昨日の「730地震津波火事原発3年目(2)」からのつづき
(現場を知らないわたしの机上心配年寄繰り言シリーズ)
それにしても「災害危険区域」という制度はよく理解できない。
建築基準法によって、自治体の長が条例でその区域を決める。だから県知事あるいは市町村長と議会が決定権をもっていることになる。
災害危険区域を指定すると、その範囲の土地から住居系の施設だけを追い出さなければならない。
事例を見ると追い出し方もいろいろである。
住宅全面禁止して他の区域への水平的追い出しから、津波が来ない上層階なら住宅OKという垂直的追い出しとか、各種の決め方ができようだ。住宅だけの追い出しのほかに、ホテル、保育園、病院を禁止する例もある。
いくつかの今度の被災地の自治体のウェブサイトで指定の事例を見たが、とにかくその区域指定した範囲が広いことに驚いた。
例:宮城県山元町の災害危険区域図 http://goo.gl/eaNKA
岩手県宮古市田老地区の災害危険区域 http://goo.gl/gLd1w
先般の津波で被災した区域を指定するのだから、平地の少ない三陸地方では、市街地があった平地のほとんどがその指定区域になるようだ。
逆に平地部の多い宮城県南部では更に広大になる。山元町では市域の3分の1が災害危険区域である。
この津波が来る前はそこが人々が生きていた拠点となる街であったろうに、それをそっくり指定してよいものだろうか。だからこそ指定したのかもしれない。
状況変化によってあとで変更すればよいからと、とりあえずは津波が来た区域に住宅が建つことを制限しておこう、そういう戦術かもしれない。
あるいは、高台移転の補助金支給のために、決めるということもあったかもしれない。
それはそれでよくわかる。だが、それなりの問題もありそうだ。
もちろん津波が来ても平気なように、街の土地全部を盛り上げて高くすれば、災害危険区域にしなくてもよいだろう。
あるいは防潮堤を高く造って、街を塀の中に囲い込めば、指定は不要かもしれない。
指定していても、そうなったときに変更してもよいだろう。
どちらも金がかかりそうだ。
もともとは海だったところ埋め立てたとちだから、その時にすでにかなりの造成費がかかっている。その上にさらに金がかかる2重投資である。
津波が怖いからとて高台移転した後になって、移転跡地に土盛りや防潮堤をつくると、さらに3重の投資になる。
命を守るという大義名分はあるが、未来に大借金を残さざるを得ないのが、難しいことである。
津波被災地域は中小市街や集落ばかりだから、たいていのところは職住接近あるいは職住一体の町であったろう。商店はたいていが2階が住宅だったろう。
つまり、それまでの中心的な仕事と生活の場から、住宅だけが強制的に追い出されるのである。職住分離を無理やり行うのであるが、それではさて、地方の小さな市街地はそれで成り立つのだろうかと、心配になる。
住む人がいない街なんて、大都会のビジネス街か工業専用地域くらいのものであろう。
居住空間だけの禁止という考え方は、どこから来るものだろうか。
人々の日常の生活域を考えると、夜は住宅で寝ているが、昼は仕事や買い物あるは学校などにいる時間が多いだろう。ということは、寝ている夜の時間が確率的にはいちばん長い利用の生活空間から、そこに災害が発生しにくい土地利用ゾーニングをするということだろう。
あるいは個人の財産である住宅を優先的に保護して、災害直後に路頭に迷うことのないようにするということかもしれない。
企業の財産はよりも個人の財産優先ということは、それなりにわかるが、そういうものだろうか。
では命を保護する面ではどうか。
このたびの津波では、職場や店舗あるいは学校などで多くの人が命を落とした現実がある。住宅だけを排除することにどれほど意味があるのだろうか。
よくわからなことばかりだが、不慮の災害とはそういうものだろう、とも思うにしても、、。 (明日の記事につづく)
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