンウン。そう、こうしてブログに書くヒマツブシ種を作ってくださったし、ありがたいことだ。
あ、そうだ、セキさんに削除しろと言われた写真をここに載せたから、警視庁からまた何か言って来るかなあ、でもセキさんはSNSに載せてはいけないと言わなかったよ、もちろんこっちも何も聞かなかったけどね。飛沫節延長戦歓迎。
そういえば1月末にも、警視庁の警官と話をしたことを思いだした。あれは捜査一課のタケモトさんだったなあ(その詳細はこちら)、電話がかかってきたが用が済まないうちに切られてしまったけど、今日のセキさんに聞いて、調べてもらえばよかったなあ。
それにしても、こんな妙なことに出会っても、若い時のように腹を立てて喧嘩することもなく、じっくりじんわりと平静に面白がって若者警官に対応できるとは、わたしも年取ったものだと、つくづく思うのであった。とにかくこれからは、ミカンの木を写すときは、周りを見て警官がいないことを確かめよう、これが今回の教訓だな。
(2025/04/17記)
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伊達美徳=まちもり散人
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