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2015/10/25

1138【横浜名ばかりマンション傾き事件】根本問題は基礎杭の欠陥工事じゃなくて「マンション」という区分所有方式共同住宅という欠陥システムにあるんだけどなあ

●とにかく名ばかりマンションを買わないことが一番
 今朝の新聞には、「うちの杭は大丈夫か、誰に聞けば、マンション相次ぐ相談」とかって、「マンション購入、注意すべき点は」なんて記事もある。
あのねえ、杭のことなんか、誰に聞いてもわかんないよ、だって土の中の深~くで、だれも見てないんだからね。杭じゃなくてもコンクリートだってほじくってみても分らないよ。
 そんなこと心配するんじゃなくて、そもそもマンションという危険な商品を買うのを、おやめさないよ。それが一番よろしい。
 共同住宅ビルに住みたいなら、1棟まるまる賃貸借共同住宅の中の1戸を借りなさいよ。
それなら傾こうが倒れようが、あなたの懐は痛みません。その家主さんが建てなおすでしょ。

 新聞屋さんも、こんな末端杭屋さんを追っかける記事ばかりじゃなくて、そもそもマンションなるものがいかに危険な商品かを報道しなさいよ。
 その危険なることは、20年前の神戸大震災で十分に知ったはずなのに、もう忘れたのかい。
 え、不動産屋さんが新聞広告を出してくれなくなるからできないって、、、おお、しょうがないなあ、まったく。

●「マンション」って大邸宅とか豪邸のことなんだけど
 このところ「マンション」という不思議な言葉で、マスメディアもネットスズメも賑やかなことである。横浜都筑区でマンションが基礎杭の欠陥工事で傾いた事件である。
 ニュースを見てるとマンションとは、高層の共同住宅ビルのことを言うらしいが、特に各戸が別々の所有者になっている区分所有タイプの建築を言うらしい。
 だから2階建ての賃貸アパートはマンションとは言わないらしい。高層の賃貸共同住宅ビルはマンションなんだろうか。

 マンションとは和製英語らしいが、本場英語の意味は大邸宅とか豪邸とかで、分りやすく言えばハリウッドの大スターの邸宅とか、アメリカ大統領が住んでいるホワイトハウスのような豪邸を言うのだそうである。
 それなのに日本では、ちっとも大邸宅でも豪邸でもないのに、どうしてマンションというのか。
 和製英語マンションに英語で近い意味と思われるのはコンドミニアムだが、そう言わないのはなぜだろうか。

●不動産屋の誇大宣伝広告用語「マンション」
 法律はどうなっているんだろうと探すと、「マンションの建替え等の円滑化に関する法律」というのがあった。その第2条にマンション定義が「二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分のあるものをいう」と書いてある。
 え、じゃあ、木造2階建て住宅の1階をわたしが、2階を弟がそれぞれ所有したら、これもマンションなんだ。超高層の1000戸もある共同住宅もマンションだ。へえ~。

 では、法律がそうだから、共同住宅ビルをマンションというようになったのか。いやいや、法律は2002年にできたけれど、そのずっと昔からマンションと言っていた。
 どうやら、不動産業者がアパートメントハウスと言うべきところを、都市にはびこった木造2階建てアパートと差別化するために、マンションと誇大広告的命名をして売り出したのが始まりらしい。
 その誇大広告用語をそのまま法律に持ち込んだらしいが、庶民には分りやすような、誤解を招くような困った法律である。
 最近、新聞のマンション広告に戸数の表現を、例えば100邸と書いている。の漢字が土地につかない空中楼閣にもつかうのは、マンションと同じく誇大広告用語だけど、そのうちに法律にも書かれるかもしれない。
 
 というわけで、マンションとは高級な邸宅を言うものだと、庶民はこの誇大広告にすっかり騙されて買うようになったらしい。
 どうも誇大広告用語を使うのがバカみたいなので、わたしは名づけてこう言っている。
「名ばかりマンション」


●実は珍しくもない名ばかりマンション建て替え紛争
 そして、この事件である。しかし、この事件は決して珍しいことではない。去年7月に横浜で住友不動産が売った「名ばかりマンション」で全く同じような事件の報道がある。
 ずっと前には耐震偽装事件という地震に弱い名ばかりマンションが、その前には阪神淡路地震被災した名ばかりマンションが、どれもその後の建て直しで、とんでもない大苦労をしている。

 その苦労は、区分所有ビルであるということが原因である。上に書いた法律ができたのが2002年であるように、いろいろな事件で壊れても倒れても、その建て替えをめぐってはなんだかんだと紛争が起きるために、なんとかしなければなるまいとできた法律である。
 紛争の根本は、壊すにも建て替えるにも、所有権利者たちの同意がいるのだが、これが簡単ではないからだ。分りやすく言えば貧乏人と金持ち、年寄りと若者、外国人と日本人、などなど100人いれば100通りの違いがある。その権利者数が多くなれば幾何級数的に難題が増える。

 今評判の横浜都筑区の名ばかりマンションでは、4棟で全700戸もあるのをデベロッパーは全部建替え補償すると言っているそうだが、700通りの事情に加えて各棟ごとの事情があるから、同意を取るのは超難関であろう。
 このようなことは、1995年の神戸でその難しさをたっぷりと経験したのに、売るほうも、建てる方も、買う方も、だれもかれもがすっかり忘れてしまっている。
 そうしてこのような事件に出くわしたのである。全くどうかしているとしか思えない。

●名ばかりマンションがもたらす大震災後の難民問題
 TVを見ないから知らないが、新聞やネットのマスメディアの報道には、末端業者の犯罪事件としての視点しかないらしい。しかし、根本問題は名ばかりマンションというシステムにあるのだ。
 次の大震災が来たら、名ばかりマンションの多くは被災するだろう。倒れなくても、大修繕が必要な壊れ方をするだろう。そして修繕の同意が得られない名ばかりマンションは立ち腐れ廃墟になる。
 倒壊してしまって公費で撤去されても、跡地は細分化されたままの共有地だから、この再利用も同意を簡単にはとれないから、草ぼうぼうの空き地が増えるばかり。
 大地震が来なくても、人口減少で空き家が出てくると管理できなくなって、お化け名ばかりマンションがあちこちに登場するだろう。名ばかりマンション難民は、もう戻ることができない。

 というわけで、共同住宅ビルは区分所有の名ばかりマンション方式を、今すぐさま禁止するべきである。今やめておけば、これ以上の被害者を出さなくて済む。
 共同住宅ビルは区分所有名ばかりマンション方式ではなくて、1棟の全戸が賃貸借住宅の、しかも単純所有方式にするべきである。その所有者は団体(企業、組合等)でも個人でもよいが、とにかく単純にしておけば、建て直しは比較的容易であるはずだ。
 また、建物の管理や運営が、組合という寄合世帯ではないから、空き家対策もやりやすいだろう。

●人口減と大震災に備えてマンション禁止と賃貸住宅促進を
 現在の政府の住宅政策は、このような現実から眼を逸らして、持ち家を進めているから、賃貸住区には冷たい。
 ところが、先般の東日本大震災被災者への住宅供給が、珍しくも災害復興公営住宅という賃貸住宅を大量に建設している。つまりこれまでのような持ち家政策のままでは、社会的な大事件が起きた場合には対応できなくなったことを、まざまざと示している。
 その公的賃貸住宅の建設をするのに困ったのは、どこの被災自治体でもながらくその建設をしていないので、ノウハウが失われてしまっていたことだった。全国の自治体のその専門職員を派遣してもらって建設をしている有様であるが、遅れに遅れている。

 住宅を社会政策ではなくて、民間投資の経済景気対策にしてきたツケである。公的賃貸住宅を日ごろからきちんと供給していれば、震災後にこれほども困ることはなかったはずである。
 それなのに、次の大震災に備えて、被災するかもしれない自治体において、公的賃貸住宅の供給を進めているかと言えば、そういうことを全く聞かないのは、いったいどういうことなんだろうか。むしろ名ばかりマンションばかりが増えて、住宅難民候補者を増加させている。

 その結果が今の空き家大量発生問題である。この国の政府には住宅政策がないと前々から言っているのだ、いまだになにも見通しが無くて、マンション問題も空き家問題も、まるでまるでモグラたたきの目先小手先対策しかしない。
  そもそも基本的人権である住むということについて、ほとんどの国民が一生かかって返済するような借金漬け人生を送らなければならないような政策自体が、根本的に間違っている。
 わたしはもう30年くらいそういっているが、蟷螂の斧だし、もうすぐ死ぬから、知ったことではないのだが、あまりバカバカしい事件が起きるもんで、こんなことを書いてヒマツブシとローカボーシに活用している。ありがたいことだ。

