2026/06/04

1953【老酔録㊲自然の森】神宮内苑の森は高木亞高木中木低木本草地衣類に覆われて人間を拒む自然環境

  (【老酔録㉟新緑の森】からつづく)



 急に思い立って、東京の明治神宮内苑の森(約70ヘクタール)を見に行った。
 神宮内苑に行く気になったのは、近くの根岸森林公園ばかり行っていて、その初夏風景(2026年5月30日)をこのブログに載せて公開したのは昨日のことだが、それらの多くの森の風景を見ていて次第に気になったことがああったからだ。

 それがなにであるかは、昨日公開ブログのあちこちに書いているが、この森は日本の本当の自然ではないぞ、この樹林の内部がこんなにも整然としているわけがない、ということだ。公立の公園だから人間が手間暇かけて、樹林の中の地表を掃除して、草やブッシュを刈り取り、新芽生えをも刈り取って、落葉さえも運び出しているに違いない。

 公園とはそういうものだろうから、それはそれでよいのだが、日本の自然植生はこんなものではないことは、私自身の生まれ育ったの古い神社の森の中だった体験や、長じて植生学者の宮脇昭さんの知遇を得て、日本の自然とはどういうものかを教えてもらった経験から、知っている。

 あのようなうっそうとした日本の森にしばらく出会っていないことに気が付いたら、無性に見に行きたくなった。もう遠くの山中の森に行くことは無理だ、どこがよいかと考えていて、そうだ明治神宮の森を見に行ってこようと思いついた。

 この歳になると、やろうと思いついたら、すぐに実行するのだ。そのうちにやろうと思っていると、身体が動かなるときが来てしまうからだ。そこで一昨日(2026年6月2日)明治神宮に行ってきた。神社参拝に行ったのではなくて、森を見に行ったのだ。


 ここに来たのは超久しぶりだ。これまでに何度かこの森を眺めにやってきた。この森は明治神宮を創建する時に、全国から苗木を集めて、新たな森を作ったのだ。日本の自然に近い森をつくろうと、植生専門家による超長期構想森づくりが動き出し、100年も経つとこのような森に育ってきたのだ。


 林内には小道があるが、この道ではめったに人に出会うことはなかった。森に関心持つ人はいないのだろう。







 ここまでの写真は、人の手が入っていることが見えにくいところばかりだ。これらは決して管理の手が入っていない自然の森ではない。内苑の森は公園ではなく、神社の敷地であり、神社としての深淵なる雰囲気というか環境をつくるための森である。だから管理のために縦横に車の入る道もあり、中心部には戦後再建の神社建築もある。

 神社そのものに用はないので、見ないで帰ろうかとも思ったが、本殿だけに寄ってきた。何十年振りだろうか、それらの風景も載せておこう。
 左に見える南の正門の鳥居は街と森の結界をつくる。右は原宿駅と表参道の街。

 内苑の森のほぼ中央にある本殿前の広場。拝殿の左右に大きなクスノキが樹形を丸く剪定されて立っている。クスノキはこのような幾何学的な樹形にはならない。ここでは自然も人口の形態に整えられる。
 そのクスノキの右の森の上に、神宮敷地外部にある建築の塔が一つだけ頭をのぞかせているのが、異形である。あれが電気通信のための塔であることを知っているが、なるほどなおさらに異形の度合いが高まる。 

 異業といえば、もっと異形な雰囲気は、ここに見える参詣者たちであろう。見たところその9割は、外国人観光客らしいのだ。しかも、非アジア系人種がほとんどである。そのような外国人老若男女が、なぜこれほど多くが訪れる地なのか不思議である。

 歴史的にも創建から100年ほどの新しい場所なのに、なぜだろうか。団体旅行の定番訪問地としても外国人に花のだろう意味が分からないだろう。彼らはこの森に興味をまったく持っていないことは、これほどいても森の中で出会うことが無かったことからわかる。日本人でさえも、森に注意するものはほとんどないようだし、観光資源にならないのだろう。

 北参道からの入り口の鳥居が街と森との結界をつくる。


 こうしてみると、わたしが遊びに日常的よく行く根岸森林公園とは、全く異なる風景の森だであることが分かる。決して自然の森ではないが、それに近い森林景観だ。久しぶりにそのような森の中を歩いてきた。故郷の神社の森に来た感もあったが、決して美しい森ではない。だが自然とはもともとそういうものだと、改めて思ったのだった。

(2026/06/04記)

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