●768東北被災地徘徊譚10【野蒜4】からの続き
http://datey.blogspot.jp/2013/05/768.html
●図17:野蒜地区都市計画用途指定状況
ここももちろん災害危険区域だが、運河から南は鉄筋コンクリート以上の頑丈な2階建て以上の建物ならば建ててもよいのである。住宅を除外していない。
低層や中高層の共同住宅が立ち並ぶかもしれない。それはそれで景観や配置などの適切なコントロールがされると、リゾート的な郊外住宅地となる可能性がある。
東名運河から北のエリアの住宅土地利用規制はさらに緩く、地盤を1.5m以上かさ上げするか、鉄筋コンクリート基礎高を1.5m以上にすれば、住宅建設も規制を外れるから、事実上はなにを建ててもよいことになる。
もともと土地区画整理事業によって道路等の基盤整備はされているから、今のような広大な空き地をそのままにしておくと、敷地ごとに建物が建ってくるだろう。仙台通勤圏のこの土地を不動産業界は狙っているような気がする。
特に国道27号沿道は、用途地域が中高層住居専用地域で容積率200%だから、ここには高層共同住宅が建つ可能性がある。
東名運河の歴史的な景観、あるいは松島湾方面からの景観、地域内の環境など、今のうちにコントロール方法を用意する必要がありそうだが、現実はどうなのだろうか。
ついでに思い出したが、北部丘陵稜線に緑に成り代わって創り出すニュータウンの景観も、松島の風光明媚とどう調和させるのだろうか。
中高層共同住宅と低層木造住宅が入り乱れるとなると、居住環境形成としては行政が積極的にコントロールを働かせないと困ったことになりそうだ。同時に、集団移転跡地の公有地の有効活用も計画的に組み込む必要がありそうだ。
そのあたりは、今、どう動いているのだろうか。たとえば地区計画等による土地利用のコントロールをしようとしているのか、なくてもよいのか心配になる。杞憂ならそれでよいのだが。
もう一つの心配は、この跡地の再市街化が進むと、せっかく作る北部丘陵の新市街が空洞化するかもしれないということである。
被災跡地の再市街化が可能となると、被災者たちは元の街に暮らすほうがよいと思い、移転を思いとどまり、丘陵の新しい街にはたくさんの空き家空き地ができるかもしれないからである。
あるいは、空き地空き家はでないかもしれないとも思う。それは、被災者が移転するのではなく、仙台に30分余の通勤圏として、津波被災とは関係ない住宅需要層への住宅市場としての立地であると見られるから、ここには新居住者らがやってくるかもしれないからである。集団移転対象にならなかった空き地空き家は、新住民対象となる。
それはそれで新しい街は機能するが、本来の役目を忘れることになる。それでも良いとするか、悩ましいことである。
防災集団移転地の新たな都市計画と、被災した市街地の既存の都市計画、それらの土地利用がどう連携するのか、それとも連携が必要ないのか。
被災市街地再生のためには、既存の都市計画はそのままで変更しなくてよいのか、あらたな都市計画は必要ないのか、いろいろと気になる。
大きなお世話のよそ者があれこれ言っていることは、東松島市の野蒜地区に限ったことではなく、大なり小なりどこの被災地の復興にも当てはまることかもしれないと思うのである。 (つづく)
○参照⇒東北に大津波被災地を訪ねて【東松島市野蒜地区】
https://sites.google.com/site/dandysworldg/tunami-nobiru
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