2013/03/15

733この160年間の日本の災害で死者最多は空襲という人災だった

 建築学会の機関誌『建築雑誌』2013年3月号は、『「近代復興」再考』と題する特集号である(編集担当:中島、牧、村尾)。
 近代日本の災害復興の歴史をふりかえり、これからの復興のあり方を展望しようとする、なかなかに興味深い内容である。

 その表紙に1847年からの日本の大災害での死者と行方不明者のリストを、円の大きさで視覚化している。
 その数の上位から並べると、1位は太平洋戦争下の空爆被災(1944~45年、330,000人)、2位が関東大震災(1923年、142,000人)、3位が明治三陸地震津波(1896年、21,959人)、そして次の4位に今回の東日本大震災(2011年、18,587人)が登場する。


 こうやって一目で比較できるようにしてくれて驚くのは、戦争末期の空襲による死者の円が、はるかにとびぬけた大きさであることだ。
 天災ではなくて、まさに人災そのものの災害の巨大さに絶句する。

 これにはもちろん広島長崎の原爆死者(約20万人)も入っているだろう。
 空襲による死者の半分は原子爆弾によるものである。つまり、原子力発電と兄弟関係にあるのだ。
 なんとまあ、人間の文明災害は、自然災害よりも上を行っているのであったか。

 2年も前の原子力発電所の事故によって、いまだに17万人もの人が避難している現実がある。
 68年も前の原爆投下によって、いまだに死者が増え続けている現実もある。その数も加えると、死者の円の大きさはさらに巨大になる。

 原発事故被災はかなり異質の被災であると思ったが、実は原爆ですでに起きたことだった。あのときは誰も何も教えられず、事後避難もしなかったのである。
 地球上に人間がいるかぎり、災害はなくならないようだ。災害とは、人間が受ける害であることと、人間がひき起こす害であるという、二つの意味からである。
 

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