(追記20151026)
 今朝の新聞に週刊現代の広告。あのフューザー社長が、わたしと同じこと言っているらしい。あの耐震偽装騒ぎで騒ぎで、悪名が髙かった本職が言うんだから、わたしの言よりも確かだろう。

●参照:「くたばれマンション」
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2015/10/22

1136【横浜名ばかりマンション傾き事件】基礎杭インチキ事件の真の責任者は孫請けか元請けか工事監理者か設計者か謎ばかりニュース

●傾いた横浜都筑区の「名ばかりマンション」
熊五郎:ご隠居、その後は腰の具合はいかかですか。
ご隠居:おお、熊さん、いらっしゃい、ありがと、まあまあ何とか動いてるよ。
:あのですね、横浜のどこやらのマンションが傾いたって、大騒ぎのニュースですね。このあっしたちが住んでるボロ長屋は大丈夫なんですかね。
:ボロは余計だけど、ここは木造2階建てだからね、多少は傾いてるだろうよ、でもね、あのニュースのビルみたいにコンクリで重いってわけじゃなし、大丈夫だろうよ。
:ビルじゃなくてマンションですよ。
:お前さんねえ、マンションと言ったら、例えばアメリカ大統領が住むホワイトハウスみたいな豪邸のことだよ、日本でマンションて言ってるのは、不動産屋の営業用誇大広告宣伝用語だよ。日本では「名ばかり」マンションだよ。
:じゃあ、なんて言えばいいんですか。
:正しく言えばだな、区分所有型中高層共同住宅ビルだな。
:フ~ン、長たらしいね、で、あの傾いたヤツもそのクブンショなんとかかんとか、めんどくさい名ばかりマンションですかね。
:うんそうらしいねえ。しかも、700戸も入っているらしいよ。

●建て直しって実は超大変だろうなあ
:でも、それは4棟に分れていて、そのうちの西棟だけが傾いたらしいですよ。それなのに、売り主の三井不動産ナントカカントカ企業の社長は、その棟だけじゃなくて、責任とって全部建てなおすって言ってますよ、さすが大企業は偉いもんですねえ。
:う~ん、ホントに偉いのかねえ、わかってるのかなあ。写真で見ると、そのうちの南棟を除く3棟がつながってるからこれらは建築基準法でも区分所有法でも、法律上は1棟らしいよ。
:でも、その中の傾いた部分だけを建てなおせばいいでしょ。なんで全部建て直すって言ったのかなあ。
:その傾いた西棟だけ直すのは、技術上は可能だろうけど、法的に1棟になってると持ち主全部の内の8割がOKしないとできないね。それに他の棟も完全とは言えなくなったからね。
:仮に500戸あるとすれば、400戸の持ち主の同意を取るって言っても、400通りの事情があるだろうから、そりゃもう大変ですよね。
:そうだよなあ、それに地震で壊れたって天災じゃなくて、欠陥商品を売りつけたってことだから、なおさらナンダカンダと揉めるに決まってる。
:じゃあ、事実上は8割賛成じゃだめで10割でしょうね。
:それに、今は傾いてなくても、こうやっていったん不信となったら、そのうちに傾くって思うよなあ、だから全部を建てなおすしかないってことになる。離れている南棟の人もそう思うだろうなあ。
:そうなりゃ700戸には700通りの事情があるから、社長がカッコよく全部建て直しますって言っても、こりゃ簡単じゃあないですねえ。事実上はできないかもねえ。大変なジレンマですねえ。

●大地震が来たらこの騒ぎの比じゃない数になる
:あのね、いつか近いうちに巨大地震が起きるって言われてるだろ、そうなったらたいへんだよ、あちこちの巨大な名ばかりマンション超高層ビルには、1000戸もある奴のあるらしいからね。
:そんなのがあちこちで傾いたら、難民だらけになりますね。
:そんな大勢の巨大ビルを建てなおそうたって、そうは簡単に皆が同意できっこないね。日本列島は立ち腐れ廃墟名ばかりマンションビルだらけになるな。
:あ、そうだ、この長屋はどうなりますかね、すぐに倒れそうだけど。
隠:うん、そうだね、大地震で簡単に倒れちまうだろうねえ、店子の難民はいっとき出るのはしょうがないけど、ここは1棟全部貸家で持ち主は大家さんひとりだから、建て直しは簡単だよ、すぐに戻ってこられるよ。
:あ、なーるほど、そりゃいいや、安心しました。その名ばかりマンションも、棟の全部を貸家にすればいいのねえ、なんでそうしないんでしょうねえ。
:そりゃね、日本政府の住宅政策が間違ってきたからだよ、持ち家ばかりを優遇する政策ばかりで、賃貸住宅を冷遇してきたからだよ。
:なんでそうなんでしょ
:日本では住宅政策が、景気対策の経済政策に使われて、住宅って基本的人権を保障する社会政策じゃなかったってことなんだよ。経済ばっかりに目を向けるって、政策の基本が貧困なんだよ。
:そうやって、名ばかりマンションばかりか、郊外住宅もどんどん建てさせたあげくが、いまじゃあ空き家問題にぶつかってるんですね。
:郊外には空き家、街なかには空き名ばかりマンションだよ、困ったもんだよ、もうすぐ起きる東南海大震災の直後に、住宅を経済政策にしたツケがドド~ンとまわってくるだろうねえ。わたしはその頃はこの世にいないだろうからいいけどね、熊さん気の毒だね。

●真の責任者は元請け企業と工事監理者なのに
:それにしても、あのインチキ基礎杭事件は、マスメディアの格好の餌食ですね。杭打ちした旭化成建材ってところの親会社の旭化成社長がでてきて謝ってますね。
:あのねえ、それがなんだかおかしいねえ、だってこの事件の一番の責任者はそこじゃないよ。
:え、なぜ旭化成じゃないんですか。
:あのねえ、インチキ杭打ちした旭化成建材が悪いのもちろんだけけどね、そこはこのビルの建設を請け負った三井住友建設の下請けのそのまた下請の企業、つまり孫請けなんだよ。
:ということは、下っ端企業が泣いて謝ってるだけなのかあ。
:その孫請けの親が出てきて謝るのは勝手だけど、その上の日立ナントカって下請け企業の社長や、大元の三井住友建設の社長はどうしてるんだろうかねえ。
:あ、そうか、そこが泣いて謝るのがスジでしょうにねえ。
:元請けの建設現場で三井住友建設が、下請けの工事をきちんと管理監督してなかったのがいちばんの責任取ることだよ。それにね、工事監理者も責任が重いはずなのに出てこないね。
:なんです、その工事監理者ってのは。
:工事屋さんの現場監督とは別にね、設計どおりにきちんと工事をしているかって、工事を見張る役割の一級建築士がいるんだよ。いなきゃならんと法律に決めてあって、それが工事監理者だよ。
:じゃあ、三井住友建設の現場監督の外に、工事管理者がいるのですね、そりゃ誰なんでしょうかね。
:それがニュースには全く登場しないから名前が分らない。マスメディアも世間一般も、そういう責任者がいるってことを知らないらしいね。
・あ、もしかして、その工事監理者の一級建築士と三井住友建設が、グルになって監督をサボってたのかもしれませんね。

●設計者も出てこないのは何故か
:うん、多くの場合は設計者が工事監理者になるんだけど、その設計者の名前もニュースには全くでてこないね。
:あっ、もしかして、実は設計で基礎杭の長さが短くしてあった、かもしれないのにね。
:もしそうだったら、杭打ち工事は設計図の通りにやったことになるな。
:それだったら、設計者と共に、設計図の間違いを指摘しなかった工事監理者の大罪ですね。なんだか、マスメディアは末端ばかりおっかけて、大元の方の原因者の仕業を忘れてるかもしれませんね。
:それよりもいちばんの大問題は、空き家だらけと言うのに、これから大地震が来るというのに、名ばかりマンションを建て続けさせ、買い続けさせる日本の住宅政策の大間違いにあるんだよ。
:そうか、阪神淡路大震災で名ばかりマンションの建て直しが大変でしたよね、それから耐震偽装って事件でも大変、それなのにもう忘れて同じバカをやってるんですねえ。
名ばかりマンションを買う奴が一番のバカだね。だからね、ボロでもこの借家長屋に住んでることを、ありがたく思わなくちゃいけないよ。
:え~~、そうなんですかあ、まあ、買う金もないけどねえ、、ヤレヤレ。

