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通りの向こうに富士山が |
●富士山への山あて道路
え?、なになに?、国立市でマンンション景観騒動勃発だって?、だいぶ前にもあったなあ、またかい?、どうせ本物マンションじゃなくて名ばかりマンションだろ、で、今度のそのマンションビルビルは今や竣工寸前なのを取り壊すんだって??、ほう、面白い。
しかも事業主が言うことには、この建築は景観に配慮が足りなかったことがわかったので反省して取り壊すそうだ、へ~、この世知辛い今どきそんな殊勝すぎる超珍しすぎる理由で取り壊すなんて、だれもがなかなか信用できないよ、本当にそんなご立派な理由かしら、よくある手抜き工事がばれそうになったので慌てたのにちがいない、とかなんとかネットスズメは無責任なもの。
で、その事業主の名は積水ハウスとあるが、それってむかし安物プレハブ住宅屋だった記憶がるけど同じかなあ、社長は大いに怒っているだろうな、“せっかく真面目に取り壊そうとしているのになんだよ、その言い方はないだろ、ネットスズメどもめ~”、なんて地団太踏んでいるんだろうなあ。
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東京新聞2024/06/12掲載記事 |
上は今日の新聞報道のひとつだが、これ見てあらあらと思ったのは、その写真の富士山の隠れ具合が問題なのだろうが、それははともかくとしても、この道路の風景がなんだか乱雑なことよ、電線の邪魔なことよ、看板だらけのことよ、せっかくの富士山を山当てにして設計した道路なのに、住民たちは富士山にばかり目が行って、自身の景観についてはどうも無頓着らしいなあ。
では、上空から見ようかとグーグルマップで覗き込んでみた。おお、なるほど富士見通りの向こうに富士山が見える。ここは昔々のこと、神田にあった一橋大学が関東大震災で被災して移転してきて作った町である。
ということは100年ほどの歴史の街だ。いまの西武の創始者の堤康次郎が初期に出がけた不動産開発事業であったが、なるほどこの写真で見るように、この富士見通りは富士山に山当てをしていることがよくわかる。
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国立市富士見通りを駅前上空から富士山へ見通す googlemau |
上の写真の中ほどに灰色の長方形が出没しているが、これは今回の景観騒動の元凶のビルが建つ位置である。たぶんここだろうと類推したわたしが書き込んだ(GIF)。これが富士山を隠すのであろう。
だが、気になるのはその道路向かいには高層の名ばかりマンションらしき建築が既に建っているのである。これも積水ハウスが事業主で建てて、これも取り壊すのだろうか、いや、まさか、、。となると、この既存のビル事業者は、市民から反対を受けなかったのだろうか、反対されても押し切って建てたのか、積水ハウスの爪の垢でも煎じて飲ませたい、なんて言われかねないぞ。
●思い出した昔に有名な国立景観騒動
そこで思い出すのが、かつて国立の駅前の大学通りで起きた景観騒動だよなあ、世間は忘れたろうがわたしはよく覚えているのだ。国立市のJR国立駅前から、南にまっすぐに伸びる学園通りがある。そこで騒ぎが起きた。あれは2002年のことだったからもう22年、ふた昔も前かあ、わたしも年取るはずだ。その時にわたしのウェブサイトに記事を書き込んでいたと思い出し、探したらあった。
◎国立と鎌倉:景観と財産権のはざまに(20020505)
https://matchmori.blogspot.com/2021/08/kunitachi2002.html
このときもマンション(それも本物じゃなくて名ばかりマンションだが)開発による景観について、事業者(明和地所といった)にたいして、市民たちからから異議申し立てがあって、大いに騒ぎになった。事業者はとことん抵抗して争い、国立市の政治問題になり、とうとう最高裁の司法の場まで行ったが、結局は市民側が敗訴となったのだった。当時の市長(上原さんと言った)は明和地所に対してかなりの額の賠償金を、個人的に支払へという判決をうけたという記憶がある。
その景観はこのようになった。どれが問題の名ばかりマンションであるか、容易にわかる。高さを20mで抑えるか否かが争点であったが、法的には合法と判決になった。だが現実には、今ならばこの名ばかりマンションの出現は不可能になっていることがわかる景観だ。
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左に国立市大学通りのごり押し開発名ばかりマンション googole map |
銀杏並木が美しい道で、通り沿いに一橋大学をはじめたくさんの学校があるのでこの名前。銀杏並木の高さに建物の高さを法的に制限しているなかで、高さを大きく抜きんでている
名ばかりマンションが建っている。下の画像はもしも20m高さ制限が実現していたなら、という
戯造景観である。
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現実の名ばかりマンションを高さ20mに抑えたならどのようになるか戯造景観 |
今話題の、富士見通りの名ばかりマンションをすっぱりと取り壊す(といっている)積水ハウスの潔さがあまりに過ぎて、かつて大学通りでの名ばかりマンション事業で市民と行政をゴリゴリと押し切った明和地所と比べると、天地の差があるので実は何か別のことが裏にありそうだと思ってしまう。積水ハウスの言い分を素直に聞けないのが、人間としてなんとも悲しいのである。
積水ハウスは、これでこそ企業倫理が成り立つってことよ、だろうが、でもなあそれならもっと前の、そう、着工の前に判断しろよ、建たねば判断できなかったなんて建設ド素人ではあるまいね、なんだかワンマン社長の思いつき鶴の一声かもなあ、それも今頃になってねえ、???!!!、いやいや、疑ってごめんなさい、素直に敬服しております。
ところで積水ハウスはこれでどれくらい損失を出すのだろうか、株主代表訴訟で訴えられたらどうするのだろうか、倫理を問われているのは起業か建築家か、いや国立市の景観について審議する委員会か、え、はあ、市民でもないのに大きなお世話ですか、ハハーッ。
国立の富士見通りの市民のお方たちは、いまの富士を見る景観は、なんとも美しいとは言いかねるので、これからは富士山だけじゃなくて、街の市民自身の生活景観に目を当てて下さいませ。
(20240612記)
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国立と鎌倉:景観と財産権のはざまに(2002年)
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伊達美徳=まちもり散人
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