2012/06/14

629東京見物ぶらぶら新橋から銀座へ信仰心もないのに神社めぐり

よくまあ、こんな都心部でこんな広い道を作るもんだ、えらい金がかかってるだろう、土地代に。
 虎ノ門から新橋までの都心部を貫く、通称「マッカーサー道路」環状2号線の工事現場に出くわす。1946年に決めから66年、ようやくその姿が見えつつある。
 その道端に真っ赤な鳥居が汐留超高層群を背景に見える。近づいてみると「日比谷神社」とあって、真新しい鳥居と社殿。

 はて、今頃なんで新築かとみれば、石段の柱に「日比谷神社遷宮御造営」とある。そうか、環状2号線の道路用地に引っかかって、ここに移動して補償金で新築か。
 人間はまったく別のところに移転できるが、神社は地霊を抱えているからそうは行かない。できるだけ近くに遷座するしかない。

 社殿の前から鳥居を通して環2を見通すと、この道の上にどでんと建つ超高層建築が建築中であるのが、注連縄の向こうに見える。
 どうしても立ち退かない地主たちに、このビルに移ってもらって、環2はその股の下をくぐらせてもらうらしい。世の中には神様よりもえらい人がいるものだ。

  ◆◆◆
 新橋駅そばの「烏森神社」に来る。
 参道の飲み屋横丁に「夏越大祓」と幟旗がある。「なごしおおばらえ」と読むのだろう。おお、道の真ん中に、茅の輪があって、くぐる。
 懐かしや、わたしの生家の神社でも、夏祭りはこれをつくったものだ。縁起物として参拝者が一本づつ抜いていくので、祭りの終わりにはよれよれになっていた。東京あたりではどうするだろうか。
 茅の輪をくぐるのは厄払いの意味だが、飲み屋街で厄払いとは、飲む前にやるのか、飲んだ後にやるのか、どっちが効果的なんだろう。

  ◆◆◆
 銀座6丁目、上品に言うと低価格ファッション屋さんのユニクロが真新しいビルを構えている。
 ほかにも洋服の青山なんて低価格スーツ屋さんが、高価格エルメス・ダンヒル・ブルガリなどと肩の並べるのが、面白い。もうすぐドンキホーテもやってくるそうな(うそ)。
 で、はて、ここはユニクロじゃなくて小松ストアーがあったような気がする。
 裏のすずらん通りからみると上空にガラスの橋がかかっている。さっそく店に入って商品はぜんぜん見ないでエレベーターに登る。橋からのすずらん通りの景色。
 橋から階段があるので登って見たら屋上にでて、「三輪神社」とて、芝生の向こうに結界がある。昔の小松ストア屋上にあったのだろう。

 結界のなかは黒い石がひとつ。なるほど、大和の大神神社(三輪明神)の三輪山の奥に鎮座する磐座(いわくら)のモディファイであるか。
 それにしても大地から遠く浮かんだ磐座とは、それ自体がトートロジーであるような。

  ◆◆◆
 そういえば、デパートの屋上には必ず神社があったものだと思い出して、銀座4丁目の三越の屋上に出てみた。
 三原橋のそばまで裏のほうに増築して大きくなって、4丁目の角のビルの屋上が芝生の広場になっている。ありましたね、神社が。
 三囲神社(みめぐりじんじゃ)とある。隣に大きな石の地蔵さんが立っていて、「出世地蔵」とあるのが商売っ気がある。
 この屋上は見たところは芝生が気持ちよさそうで、木のベンチがるので休むことにした。
 ところが、左右の大きな機械室からドロンドロン、ビョンビョンと低周波の雑音がやかましく、とてもじゃないがいられない、早々に逃げ出した。この広場を提供する三越の人たちは何も感じないのだろうか。

  ◆◆◆
 銀座には超狭い裏路地があちこちにある。人が1人ようやく通れるほど狭いのだが、昔は汲み取り道だったのだろうか。
 そのひとつに「豊岩稲荷神社」があって、まっすぐ向いて拝めないくらい狭い路地に、真っ赤な祠が威容を放っている。

 よくまあこんな狭い牢獄のようなところに御鎮座を、と思うのだが、多分、ここには昔は広い屋敷があって、その庭にあったのだろう。地の霊が他に移動させなかったのか。

 わたしは、どこの神社も祠も寺院でも、拝むことはない。信心なるものにまったく興味がないのだ。多分、生家が神社だったせいの反動だろう。

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