1995年3月神戸三ノ宮、勝手な向きに傾く街並み

1995年阪神淡路大地震における神戸被災地
(追記20151112)今朝に新聞に、三井住友建設が初めて謝罪したとの記事が出ている、いまごのになってかよ~。

参照:くたばれマンション
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2015/05/25

1093【くたばれマンション】北風政策の空き家強制撤去新法って日本の居住政策のなんと貧しいことよというよりも不在なんだな

●増えた空き家を強制撤去させる法律とはねえ 

 「空き家の強制撤去」だそうである。
 空き家が増えて、倒れてきて危ないとかで、持ち主に強制的に撤去させる特別措置法だそうである。

 おいおい、自分の持家をどんどん建てろ、政府はそう言って来ているような気がするけど、違うのかい。
 ドンドン買え、持ち家にはドンドン融資するから借金しろ、税金も負けてやるぞって、確かそう言ってるぞ。
 あのなあ、一方では借金しても建てろ建てろ買え買え、一方で壊せ壊せ壊さないと罰金とるぞって、この日本には居住政策なんてものは、全然ないんだなあ。

 住宅に住むってのは基本的人権nなのだから、居住政策は社会政策であるべきなのを、日本では経済政策の景気対策にしてしまったから、持ち家ばかりを増やしてきた。
 それも土地が高価だから、土地が安い遠い郊外にどんどん広げていって、一戸あたりを安くするから狭い宅地に狭い家ばかりが建ち並んだ。
 だから今、人口減少超高齢化で、それらが空き家になってしまった。人口減少も高齢化もとっくに分っていたことなのに、こんなことになるのだよ。
 
 人口変動に対応して調整の効く、公的あるいは民営の賃貸住宅の供給政策を、全く怠ってきたから、こういうことになるのだ。
 先日、川崎でドヤが焼けて死者が出たのも、居住政策が社会政策でない日本の恥部が表出したのだ。
 一方で大借金させて建てた空き家の続出、一方でドヤ街のような超劣悪居住環境の蔓延、いったいこれはだれの責任だ。格差社会はますます進む。

 では、この空き家対応が解決かというと、単なる弥縫策に過ぎないのは誰でもわかることだ。こんな北風政策では解決しないぞ、泥縄とはこのことだが、縄にさえなっていない。
 これってモグラ叩きそっくりだよなあ。こんあことしても、日本中のモグラ退治は無理でしょ。モグラをたたくのじゃなくて、モグラが発生しないような居住政策が必要なのになあ。

 どうもこの話は、一戸建てとか木造アパートが対象らしいが、大問題が控えているよ。共同住宅ビルのの空き家である。
 日本じゃ共同住宅を「マンション」なんて誤訳してるけど、区分所有の共同住宅ビルが、どんどん虫食い状態に空き家になると、空き家問題は深刻だぞ。いやもう起きているか。
 権利関係が複雑だから、壊すのが一戸建てのようにはいかない。空き家だらけのスラムビルがあちこちに立ちあがって、都市問題になるに違いない。
 これははもうモグラじゃなくて、モンスターだよなあ。モグラ叩きで遊んでる場合じゃないよ。

●総合的な居住政策をやるべきなのに

 この空き家特別措置法は、そのような時代に対応できるようになっているのだろうか。
 空き家対策は、空き家を取り壊すのではなくて、総合的な居住政策のひとつとして、いかに再活用するか、その政策が本質にあるべきなのに、全然見えないのは何故か。
 取り壊した跡の空き地がまた問題になるにきまっている。根本的な点で間違ってるぞ。

 実は住宅困窮層はまだまだいるし、格差社会の進行、高齢化による人口移動が、新たな住宅困窮者を発生させているはずだ。
 空き家対策が必要になったこれまで住宅政策の背景をよく反省し、これを契機に日本の居住政策の社会政策への転換をしてもらいたいものだ。

 はは~、これも相変わらず経済政策で、壊すことで建設業の仕事が増えるって、そんな景気対策なんだろうか。
 経済政策として庶民に借金させる持ち家政策はとっくに破たんしているのに、一向に賃貸住宅促進に転換をしない政府は、いったいなにしてるんだよ。

 東北地方で災害公営住宅の整備が遅れているのも、これまで公営住宅整備をさぼって、その建設や運営のノウハウがなくなっていたからだろう。
 あるいはまた、これまで公的な賃貸住宅の供給がきちんとあれば、災害避難時への対応ももっと円滑だったろうにとも思う。もうすぐ次の大地震が来るんだぞ、どうする?

 高齢社会の居住、人口減社会の居住、少子社会の居住、災大規模害など、それぞれが連動した総合的な居住政策が今こそ必要だろうに、どうなっているのか。


参照◆父の家を売る 
http://datey.blogspot.com/2015/05/1083.html
くたばれマンション
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2014/07/04

968【くたばれマンション】だから言ってるでしょ、名ばかりマンション区分所有共同住宅ビルをやめろって

 なんとまあ、11階建ての区分所有共同住宅ビル(いわゆるマンション、わたしが言うところの名ばかりマンション)が、傾いてきたんだと、、、。
 大規模補修計画をやってて、どうもそうらしいと、管理組合が設計施工会社の熊谷組にそう言ったら、調べもしないで、初めからそうだったし、普通のことだと回答があったらしい。
写真の手すりは、傾いた左の棟と傾かない右の棟の間の
エキスパンションジョイントの位置でのズレを撮ったものらしい
あんまりなので、管理組合が専門家に頼んで独自調査したら、いまや1階と11階では5センチの傾きがあることがわかった。もちろん傾きはこれからも進行するだろう
 設計図と昔の地形図と比較して見たら、地中の杭が建物を支えるする硬い地盤まで届いていなことが分かったという。

 さすがに熊谷組も認めて、替わりの住宅を手当てするという。まあ、ここまで来るにはドタバタがあったのだろう。
 区分所有ビルだから、所有者は千差万別である。それぞれに事情があるから、自分の資産が失われるということに対して、驚き、怒り、悲しみ、これからの対応など、大変なことだったろう。

 もうすぐ太平洋の底にある南海トラフが暴れて、大地震が襲ってくるらしい。そうなったら、傾くなんて当たり前、半壊、全壊の区分所有共同住宅ビルが続出する。
 あちこちで高層巨大マンションが建ち、売り出され、買っている人たちがいる。膨大な震災マンション難民予備軍を、懲りもしないでどんどん生み出しつつある。
 
名ばかりマンションにいるお方は、はやく、一棟賃貸借型共同住宅ビルに移った方がいいですよ。阪神淡路地震や姉歯事件の経験から、こちならば早期に何とかなるから。

 それにしても、どうして杭を打つときに支持地盤に達していないと分らなかったのだろうか。おかしい。工事監理者(正しく施工しているかどうか監督する人で、通常は設計者)は何していたのか。
 でも、これって熊谷組の設計施工だから、工事監理者も熊谷組の人で、設計、施工、監理の担当者がすべて同じ。これじゃあ監督しようがない。

 まえまえから、不思議に思っているのだが、マンション広告に設計と工事については、その担当会社を書いてあるのだが、工事監理者を書いてあることはめったにないことである。この人が一番大事な役目のはずである。
 長谷工のように、設計から工事、監理まで一体だから安心ですと、間違った宣伝をしているアホ会社さえある。
 全部グルだから不安です、って、買う人はそう言いなさいよ、いいですか。

○参照
・808「名ばかりマンション」をいまどき売る人買う人の気がしれない
http://datey.blogspot.jp/2013/07/808.html
・664くたばれ名ばかりマンション屋!大ウソつきがばれたぞ
http://datey.blogspot.jp/2012/09/664.html
・くたばれマンション
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2013/07/17

808「名ばかりマンション」をいまどき売る人買う人の気がしれない

 「マンション」(わたしに言わせると「名ばかりマンション」、マンションとは大邸宅のことだよ)が、南関東で好調に売れているのだそうだ。
 この区分所有型集合住宅(日本のマンションを正しくはこういう)を、いまどき売る人買う人の気がしれない。
 そりゃまあ、消費税が上がるとか、金利が上昇するかもとか、資材値上がりで高騰かもとか、あるんで心配してのことしょうけど、今するべき心配は、そんなことじゃなくて、大地震だよ。

 阪神大震災、東日本大震災で、被災したマンション(区分所有型集合住宅)の復旧や建て直しは、実に難しい問題があるんだと暴露されたのをもう忘れたのかい。
 姉歯事件てのもあって、賃貸型は解決が早かったけど、分譲型は未だ全部は解決してないらしいよ。

 この写真は、1995年神戸でわたしが撮ってきたもの。


 次は東海トラフが大暴れして、南関東から九州まで日本列島は大揺れ、大津波って、このところ脅迫的なニュースが出ている。大量の名ばかりマンション難民が出てくるぞ。
 本当に、そんな名ばかりマンションを買ってもいいんですか、みなさ~ん!

