●米寿前後仲間とZOOM談義
穏やかな冬の日の午後、うちのパソコンに八十路の爺顔が2時間ほど並んでいた。ZOOMというバーチャル宴会である。
12月6日の午後は大学寮同期仲間十数人が、PC画面に顔を並べてZOOM談義をやった。毎月1回の定例で、午後を2時間ほどあれこれとしゃべりあう。家に居ながら集まることができるという、年寄り向きインタネット遊びである。
今どきZOOMなんて珍しくもないだろう。だが、わたしたちのような八十路半ば、米寿前後の者ばかりの超高齢者たちがやるの珍しいことらしい。
これを若い知人に話すと、あまりの年寄り仲間であることに驚かれて、かえってこちらが驚く。なんだかバカにされたような気にもなるのが悔しい。
そもそも年寄りであることを驚かれたり、歳にして元気ですねと言われるのが、気に食わない。差別である。
●ネット原始人のズーム
でも、考えてみると確かに自分でも驚くことをやっている。なにしろ、わたしの世代はコンピュータ以前の、今から見ると前世紀原始時代の生まれ育ちであり、しかも大学学生時代さえももそうであったもだから。
さらに社会に出てからも、コンピュータが日常用具の世界になるには、20年以上はかかった。そんな原始人のわたしたちが、いわば最先端?のズームを使うのは、猿がスマホを使うような驚きだろうか。
社会に出てからコンピュータに出会うのだが、仕事や趣味でその出会い時期や密度は、人によりかなりの差がある。専門的な知識と言うよりも、興味の対象として面白がるかどうかが、その後にかなり違いを生じるようだ。
わたしはPCの技術的なことにはあまり興味は持たないが、言語の扱いに大いに興味を持った。だからワードプロセサー初期からキーボードに取り組んだ。
わたしのZOOM仲間の大学同期たちとの交流の連絡手段は電話から始まったが、21世紀になってEメールを使うようになった。
これが今やSNS時代になっているのだが、これに移行するのは年寄りたちには面倒くさくて、今もEメールが主要手段である。
電話は補助的になったが、これもスマートフォンによるインタネット電話になり、とにかく年寄りでも否応なくインタネットにすがらざるを得ない。
このズームなるものは、年寄りにまことに都合がよい。もう足腰の力や減退して、仲間で集まるのがむつかしくなった頃に、このZOOMなる顔見世通信手段が出てきたのだ。
ZOOMは老人活性化になるし、移動困難になる高齢者こそ使いこなすとよいはずだ。それが、ちょうどコロナによるZOOM出現と軌を一にしているのが、偶然ながらオカシイ。
これでもう家にいながら顔合わせでバカ話をやれる。すごいのは日本各地にいる仲間はもちろん、カリフォルニア在住の仲間も参加できていることだ。
その頻度が月に1回だが、かつて電話時代には半年に1回がせいぜいだった出会いと比較すると、格段に親密度が増してきた。これはコロナがもたらした効用である。
●ズームは年寄りにぴったりか
その一方で、家にいながらなのに、ネットの談議にどうしても乗ることができない者が次第に増えてくるのは。年寄りとして仕方がない。たとえPC画面越しでも、年齢相応に面と向かって会話するには、あれこれ故障が出てくる。この世から消えた仲間もいる。そうやって不参加者が増えてくる。
実はわたしは最近はちょくちょく単語を忘れる。脳内にはその姿かたちは描いているのだが、言葉にするのにちょっと考えることがある。これは脳の老化のせいだろう。
他人に迷惑かもとZOOMで話しだすのを躊躇する。途中で出てこないと誤魔化すから、つい話がそれる。
もっと怖いのは、老人お得意の居眠りである。長時間PCを見ていると目はしょぼしょぼするし、そのうちにZOOM中に眠りこけてしまい、目を覚ますとPCに寄りかかっているかもしれない。まあ、お互いさまか、、そこで狂歌一首。
言葉つっかえ目はしょぼしょぼに居眠りし
行方も知れぬ米寿のズーム
さて、このZOOMという老人遊びが、いつまで続くだろうか。誰かがいなくなっても気が付かないままに、だらだら毎月開催しつつ、そのうちに自然消滅かしら、それもまたよし。
海の向こうから参加できるなら、あの世からも参加できるかとも思うが、去年逝ったやつも3年前に逝ったやつも顔出さないあなあ。
(2024/12/07記)
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