 とにかく金持ちも貧乏人も、区分所有ビルというひとつの船に平等に乗っていて、壊れて修繕するも、作り直すも、全員が平等に金を持ち寄ってOKしなきゃできないんですよ。
 必然的に貧乏人が足をひっぱって、大修繕も建て直しもできないってことになるんですよ。あなたはお金持ちですか。わたしは足引っ張り役になりたくない。

 壊して土地だけにしても、一戸の持分は猫の額もない狭さだし、共有地だからままならない。要するにどうしようもない不良資産になるんですよ。そして大借金も残るんですねえ。
 マンション難民が大量に出てくる次の大地震まで、わたしは生きていたくない。

 まあ、わたしは貧乏人だし地震がこわいから、借家に住んでますけどね。ここが被災したら、遠くにある戸建て持ち家に移るつもり。
 とにかく、名ばかりマンションを買うのは、おやめなさい
 もう買ってしまった人は、次の大地震が来る前に売り逃げしなさい。せめて、わたしのように、一棟すべてが賃貸借の集合住宅ビルに移りなさいよ、財産を失うことはないし、壊れビルと猫の額土地という負の財産を背負うこともない。
 大地震、明日来るかもしれないよ。

参照:くたばれマンション
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2012/09/07

664くたばれ名ばかりマンション屋!大ウソつきがばれたぞ

 今日(2012年9月7日)の朝日新聞東京版の朝刊に、「長谷工社長らを処分」のみだしで、こんな記事がある。

 07年発覚の耐震偽装 国土交通省は6日、1級建築士20人の懲戒処分を公表した。横浜市で建設中だったマンションで2007年に耐震偽装が発覚した藤建事務所(埼玉県八潮市、09年に廃業)の遠藤孝1級建築士のほか、遠藤建築士に構造計算を依頼したマンション建設最大手、長谷工コーポレーションの大栗育夫社長らが処分を受けた。(以下略)

 で、遠藤建築士は2000~07年、8件は長谷工からの発注だった、とある。つまり外注していたのである。
 これを読んで思い出したことがある。
 2005年に姉歯という名前の一級建築士が建物の構造計算をごまかして設計し、そのまま強度のない共同住宅やホテルを建てたという、いわゆる「耐震偽装事件」があった。
 社会的には大事件であった。 この時以来、建築士性善説は消滅、性悪者となった。 
 そのときにわたしは長谷工が自社サイトに変なことを書いているのを見つけて、わたしのサイト「まちもり通信」で、こうイチャモンをつけたのだった。

 あわててデベロッパーたちは、うちの建物は姉歯に関係ないと発表しているところもあるが、中でおかしいのは長谷工コーポレーションで、わが社の建築はわが社の「設計施工一貫体制」だから構造設計は姉歯ではないと言うのである。
 だから安全だって言ってるつもりなんだろうけど、これって姉歯よりもっと危ないかもしれないぞ。
 だって開発から設計、監理、工事、販売まで全て自分の社内やっているなんて、みんな内々だから設計ミス、偽造、工事手抜きなどなどあっても、第三者チェックがどこにも働かないおそれが十分にある。
 要するにみんなグルってこと、かもしれないのだ。 (2005.12.04)
●この全文は⇒姉歯大震災の喚起するもの
https://sites.google.com/site/machimorig0/anehajiken
 
 さてところが今、長谷工は自社内で全部やってるから安心だと、誇らしげに(私から言わせると奇妙な)宣伝をしながら、実は自社内でやってなかったことが暴露されてしまったのである。
 しかも耐震偽装そのものをやっていたのだから、あきれるほどの大ウソつきである。
 こういうのって、ホンとにカッコウ悪いなあ。

 「名ばかりマンション」(マンションとは本来はアメリカ大統領のホワイトハウスのような豪邸を言うのだよ)を耐震偽装付きで供給するバカがいて、それをまたホイホイ買うバカがいる。困ったもんだ。
 偽装してなくても、そろそろやってくる大地震で大方は使いものにならなくなるか、大修繕が必要になる。
 その時に、所有者が貧乏人も金持ちも呉越同舟の分譲「名ばかりマンション」は、利害対立で建て直しも大修理も立ち往生するだろう。
 そして膨大な不良資産となった廃墟建築が発生し、膨大な住宅難民が発生する。

 そんなことは阪神淡路大震災でも姉歯大震災でもよ~くわかったのに、それでも「名ばかりマンション」の売り買いは止まらない。法制度で止めようともしない。恐ろしい世の中である。
 俺はもう知らんわい、勝手にせえ。

●参照→たった一人のキャンペーン:くたばれマンション
https://sites.google.com/site/machimorig0/#tosikyoju

2012/06/02

625やっぱりマンションは危ないと分ったのに止まらない世の中がオカシイ

東日本大震災に関するニュースで、東北地方の津波や原発災害はよく伝えられるが、仙台などの都市部での被害はあったのかしらと思うほど、そのニュースはすくない。
 でも、やっぱり深刻な被害があったのだ。今朝の朝日新聞に「マンション 傷そのまま」とて、被災共同分譲住宅問題が載っている。


 仙台では被災から一年以上経ってもいまだに修理や建て替えができないまま、住めない共同住宅がたくさんあるのそうだ。
 それは、分譲の所有者たちの合意ができないことに大きな原因があるという。

 やっぱりねえ、「名ばかりマンション」とわたしが悪口を言っている日本の分譲型共同住宅建築は、地震がきたら倒れなくとも住めないよ、危ないよ、買わないほうがいいよと、まえまえからここに書いているでしょうに。
 わたしの警告が不幸にして的中しているのだ。

 そして、現実にこうして問題が出ているのに、いまだに名ばかりマンションがどんどんと建ち、それを買う人たちがどんどんといる。止まらない。
 世の中がどうもヘンである。もう勝手にせい!

●借家か持家か
http://datey.blogspot.jp/2009/01/blog-post_20.html
●賃貸借都市の時代へ
https://sites.google.com/site/machimorig0/taikenteki-jutaku
●片思いの賃貸住宅政策
https://sites.google.com/site/machimorig0/kosya
●姉歯大震災が喚起すること
https://sites.google.com/site/machimorig0/anehajiken

2010/09/15

317【くたばれマンション】衣のファストフード、食のファストファッション、そして住のファストハウス、ファストマンション

 衣食足って礼節を知る、と、昔の人は言った。
 一般に衣食住と3つを並べていうけど、なぜ住はなくても礼節を知ることができるのか?
 食は足りすぎた先にファストフードとかジャンクフードとか、立ち食い屋みたいなどうにも礼節のない輩が登場している。

 では衣はどうか。最近はユニシロとかでてきて、それを真似するて安売り衣料屋が流行るとかで、それらをファストファッションというそうだ。
 ファストフードもファストファッションもそれなりに美味いものもあり、格好も良いものもあるのが、なんだか癪に障るが、戦後半世紀以上経って衣食はようやくそこまで来たってことである。

 で、残りの住はどうか。ファストハウスとかファストマンションとか、そんなものがあるのだろうか。夜な夜な立ちあがるダンボールハウスのことか。
 住だけは安くて品が良いってファスト段階にはいまだに及ばなくて、高くて品が悪い名ばかりマンションがはびこっている。衣でいえばプレタポルテ時代だな、食で言えばいまだに代用食時代だな。

2010/09/09

316【都市・地域、くたばれマンション】首都圏の住みたい街アンケート回答御三家は吉祥寺・自由が丘・横浜だって?

 マンション販売屋の大手8社が調査した、首都圏での住みたい街アンケートが発表されている。http://www.major7.net/contents/trendlabo/research/vol013/
 2005年から2010年までのランキングを見ると、毎年ベストテンに登場しているのは、吉祥寺、自由が丘、横浜が毎度のトップ御三家である。そのほかは二子玉川、恵比寿、広尾、鎌倉が毎回登場している。ふ~ん、そういうものなのか。
 マンション屋のアンケート調査だから、共同住宅を買って住みたい街はどこかという問いであり、一戸建て住宅や賃貸住宅は回答の対象ではないであろうことを前提に考えなければならない。
    ◆
 この中で横浜と鎌倉はほかと比べてエリアが広すぎるけれど、多分、共同住宅が多く建つところでそれなりに地域イメージがあるのは、横浜ならば関内あたり、鎌倉ならば旧鎌倉の市街地を言っているのであろう。
 東京では下町はでてこないし、千葉方面もない。ベスト20くらいまで入れると、豊洲や浦安が出てくる。
 川崎は、武蔵小杉だけが登場する。最近になって、大希望工場跡地ににょきにょきと超高層共同住宅群が登場した。マンション屋としてはイメージ作戦で武蔵小杉をベストテンに入れさせたかったのであろう。でも、あの街のどこがよいのかしら。環境とか景観よりも、比較的交通便利で比較的安価が理由であろう。
    ◆
 吉祥寺と自由が丘が毎年トップを争っているが、どちらもわたしには縁が深い町である。
 自由が丘は大学時代は遊ぶ街であったし、家庭教師アルバイトの街であった。その後も日吉に住んで通勤の行き帰りに何かと縁がある。いまでもたまに昔からの飲み屋に行く。あんなゴチャゴチャしたところが、どうして住みたい街なのかしらと首を傾げたくなる。
 吉祥寺は1970年代に、まちづくりに通っていた街である。その伊勢丹ができてからがらりと変わった。まあ、住みたくなるような街を作ったひとりかもしれないとも思う。でも、東京でトップになるってのがよく分からない。
 二子玉川は、学生のころは山岳部トレーニングでマラソンしてよく行った。その後は幼い息子をつれて遊園地に行った。あのあたりは上野毛からの台地にお屋敷があって、庶民が住みたいと思うようなところではなかった。それが高島屋のショッピングセンターができてから、ガラリと雰囲気が変わった。いまは遊園地であったところに超高層マンションが建ちつつあるらしい。
 恵比寿も昔はどうってこともないところだった。大きなビール工場があり、あたりは起伏の多いゴチャゴチャとした住宅街であった。ビール工場の跡地開発が街のイメージをがらりと変えた。
    ◆
ここまでを見て、自由が丘だけがずいぶん違うことに気がついた(横浜と鎌倉は別格)。どこも何か大規模な開発があってガラリと転換して行ったのだが、自由が丘は特にそのようなこともなく、狭い道のままに、じわじわと住宅街に商業が滲み出しつつ、なんとなく賑わいが出てきた街である。駅前の姿なんてわたしの学生時代と大差がない。ちょっと妙な街である。
 鎌倉は四半世紀住んだところ(ただし共同住宅でない戸建住宅)、横浜の関内の隣の関外に現在は住んでいる(ただしマンションではない賃借共同住宅)。東京の吉祥寺や自由が丘には住めなかったが、わたしもまあまあのミーハー居住地選択だった。そうだ、学生時代には自由が丘の隣の緑ヶ丘に住んでいたぞ、大学の中の寮だけど。
●参照→251百貨店時代の終わり

2010/04/21

261【言葉の酔時記】腹立ち猜時記

 コンピューターを毎日いじっているが、まったくもってこんな役に立つ機械は無いと思う。わたしの人生がこれに間に合ってよかったとつくづく思う。
 その一方で、こんな未完成なものを売りつけてけしからん、そのうえ使い方の説明の日本語がまったくもってなっとらんと、腹が立つ毎日である。
 コンピューターばかりか、世の中分からんこと、なっとらんこと、そして危ないことが増えてくる。
 例えば、電気自動車なんてものをもてはやすのが分からない。
 電気自動車は排気ガス出さないけど、電気を製造するときにガスも核廃棄物もどしどし排出しているから、これはちっともクリーンじゃないぞ、なっとらん。
 もうひとつ例えば、大規模超高層マンションである。
 あんな危険きわまる代物を、どうして世間では売り買いするのか、まったくもって理解できない。阪神淡路大震災であれほどその危ないことを証明されたのに、もうわすれたのかしら。
  ◆
 アラウンド古稀のわたしはアラコキというらしい。ウソコキも上手になった。
 アラコキほどの馬齢を重ねると、そしてそれなりに知識は多く積み重なってくる。
 そしてまた、それなりに枯れてきたり、余裕の心になってくるはずである。
 ところが、わたしの知識と世の中の知識が、どうもずれて来ている様子があるのだ。
 だから、世のものごとがどうもおかしなこと、わからないことが多くなり、それが腹立つのである。
腹立つ方向は、なにも人様ばかりではなく、自分自身に対して腹立つことも多い。
 食い物に関しては、年とると不幸なのは、どんなに美味いものを食っても、どこかでこれより美味いものを食ったなあ、思い出すことである。
 若い頃はなにを食っても美味いと思っていたのに、不幸になった。
 変な言葉遣いをする若いやつらに出会うと、そんな口の利き方は無いだろうよと言いたくなるが、そこは我慢して腹が立つ。
 そう思って腹を立てる自分に腹が立つ。もっと素直に、美味いもの食ったときは真直に喜び、若者の感性を理解しろと、自分に言い聞かせる。
 あ、いかん、年寄りの愚痴を言うのではないのであった。
   ◆
 そんなことを「伊達な世界」ブログ「まちもり通信」サイトに、グダグダだととりとめもなく書き連ねてきた。あまりぼう大になったので、その中でいくつかを採り上げて、カテゴリーごとにまとめて編集してみた。
 実は5年ほど前にも同じようなことを考えて、そのときは書籍にして出版しようかと考えた。
 だが、これだけインターネットが普及すると、紙情報よりもこちらのほうがよさそうな感じになってきた。
 売れなくて抱え込むことは無いし、わたしが死んでも絶版は無いし、何時でも追加訂正できるし、制作費も送料もほぼただ同然である。
   ◆
 というわけで、題して「腹立ち猜時記」である。
第1章 自分のPCなのに分からん
第2章 ブログが分からん
第3章 ハイテクITが分からん(業界編)
第4章 ハイテクITが分からん(言葉編)
第5章 デジカメが分からん
第6章 電気自動車が分からん
第7章 電話もテレビもおかしい
第8章 日本語がおかしい(会話編)
第9章 日本語がおかしい(単語編)
第10章 医療がおかしい
第11章 マンションがあぶない
第12章 東京駅があぶない
   ◆
 ところで、これについて面白いことがあった。
 WEBサーフィンで偶然に「作家になろう」というサイトを見つけた。サイトの管理者はインテルとあるから、アメリカのハイテク企業らしい。
 小説とかエッセイとか日記とかの原稿を、そのサイトにあるシステムに投稿すると、そのサイトの中で書籍のような形にして読むことができるのである。
 もちろん投稿すればそのまま公開されるのではなくて、管理者のインテル側で審査して、公序良俗違反とか特定宣伝とか誹謗中傷とかあれば、公開掲載不可となって書き直しを求められる。
 そこで、この「腹立ち猜時記」を投稿したのである。各章ごとに審査をするのであるが、結果は見事にどの章も公開不可となった。
 いくつかの章はコンピューター屋を罵倒しているから、あちらから見れば誹謗中傷に読めるのであろうから、それはしかたがない。ほかの章がどうしてNOなのかは分からないが、それなりの企業判断があるのだろうから、それもしかたがないか、。
 そこで、ためしに「横浜B級観光ガイド」を投稿してみたら、これも全章が公開不可の通知が来たのであった。
 う~む、オレはそんな無茶を書いているのかなあ、、、世の中が分からなくなった。

2010/03/01

243【くたばれマンション】片想いの賃貸住宅政策

 住宅供給公社よ、もっとがんばってくれ
  わたしが住んでいる賃借住宅の家主である県住宅供給公社から、「家賃改定に関するお知らせ」なるものがポストに入っていた。
 おお、値上げか、また文句をつけるかと読んでみると、こうである。
「皆さんの現在お支払いただいている家賃につきましては、平成22年度4月に改定することを予定しておりましたが、昨今の社会・経済情勢を踏まえ熟慮の結果、平成22年4月の家賃改定は見送ることといたしましたので、お知らせいたします」
 ありゃ、値上げしないのか、でもデフレ時代だから値下げするのが本当かもよ。
 文面で気になるのは「昨今の社会・経済情勢を踏まえ熟慮の結果」のところである。つまり公社が考えに考えた末ってことらしい。この賃貸住宅ビルだって空き家がたくさんあるしなあ。
 でも、値下げするのが嫌だから、「熟慮」して「見送」ったのだろうと、意地悪く読めるのである。
 これでよいのだろうか。というのは、公社家賃は市場価格と連動すると制度上の決まりがあるからだ。
 実は2002年入居からこれまでに2回の家賃改訂があった。2回とも値上げである。その最初の家賃改定のとき、わたしと家主の公社の間でトラブルが起きた。

●以下全文は→片想いの賃貸住宅政策

2010/01/30

235【くたばれマンション】去年はマンション不況でよろこばしい

 国土交通省が2010年1月29日に発表した住宅着工統計を見ると、2009年中の着工戸数は788,410戸であった。
 2008年中のそれは1,093,485戸だったとあるから、なんと3割減である。
 持家も貸家も分譲住宅も減ったなかで、給与住宅だけが増えているのは、どういうわけだろうか。

 減少の中で分譲型共同住宅(日本ではマンションというが、実は名ばかりマンションのこと)は、2009年中は76,678戸(内首都圏100,726戸)、2008年中は182,572戸(内首都圏40,041戸)だったから、なんと58パーセント減少(内首都圏6割減)である。
 大地震が来たら危険極まりないこの分譲共同住宅が減っているのは、なにはともあれ喜ばしいことだ。

 しかし、着工が減ったといっても実戸数は増えているので、新たに18万戸ということは30万人以上がこの危険なものに昨年から新たに住みだしたか、住みだしつつあることになるのだろう、コワイ、、。
 わたしが推奨する貸家が、2009年中は321,469戸で、これは2008年中よりも3割も減少しているのが、気に入らない。
 統計に公的な住宅が分類として登場してこないも、気に食わない。統計に載るほどの戸数供給をしていないってことか。全く気に食わない。

●参照→230震災記念日・マンション売逃げの勧め
  
   125名ばかりマンション
     187民主党の居住・住宅政策は?

2010/01/17

230【くたばれマンション】震災記念日につきマンションの売逃げをお勧めします

 今日は、あの阪神淡路大震災からちょうど15年目の日、何かと関連行事があるようだ。
 私がこれに関して思っていることの一番は、あの時、ものすごい数の住宅難民が出たことの教訓を、すっかり忘れていることである。
 この「伊達な世界」ブログにも本家「まちもり通信」にも何回も書いているのだが、今日はまた書く。

 大都市では超高層マンションなど、1棟でものすごい戸数の大規模共同住宅ビルが次々と建っている。分譲広告が新聞紙面や折り込み広告を賑わわせている。
 もちろん、それを買い求める人がいるからだろうが、こんな危ないものはないのに、なぜ売る人がいて、買う人がいるのか、なんとも不思議でしょうがない。
 阪神淡路大震災のときに、いちばんの問題になったのは、マンションと言われる分譲共同住宅ビル(正確には区分所有型共同住宅)であった。ばっさりと倒れたり、柱や梁に亀裂が入ったり、設備が壊れたりして、建て替えやら大規模修繕になったりした。

 そこに住んでいた人たちは一時は住宅難民になったが、それは他の戸建住宅でも同じである。
 ところが、マンションと言われる分譲型共同住宅ビルの人たちは、そこから先に超難題が待ち受けていたのだ。
 それは、分譲で各戸を別々の人が持っているいるのだから、建て直すにしても修繕するにしても、そのための大金を負担するには、持ち主みんながOKしないと前に進まない。貧乏人もいれば金持もいて、意見がまとまらない。
 大規模なものほど権利関係者が大勢いて、いつまでもまとまらない。法制度の改正までしたが、人々の心までは法は踏み込めない。
 多くのマンション難民問題は後々まで引きずった。いや、今も引きずっているであろう。

 そのようなことがあったから、その後は分譲方式の共同住宅ビルは規制するかと思ったけど、そんなことはぜんぜんない。
 姉歯事件(耐震偽装)なんてことがあって、あれに関わった賃貸住宅は早期に建て直しなど解決したが、分譲共同住宅は今もほとんど解決しないでいるようだ。震災のときと同じことが起きたのに、何も規制をしなかったのだ。
 近頃は超高層マンションとかで、一棟で1000戸もあるようなものも建っているらしい。「このビルは免震構造で大地震にも安全です」と宣伝文句に入っているかもしれない。

 たしかに建物は工学技術的には倒れないかもしれない。
 でも、上下水電気等の設備配管やエレベーターなどは、それ自体を頑丈に作っても耐震にはできないから、かならず壊れる。
 また、建物が揺れたときに、とりあえずは人命に関わらない程度に、どこか壊れるようになっていて、そこが地震エネルギーを吸収するようになっている。
 もちろん超頑丈に作って、ぜったいに壊れないものを作ることは技術的には可能かもしれないが、それにはものすごいお金がかかるから、売れないだろう。
 震災後にもその建物は見たところは建っているけど、中味はずたずたぼろぼろ、大規模に修繕する必要が出るに違いないのだ。

 そのとき、超高層ビルでは規模がでかいだけに、また共有部分が多いだけに、とんでもない工事費がかかるに決まっている。修繕積立金はそのようなことも含めての金額なのだろうか。そこまで修繕積立金を載せたら、販売額が高くなりすぎて売れないだろう。
 その大規模修繕工事費の負担を、1000人もの持ち主が簡単に同意するだろうか。法的には4分の3賛成で建て替えが可能だが、現実はそうはいかない。一人でも反対すると難渋するのだ。
 超高層でなくても、何棟かがひとつの敷地にあって、低層、高層などが数棟ある場合、大地震で棟ごとに壊れ方が違うから、違う被害の建物を一緒にして建て直すとか大修繕とかになると、益々こんがらかってくる。

 そんな危惧のある大規模分譲共同住宅(あえてマンションなんて格好だけつけて言わないのだ)に住む人は、いまや何万、何百万人いるのだろうか。そんなもの禁止すればよさそうなものだが、あまりにたくさんできてしまって、今更禁止にすすると社会問題となるからしないのだろうか。
 でも実は、大震災で難民続出という起きるべき社会問題を、分かっていながら見ない振り考えない振りして、先送りしているだけなのである。日本の人々は、いったいどうなっているんだろうか。
 もうすぐ来るという静岡あたりや関東あたりの大地震、明日かもしれないし、20年先かもしれない。
 そのときになって困っても、わたしは知りませんよ。別にお前に知ってもらってもしょうがないよって、言われそうだが、そのとおり。
 だから、わたしは1棟まるごとの賃貸借共同住宅ビルの1室に借家住いなのだ。壊れたら大家さんがナントカするでしょうよ、ちゃんと高い家賃を払っているんだから。

 分譲大規模共同住宅を持っている読者のみなさま!、大地震が来る前に早いこと売り逃げしたほうがいいですよ。
 結局は大地震が来た時に持っている人が、トランプのババ抜きのババをつかむのだ。問題は、トランプと違ってババの数があまりにも多いことだ。そして、そのことが分かっていながら何らの対策もなくて、どんどん危ないババ住宅が増えていることである。
 なお、不動産業界には既にババ抜きと言う言葉があるらしいが、それは傷物とか古物の共同住宅のことを言うらしい。
 ここではそうではなくて、不動産業界ではれっきとした代物としているので、なおさら厄介である。

 ところで不思議に思っているのだが、こんな心配をするわたしはおかしいのだろうか。誰もこんなことを言っていないのが、奇妙なのである。
 これをお読みなった方で、わたしのいうことが間違っているなら、ぜひ教えてください。
 メールアドレスdateygアットgmail.com(アットは@になおして)伊達美徳宛てに教えてください。
 お願いします。

 アっ、いま揺れているぞ、、。
 おりからカリブ海での大震災報道があるが、あれは海の向うのことではないのだ。明日、こちら岸のあなたに起こるかも、コワッ、、。

(追記2010年1月28日)
 昨日の朝日新聞東京版の1面に、分譲マンションの怖い記事が出ている。
マンション管理費、住まない所有者へ増額認める 最高裁」の見出しで、分譲マンションの部屋を持ちながら自らは住んでいない「不在所有者」には「居住所有者」より額を上乗せして払わせてもよい、との判決が出たというのだ。
 所有してすんでいるものは一生懸命に管理する努力をしているのに、投資目的で他人に賃貸している所有者は何もしないという不公平を、管理費増額で差を埋めようとしたら、訴えられたらしい。
 つまり、分譲型の共同住宅はこんな紛争がおきるほどに、居住形態と所有形態に矛盾が出ているということである。

 もしも震災により大規模修繕や建て直しが必要になったときに、この間での対応は大きく違ってくるだろう。
 投資目的所有者は、壊れた時点で投資が終了したのだから、新たな投資をして立て直すよりも放棄して、ほかの物件に投資するほうがよいに決まっている。建て直し派と放棄派との間に面倒なことが起きるだろう。
 こうして共同住宅は、立体お化け屋敷になる可能性が充分にあるのだ。
 いやもう、実は既にそんな共同住宅が実在するらしい。こんなことでよいのか、。

参照→◆名ばかりマンション   085借家か持家か
姉歯大震災の喚起するもの(2005~2007)
賃貸借都市の時代へー体験的住宅論(2000~2008)

2010/01/11

228【くたばれマンション】斜面地共同住宅

 
 街の中を車で走っていたら、建物の陰からチラッと、異様に明るく真っ白に輝く巨大な丘が見えた。
 とまってしげしげと眺めると、それは大きな丘の斜面におおいかぶさって斜めに建っているというか寝転んでいる共同住宅ビルが、西日を浴びているのであった。
 後に見えるふたつの鉄塔は、その丘の上に建っているらしい。
 丘陵の斜面の緑をそっくり剥ぎ取ってしまって、住宅群に置き換えられた丘には、まるでたくさんの切り餅のようにバルコニーが積み重なっている。中央に青い包丁が立てかけてあるのは、斜め昇降エレベーターらしい。

 また別のところでも斜面地共同住宅に出会った(下の写真)。こちらは隣に緑の斜面があるので、元はどんなところか分かる。
 斜面地は相対的に地価が安いから、土木や建築の工事費がかかっても採算にあうのだろうが、こんなのばかりになると風景は一体どうなるんだろうか。

●参照→崖地はめ込み共同住宅

2009/10/01

187【世相戯評】民主党の居住・住宅政策は?

 9月から国交省に民主党の大臣が座って、ダムやら道路やらちょっと目先の派手な話題ばかりだが、もっとも基本的な居住政策については、なにか変えてくれるのだろうか。
 日本では55年体制の自民党政権下では、基本的人権としての社会政策であるべき居住政策が存在しなくて、住宅政策という経済政策で住むところをつくってきたのである。

 居住政策は持ち家建設促進政策という経済政策であって、ちょっと景気が悪くなるとローン優遇なる借金政策を進めるのである。借金で持ち家にしないと、屋根の下に暮らせない政策なのである。
 その結果は、日本人の家庭はどこでも大借金返済を数十年もかけて、ほかの生活費を犠牲にして暮らしているのである。

 生存権という基本的人権のひとつの居住の場を、借金で買い取らなければならないという奇妙なことが、先進国といわれる日本では起きている。
 だから、今の100年に一度のような不況が来ると、目に見えてその矛盾があらわれて、住宅戸数は統計上では十分に足りているのに、借金が返せなくなって住宅が無い人が出てくるのである。

 では借家に入ればよいはずだが、日本では借家には全くといってよいほど促進政策がないのである。だから狭くて環境の悪い高家賃の賃貸借住宅しか、一般向けには無いのである。
 低家賃の公営賃貸借住宅はもうほとんど建設をしないから、なかなか入れない。公社や都市機構(UR)のような公的賃貸住宅も新規建設をやめて、しかも現在の賃貸住宅の家賃を民間なみに高額にしているのである。
 全くこの国は、人間の居住権という基本的なところに政策が欠けていることおびただしい。

   ◆◆◆

 そして今日(2009.9.30)の朝日新聞には、賃貸借住宅の家賃滞納者のブラックリストを作って、その者の入居を排除するシステムを共有する家賃保証会社の団体ができるとある。
 ちょっとでも滞納すると業界に知れわたって、家を借りることができなくなるのだそうだ。なんだかサラ金みたいである。
 そんなことをすると社会的にまずい、という家賃保証業界の同業者もいるし、弱者救済活動をしている人は反対を表明している。

「連帯保証人を見つけられない低所得者が増えたうえ、滞納を避けたい家主側の需要もあり、(家賃保証)業界は急成長。国土交通省によると全国で約70社。民間賃貸契約の約4割にかかわっているとのデータもある。民間信用調査会社の調べでは把握できる29社の売り上げは08年は約218億円で、2年前の2倍以上に達した」(asahi.com 2009年8月15日) 

 このように強気の業界状況からわかることは、家賃保証業界が成り立つほどに日本の賃貸借住宅市場において家賃滞納ケースが多くなってきていることと、賃貸借住宅業界はあいかわらず貸す方が借りるほうよりも強い立場を堅持しているということである。
 家賃滞納で借家を追い出されて、別の貸家を借りようにもブラックリストに載っているので入居を断られ、行くところがなくて野宿者になる人が、これからどんどんでてくるのだろうか。

 悲惨なアジア・太平洋戦争が終わって既に64年、衣食住のうち衣と食は戦後復興したが、住はいまだに戦後復興から置き去りなのである。
 居住政策を経済政策担当の国交省ではなく、社会政策担当の厚生労働省の所管にしてはどうか。トンカチ屋ばかりの国交省には社会政策は無理である。
 民主党さんよ、社民党と共にご努力いただき、賃貸借住宅促進策を展開していただくことを期待している。(090930)

2009/05/21

132【横浜ご近所探検】崖地はめこみ共同住宅

 ものすごい共同住宅を見つけた。
 横浜の磯子よりの海岸段丘崖ぎりぎりに、崖地に崖の高さに応じて4段構えくらいにはまり込んでいるのである。
 下から見ると、玄関部分の1スパンは崖下まで降りていて、ここは14階建てになっているらしい。その左は11建て階らしく、更に左端には崖が4階分せりあがって建物をがっちりと支えているのであった。

 右を見ると、8階建てくらいになっているし、写真では見えないが、更に右は5階建てくらいになって続いていた。
 屋根の高さは同じだから、下から地面というか崖がぼこぼこといろいろな高さに盛り上がって、建物を支えている格好である。
 こういうのは何階建てというのだろうか。

 崖下から入ることができるが、道路から車で直接入ることができない状況だったから、多分、崖上に車アクセスの玄関があるのだろう。
 全体の半分以上は崖に背中がくっついているらしいが、風通しはよいのだろうか。

 崖地に埋没というか一体化というか、崖地との取り合いの土木的な処理はどうしているのだろうか。土木工事がえらくかかっただろうと思う。斜面緑地は当然に失われたはずだ。
 こんなに高くつくような工事をしても、名ばかりマンションは売れるものなのか、。
 それにしても、建築と崖とのデザインは、そのモンスタラスな取り合いがアートとしては面白いが、生活空間の風景としては、いかがなものか。
 安東忠雄設計の「六甲の集合住宅」を思い出した。

参照→あらかじめ発掘された遺跡   ◆横浜ご近所探検隊が行く

2009/05/10

125【くたばれマンション】共同住宅ビルをマンションというがそれは真っ赤なウソで名ばかりマンションだよ!

 この孤乱夢は2008年10月6日に書いたが、操作ミスで消えたので改めて書く

・マンションとはいったいなんだ?
 名ばかり管理職とかいって、平社員なみの権限しかないのに管理職に指名されて、残業代を支払ってもらえず、平社員より収入が少ない労働者がちかごろ話題になっている。
 新聞記事では特に安売り店舗の社員がそうらしいが、普通のサラリーマンでもいそうなものである。 でも、わたしが身をおいてきた建築とか都市のデザイナーやプランナーの世界では、大企業はごく一部でまだまだ徒弟制度の世界であって、実態的に名ばかり取締役どころか名ばかり社長さえもいるのが、普通かもしれない。

 名ばかりといえば、なんといっても「名ばかりマンション」である。これほど名ばかりに値するものは、ほかに見当たらない。
 マンションとは英米語辞書では大邸宅やお屋敷のことである。以前にアメリカ人女性から聞いたことがあるが、アメリカでマンションといえば大統領一家が住むホワイトハウスのような建物だそうである。

 日本のマンションは、不動産屋用語で3階建て以上の不燃建築の共同住宅、しかも区分所有型つまり分譲型のものを言うらしい。
 2階建てのそれはアパートというらしいが、それは分譲でないかららしい。
 では、日本語マンションは英米語ではなんと言うかというと、コンドミニアムというらしい。日本では聞かないなあ。

 とにかく、大邸宅でもなければお屋敷でもない、どんな小さなウサギ小屋でも、共同住宅ならそれをマンションというらしい。なにしろワンルームマンションなんて、ホテルなみの小部屋もあるくらいなもんである。
 これはmansionを語源としてかっぱらった和製英語らしいが、物が似て非なるものの典型でありすぎるのが困る。ほんとに名ばかりmansionである。
 らしい、とばかりいうのは、不動産業界用語で調べても明確な定義がないからである。

・法律でいうマンションとは?
 ところが調べていくうちに、マンションが日本の法律で定義されていることが分かった。
「マンションの建替えの円滑化等に関する法律(平成14年法律第78号) 」なんてのがあって、その第2条に用語の定義として、マンションとは「2以上の区分所有者が存する建物で、人の居住の用に供する専有部分のあるもの」となっている。
 つまり、持ち主が2人以上で住宅のある建物は、木造平屋貧乏長屋でも100階建て超高層でも法律上はどれもマンションである。

 となると、いまに平屋の2連戸住宅とか、今までアパートといっていたヤツを、マンションでございという住宅事業者が出てきて、混乱を招くかもしれない。
 ちょっと、どうも、そういうもんで、よいかしら、英米の常識とも、日本業界の常識らしきものとも、いずれとも乖離しているのを法律で決めてよいもんかしら。

 法律屋さんは硬いお方ばかりだろうに、まさか名ばかりマンションにおけるマンションを法律用語にしてしまうとは、どういう神経だったのだろうか。「区分所有型共同住宅建築物」とでもいうべきであったろう。
 まあ、全国に528万戸、1300万人が名ばかりマンションに住むらしいから、もう名ばかりといってもいられないと思ったのだろうか。法律は分かりやすくっていうことだろうか。

 それにしても、これだけ大量な震災危険住宅をいまだに建設の規制をしないのは大問題だと思うがなあ、。
 次の関東大震災が来て、建て替えもできず修理もできない立ち往生名ばかりマンションが林立してからようやく、名ばかりマンション規制が始まるのだろうなあ、日本は人柱と外圧でしか政策は変わらないのだ。

 そういえば、アパートってのも変である。なぜ2階建てならアパートなのか。かって野々宮アパートとか代官山アパートというのがあったが、これらはみな今で言うなら豪華マンションであった。いつから貧乏共同住宅の代名詞になったのか。
 とにかく、名ばかりマンションくらい変なものはない。その大震災における重大なる危険度も含めて、。

 参考→姉歯大震災の喚起するもの  →言葉の酔時記

2009/02/13

095【くたばれマンション】貧困な日本の住宅政策が名ばかりマンションをつくる

 なんでも名ばかりマンションが売れる気配らしい。
 不景気で売れないから、値下げや投売りが出てきているのと、購入に当って減税措置が拡大されたのだそうだ。
 まったく困ったものである。

 まず第1の問題は、わたしが言うところの名ばかりマンションは、大地震がきたらたちまちに困ることになる可能性が高い危険なる代物なのに、政策はその購入を支援しているのである。
 第2の問題は、なぜ持家購入の借金返済には減税して、借家の家賃には減税しないのか。まったくもって不公平である。
 日本には住宅政策はなくて、経済政策だけがある。

 横浜に寿町という、いわゆるドヤ街がある。東京の山谷、大阪の釜が崎とならぶ、簡易宿泊所と呼ぶ実情は超零細アパートメントビル街である。
 約6ヘクタールの街に約6400人のドヤ住人たちが寝起きしているが、人口密度を計算するとヘクタールあたり1000人を超える超過密である。それに高齢化も押し寄せて、今や労働者の街から介護の街になりつつある。

 わたしは寿町の近くに住んでいてよく通るし、この地域の新展開を目指すホステルビレッジ事業者に案内してもらって体験宿泊もしている。
 かつて若くて体力のあった港湾荷役労務者たちがその後に建設労働者となり、仕事が減り高齢化して労働能力が下がったままにずるずると暮らし続けて老いているのだ。

 50歳以下は極端に少なく、65歳以上の高齢化率は31.5%(2005年)、9割は男単身世帯である。高齢者が多いから病人も多いという。日雇いだったから健康保険も年金もない。8割の世帯が生活保護費を受給している有様である。
 簡易宿泊所数は118棟、8461 室、宿賃は1室ネット約5㎡(3畳)で2200円/日である。実質的には住んでいるのだから月66000円、つまり13000円/㎡・月の家賃である。このあたりのワンルームマンションの家賃相場は3~4000円/㎡・月だから超高額である。

 実態的に超高額超低級アパートメントに住む人たちに、その家賃として生活保護費を支給していることになり、つまりその超収益不動産経営者を公的資金で支えていることになる。奇妙な構造である。
 この地域の歴史的背景は複雑なものがあるが、ここには日本の住宅政策が社会政策ではなくて、経済政策としてしてきた歪みが見事に現れている。

 日本に社会政策として住宅政策があったなら、当然のことにこの地域に公営住宅を建設して、これらの人たちをいれていただろう。
 まあ、麻生さんも小沢さんも、借家住まいをしていないことはたしかだろう。
参照→085借家か持家か  059怖い大規模名ばかりマンション 
   横浜ご近所探検隊が行く

2009/02/03

092【くたばれマンション】大不況が隣に迫ってきて名ばかりマンション工事がストップした

 わが家のあるビルの隣に、昨年の春ごろから建設が始まった共同住宅は、延床9000㎡、 180戸、高さ31mの結構大きいビルである。
 なんだか最近は工事騒音が聞こえないなあと思っていたのだが、その工事が、このところ止まっているらしい。

 いつも通行に邪魔な工事車両が出入りしないし、2階床までのコンクリートうちが終わって型枠もはずしたのに、そこから鉄筋が立ちっぱなしで更に上の階へと型枠を組む様子がない。
 周りをグルッと見ると、現場事務所が閉じているし、デシベル数値が大きく表示されていた騒音計にも蓋をしたままだ。
 おお、わが家のお隣までも不況が迫ってきたぞ。資金繰りがつかないのだろうか、工事ストップだ。
 まあ、静かになって助かるが、このまま立ち腐れになるのも、ヘンな雰囲気で困る。

●追記(2009年4月3日)
 とうとう工事が全面ストップしたようだ。
 2階床までコンクリートうちしたままで、現場事務所も足場もクレーンも全部はずして、回りに板囲いだけになった。
 2階床から立ち上がっている鉄筋には、ビニールらしきもので雨にぬれてさびないようにしている。
 もう、誰も居ない。さてどうするのだろうか。
 これは工事業者のものなのか、発注した不動産屋(プロパストと書いてある)のものか。誰が管理するのだろうか。
 そのうちにはげたかファンドが買い叩いて工事再開するのだろうか。

2009/01/20

085【くたばれマンション】借家か持家か

 地下鉄に乗ったらこんな広告に出会った。

 曰く
このまま11万の家賃を払い続けても、後には何~んにも残らない、と、思った時から急に家賃が恨めしくなった。マンション、住み替え、一戸建て、いい人生に」

 これはどうも「賃貸住宅はよくないよ、マンションでも、一戸建てでも、買ったほうがいいよ」ということらしい。
 別にこの広告主のジャマをする気はないが、わたしはこの広告主とは考え方が、正反対に違うのである。悪しからず。

 「何~んにも残らない」ので何か残ると思ってうっかりマンションを買うと、どえらいものが残るのである。
 それは、借金と危ない家と個人では建て直しもできないミニミニ土地が残るのである。
 つまり不良資産を抱えるリスクが大きいのである。

 近いうちに確実に起きる関東や東海の大地震で、マンションという大規模区分所有型共同住宅ビルは、倒れるかもしれないし、倒れなくても必ず大被害がおきて、大修繕となるのは専門家でなくてもそれは常識である。
 大地震で全く壊れない家なんて、それは莫大な工事費であるし、建つところも地盤の超よいところに限られる。
 被災した後、そのビルの持ち主全員が同意し、費用負担し、建て直しや修繕ができるだろうか。
 できたとしても借金は積み重なるばかりである。

 これは現実に、姉歯事件やその前の阪神淡路大震災で証明されていることである。
 姉歯事件では賃貸住宅ビルと分譲住宅ビルがあったが、賃貸ビルはすぐに解決したが、分譲の共同住宅ビルはいまだに建て直しになったのは2件だけらしい。
 それにもかかわらず、世の中は分譲マンションを売っているし、買っている。みんな忘れたのかしら。
 政府の政策も、持ち家にはローン減税があるのに、借家に家賃減税がないという大不公平である。
 だから、分かっていながら(いや、もしかしたら分かっていないのかな)危ない分譲住宅ばかりがはびこる。悪貨は良貨を駆逐するのである。

 こんな変な国は、やっぱり日本は発展途上国だな。
 政府は、住宅は十分に満ち足りた、もう五カ年計画もやめたって言っているのに、先日の「日比谷派遣村」みたいに、実は住む家のない人がたくさん居るってことがあぶりだされた。ホームレスも大勢見かける。

 日本では住宅政策がヨーロッパ先進国のように社会政策ではなくて、アメリカや発展途上国なみの経済政策だからだ。それは住宅政策とは言わない。
 だから、アメリカで経済政策としての住宅政策が大失敗して、世界不況になったのだ。
 まあ、日本は世界不況を起こすほどの経済力も実はないんだってことが、逆証明されたようなものだ。
 これでいいのか?
参照→◆名ばかりマンション  ◆姉歯大震災の喚起するもの(2005~2007)
  ◆賃貸借都市の時代へー体験的住宅論(2000~2008)